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1999/06/01
組織的犯罪対策3法案の強行可決について(談話)
民主党幹事長  羽田 孜

 本日、組織的犯罪対策3法案が、自民党、自由党、公明党などの賛成により衆議院を通過した。国民の人権を侵害する危険が高い法案が、十分な審議もなく強行採決されたことに強く抗議する。特に、理事者間における審議時間に関する約束を一方的に破棄し、問題点が明確になりつつある中で審議を打ち切ったことは公党間の信義に反し、国会の存在を自己否定するものである。

 政府・与党は、この3法案の対象となるのは、凶悪犯罪集団に限られるかのように説明しているが、法律の規定を見れば、一般国民や普通の市民団体・労働団体なども対象となることが明確であり、到底賛成することはできない。

 特に、憲法が定める「通信の秘密」や「令状主義」を侵害する盗聴を、従来の判例で認められた範囲を超えて、犯罪捜査の手段として合法化するならば、その対象を限定し、濫用を防止する仕組みを確保することが欠かせない前提となる。しかし、今回の法案では、立会人の権限も限定されており、傍受された当事者に対する通知すら確保されておらず、不十分である。

 現に警察による組織的違法盗聴の事例も発覚しており、警察の情報公開や、警察権力をコントロールするための体制強化等により、警察に対する信頼を回復することが先決である。

 3法案は、犯罪に関係のない国民をも不安に陥れてしまう。必要なのは、真に凶悪な犯罪集団を対象とした効果的な処罰・捜査手段であり、そのことについて十分国民の理解を得ることである。

 私たちは、今こそ、参議院が良識の府として真価を発揮するときであると考える。民主党は、引き続き参議院において3法案の問題点を広く国民に訴え、徹底審議を尽くしていきたい。
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