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2006/05/19
【衆院法務委】平岡議員、共謀罪の問題点を鋭く指摘


19日午後、衆院法務委員会において政府提出の共謀罪(条約刑法)法案と同法案に対する与党の修正案の審議があり、平岡秀夫衆院議員(次の内閣法務副大臣)が質問に立ち、政府案および与党修正案の問題点を鋭く指摘した。

 質問の冒頭に平岡議員は、与党に対して、強行採決にならないように抜本的修正に踏み出してもらいたいと強く要請した。

 平岡議員は、共謀罪に設けられている必要的自首減免制度(自首すれば必ず刑が減免されること)の矛盾を追及した。平岡議員は、暴力団などは警察よりも組織が怖いので自首はないのではないか、また逆に一般的な組織においては密告の奨励になり管理社会化が進むのではないかと問い質した。これらに対して、杉浦法務大臣および法務省・警察庁の担当責任者は曖昧な答弁に終始した。

 平岡議員は、自首減免規定に関する法務大臣の認識の欠陥を指摘しつつ、刑法には一般的な自首減免規定があり、特別の自首減免規定はわずかしかないにもかかわらず、与党案による修正を行った場合の共謀罪においても602もの罪について自首減免規定がかかることとなることを指摘した。そして、これは刑法体系に歪みをもたらすと批判した。

 平岡議員は、法務大臣が中止犯(犯罪を途中で止めた場合は必ず刑が減免されること)に触れたことを捉え、共謀罪の場合は共謀を中止しても中止犯とならず処罰されるのは常識に反し、制度としても不整合であると指摘した。法務省刑事局長は、共謀罪には実行の着手の概念がなく、中止した場合には共謀の完成の認定が困難であったり、実害が生じていないことを検察官が評価することになると答弁した。平岡議員はそのように警察や検察の判断によって左右されることこそ不合理であると批判した。

 平岡議員は、共謀罪を設けているアメリカ・イギリス・カナダなどのコモンローの国における刑期4年以上の罪の数と犯罪件数を問い質したが、山中外務政務官は各国に照会したが統計がないなどで不明であると答弁した。平岡議員は、先進諸国の事例も分からないのでは、正確な判断は出来ないと批判した。

 平岡議員はさらに、与党修正によって共謀罪の対象が一部5年以上の犯罪になったことについて、条約の趣旨に反することになるのではないかと衝いた。中山外務政務官は条約の趣旨には反しないと答弁したが、平岡議員はそれはご都合主義であり、条約上の手続にまで踏み込んだ修正をやってもらいたいと迫った。
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