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2007/05/16
すりかえ、逃げは天下人のやることではない 党首討論後に代表




 小沢一郎代表は16日、党首討論後に国会内で会見し、首相との3回目となった討論の印象を問われ、「小泉さんのときもそうだが、正面からの議論に応えてくれない」と語り、本質的な議論をひたすら回避する安倍首相の姿勢を問題視した。

 討論時間が短いせいもあるがと前置きしたうえで小沢代表は、憲法やその他のテーマについて首相は著書『美しい国へ』のなかでは激烈な言葉で記述しているにもかかわらず、党首討論では明確に主張しなかった点について、「考え方が違うなら違うでいいと思うが、言葉で隠そうとする、逃げようとするのは天下人のやることではない」と指摘した。

 憲法問題を討論のテーマとした意図を問われたのに対しては、首相が著書で「日本の国柄をあらわす根幹が天皇制である」と断定した記述について議論すべく取り上げたことを明らかにした。「考え方は個人それぞれなので、それでもいい」とした小沢代表は、「そういうわけではない」と、すりかえに終始した安倍首相について、根幹でなく枝葉末節の部分だけの議論だったと分析した。

 教育の議論についても著書にあるからこそ取り上げたと説明するとともに、「政府の教育制度改革は何ら教育制度改革に踏み込んでいない」と批判。文部科学省が正面から責任を負わずに歪んだ形で教育に干渉することになる政府の改革案について「舅の言いがかりの権限を強くしたようなもの」と語り、安倍首相が主張し続けている戦後教育制度の白地からの作り変えには似ても似つかないものであるとの見方を示した。

 また、参議院選挙の1人区行脚などを通じて、地域社会の疲弊ぶりを目の当たりにしてきた経験を踏まえ、党首討論のテーマとしたことを表明。「そうした問題をはじめ、同時に大都会でも雇用や所得など、いろんな格差が広がっている。だからそれをクリアにしたかった」と語った。さらに、松岡農水相の政治とカネの問題をなぜ取り上げなかったのかとの問いには、「(党首討論は)基本の仕組みや制度、内外の大きな問題について話をするところだ」と語り、個別の事案については委員会等で議論すべきとの考えを示した。

 最後に小沢代表は「日程が決まればいつでもいい」と述べ、安倍首相さえ用意が整えばいつでも党首討論に臨む考えを改めて表明した。
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