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2007/05/24
現行公務員人材バンク視察通じ「天下りバンク法案」の問題点浮き彫りに




 民主党は24日、衆議院内閣委員会理事の松原仁、泉健太両議員、党行政改革調査会主査の馬淵澄夫、細野豪志議員両議員らを中心に、「総務省人事・恩給局人材情報管理室」を訪れ、国家公務員退職者の再就職をあっせんする現行の国家公務員人材バンクを視察した。

 内閣委員会では現在、民主党の「天下り根絶法案」と合わせて、政府提出の「天下りバンク法案」とが審議されている。政府案に盛り込まれた国家公務員の再就職あっせんを一元管理する新人材バンク「官民人材交流センター」の是非が問われるなか、現行制度の実態を探るべく視察は行われた。

 視察では初期システム開発に約3000万円を投入し、専従担当者2人で業務に当たっているにもかかわらず、101件の求人の結果、7年間でたった1件の実績しか残されていない実態が改めて明らかにされるとともに、担当者自身からも「実績があがっていない」との認識が示された。現在、50歳以上2500名の登録がある。同時に、担当者が「求めがあれば応じる」とコメントしたように、7年間の苦い実績は新人材バンク「官民人材交流センター」には受け継がれないことも明らかになった。

 視察後の会見でまず泉議員は、「天下りバンクの今後のあり方についてはほとんどが有識者会議で決められる。委員会のなかでは具体的な中身が出てきていない」との認識を示し、対象となる退職公務員の数はじめ組織の実像も全く見えない現状に懸念を示した。細野議員はまた、天下りのひとつの側面を示す競輪や競艇などの公営ギャンブル組織役員への「天下り」や事務次官の「わたり」の実態も追及していくと表明した。

 馬淵議員は視察した「現行の人材バンク」の印象についてほとんど実態的には機能していなかったと分析。「行政評価はどうしてきたのかとの質問にもきびしい評価が求められてきたとの説明しかなく、年間5000通のパンフレットを求人先に送付してきたという説明しかなかった」と指摘し、この実績から見ても、政府が作ろうとしている「天下りバンク」の効果に改めて疑問を呈した。

 視察には、渡辺周、三日月大造、村井宗明、鈴木克昌、佐々木隆博、小川淳也、田名部匡代各衆議院議員、尾立源幸参議院議員が参加した。
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