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2003/02/26
北朝鮮問題に関する現状の考え方
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民主党 北朝鮮問題PT
1. 北朝鮮問題への基本認識
* 国交正常化交渉には、拉致事件の解明・解決とともに、核開発ならびに大量破壊兵器の開発・保有などの解決を最優先の課題とする。拉致事件及び大量破壊兵器問題などの解決なくして、国交正常化はあり得ず、経済援助はしない。
* 核拡散防止条約(NPT)の脱退など、危険な瀬戸際政策ではなく、国際社会の一員として地域の平和と安定に資するよう、北朝鮮に働きかけていくとともに、国連安保理で協議する場合は、地域の当事国として、日本及び韓国の意見が反映されることが重要である。
* 北朝鮮政策を展開するに当たっては、わが国の主権、国益は言うに及ばず、北朝鮮の民主化に向けて、日米韓を中心として、中国、ロシア、EUなど、関係各国の緊密な連携が必要である。米朝2国間の枠組みのみに頼らず、多国間の枠組みによる北東アジアの安全保障に積極的に関与するため、主導的な役割を果たしていくべきである。
2.懸 案 事 項
1. 拉 致 事 件
* 拉致事件の完全解決に向け、拉致被害者及び家族全員の一日も早い帰国、わが国による現地調査、拉致行為への正式な謝罪と補償、再発防止、原状回復が国交正常化交渉の最優先事項である。
* 政府は、国連人権委員会、アメリカを初めとした各国政府や議会、NGO等に対し、積極的に世論形成を図るべきである。
* 帰国者の受け入れ態勢については、政府は、今後新たに判明する方々への対応も含め、その生活支援などに万全を期すべきである。
2. 安 全 保 障 課 題
(1)核兵器等の大量破壊兵器問題
* わが国に影響する重大問題として、北朝鮮は即座に核開発を放棄し、国際的合意遵守への具体的行動を示すべきである。
* 米国がKEDO関連予算の凍結を決定した中、日本もKEDOへの資金拠出の一旦凍結も選択肢とすべきである。
* わが国は、地域の関係当事国として、日韓両国の協議はもとより、中国、ロシア、EUとの連携を密にするとともに、国連安保常任理事国に対して、問題の平和的解決を国際社会に働きかけるべきである。
(2)ミサイル問題
* 平壌宣言でモラトリアムを延長するとした弾道ミサイル実験の再開の可能性もあり、政府は国際協調のもと、弾道ミサイルの発射をさせない外交努力を積み上げるべきである。しかし、仮に発射に至った場合は、わが国の安全保障に深刻な脅威を招来しかねず、北朝鮮への送金停止や万景峰号の入港禁止など、毅然たる対応をとるべきである。
* 民間企業によるミサイルの不正輸出が明るみに出たことを踏まえ、ミサイル関連技術輸出規制(MTCR)に基づく輸出規制の強化(外為・外国貿易法)等を徹底する。
(3)武装工作船・不審船対策
* 武装工作船・不審船による対日工作や犯罪組織の関わりも指摘される覚醒剤の密輸等の疑惑は、わが国の主権・治安への重大な脅威である。領海内、接続水域、排他的経済水域といった対象海域での武装工作船・不審船に対する危害射撃の要件を再検討するなど、監視体制を強化すべきである。
(4)万景峰号などの問題
* 対日・対南工作に使われている疑いのある万景峰号などについては、北朝鮮工作員による不当な活動を防止するため、出入国管理規制や貨物等の輸出入検査などの税関検査を強化する。
(5)朝銀問題
* 朝銀、朝鮮総連の組織的関与について、真相を解明し、不法行為、不正送金等について責任者の厳格な処罰を行うとともに、約1兆4000億円もの公的資金が投入されるに至ったことに対する政府の責任を強く求める。
3. 脱 北 者 問 題
* いわゆる脱北者に対し、人道上最大限の配慮がなされるよう、海外出先機関の対応を徹底させるべきである。
* 難民条約批准国たる中国の対応については、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)にも働きかけ、日本人妻、元在日朝鮮人、難民等に対するきめの細かい対応と人道上の配慮を強く要請していくべきである。
* 日本は米韓中露、EU、UNHCR、NGO、国際赤十字委員会などと連携し、出入国管理法上の「定住者」の弾力的な運用など、国際的な支援・救済策の早急な実施を求めるべきである。
3.その他の重要課題に関する法・態勢整備
* IAEA(国際原子力機関)から国連安保理に付託された北朝鮮の核問題に関する協議の経過を注視し、北朝鮮が一日も早く国際社会と協調し、国際合意を遵守するよう強く求める。
* 原子力施設の警備強化、大量難民が発生した場合の偽装ゲリラなど、想定し得る危機管理対策を確立する。
* テロ行為や拉致事件に組織的に関与した団体等に対して、送金停止、資金洗浄の防止、構成員の出入国規制などの規制ができるよう関係法令の運用強化を徹底するとともに、法制のあり方の検討を進める。
* 日本周辺で頻発する北朝鮮の座礁船舶の放置に対処するため、国際海事機構(IMO)条約の改正に合わせ、適当な保険加入など、一定の保安上の要件を満たさない船舶に対して、「入港拒否」を可能とするとともに、現に発生している損害賠償問題に対する速やかな解決を求める。
以 上
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