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2007/05/31
【衆院本会議】2度の強行採決に出た櫻田厚労委員長の解任求める




 衆議院本会議で31日、強行採決を2度にわたって断行するという暴挙に出た櫻田厚生労働委員長の解任を求める決議案が民主党はじめ野党から提出され、決議案提出者の山井和則議員が趣旨弁明を行い、柚木道義議員が賛成討論に立った。

 趣旨弁明のなかで山井議員は、提案理由として(1)理事会の合意のない歴史に残る強行採決を2度も断行したこと(2)5月25日に強行採決で混乱するなか、労働3法の趣旨説明を強行したにもかかわらず、30日の委員会では新たに与党が議員立法で提出した年金時効特例法案の審議を先行させたこと――などを列挙。十分な審議が尽くされぬまま、ごく一部の被害者しか救済されない案の提示しかしない中で2度の強行採決をしたことは、国民の年金不信を著しく拡大させたとも指摘した。

 そのうえで山井議員は、ごく一部の被害者しか救済されない政府与党に対し、被害者からも失望と怒りの声があがっていると説明。同時に安倍首相が繰り返した「記録訂正には領収書はいらないようにする」などと一見大きな前進と思える答弁は、「領収書以外の資料でもよい」と昨年8月の時点で出された社会保険庁方針の焼き直しに過ぎないことを明らかにした。また、その「領収書以外の書類」によって行われた訂正は一件もなかったとして、だからこそ、30日の党首討論で小沢一郎代表が指摘した通り、「立証責任を加入者に負わせるのには限界があり、過失をおかした社会保険庁にあるとの認識に立つべき」だと言明。その点について、党首討論で明言を避け続けた安倍首相の姿勢を改めて批判した。

 さらに、柳澤厚生労働大臣の答弁から、時効によって本来の年金受給を受けられなかった被害者が25万人、被害総額950億円にのぼることが、強行採決直前になって明らかになった点についても、櫻田委員長の不公正な委会運営が招いた事態だと指摘。だからこそ、さらなる審議が必要だったにもかかわらず、審議の幕引きをはかった議事運営の瑕疵を重ねて問題視し、委員長の解任を強く求めた。

 賛成討論に立った柚木議員は「『公正かつ円満な委員会審議』の『公正』の意味をまったく理解していない」と指弾。「労働3法を投げ出し、与党議員から『消えた年金幕引き法案』が提出されるやいなや、趣旨説明から採決までわずか1日で行って仕上げてしまった」委員長の暴挙を語気を強めて批判した。

 柚木議員はまた、立証責任を社会保険庁に求め、被害者全員救済を旨とする民主党案に対し、与党の特例法案で救済されるのは「消えた年金記録」被害者の何と0・4%にすぎないことを指摘、「与党特例法で救済されるのは「消えた年金被害者」ではなく、「与党」や「安倍内閣」だけだ」と皮肉った。

 さらに、「本来であれば政府が閣法として提出すべきところ、与党の議員立法で提出するという、政府与党の姑息で傲慢な手法に委員会審議の公平性を放棄して従うなど、言語道断だ」と述べ、委員長としての適正を欠くなか、委員長として居座り続けるのは委員会審議の形骸化に繋がるとして、決議案への賛同を求め、賛成討論を終えた。

 決議案は、記名投票の結果、賛成少数で否決された。
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