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1998/05/20
労働基準法改正についての談話
民主党 政策調査会長 伊藤 英成
     労働部会長 鍵田 節哉 

  民主党は、政府の改正案の労働条件の明示、退職事由の明示、年次有給休暇の増加、労働者の最低年齢の引上げ、紛争解決援助、及び法令や就業規則の周知については、労働条件の一定の改善であると評価し、今後の更なる改善への基盤となるものと考える。

  一方、中央労働基準審議会において労使の意見が対立した項目のほとんどについて使用者側の意見が政府原案に反映されており、労働コスト削減を目的とした規制緩和が優先され労働者の権利が著しく侵害される恐れがある。また、男女雇用均等法で女子保護規定が撤廃されてしまったあとの激変緩和措置(時間外・休日・深夜労働に関する規制)を労基法改正で担保することが必要であるにもかかわらず、政府改正案には長時間労働の是正や仕事と家庭生活の両立に配慮した施策が欠落している。こうした問題点を重く受け止め、連合の対案(修正案)を尊重し、特に時間外・休日・深夜労働、新しい裁量労働制、一年単位の変形労働制に関するよりよいワークルールの確立を主張してきた。

  民主党は、女子保護規定がはずされてしまったあとの充分な激変緩和措置(時間外・休日・深夜労働に関する上限規定)を早急に確立すること、新しい裁量労働制の導入にあたって労使合意が得られるまで検討を継続することなどの重要性に鑑み、今国会中に最大限の法案修正を行うことが、最も現実的で労働者のためになると考えた。そうした判断のもと、共産党をのぞく各党に民主党の修正案をもとに共同修正を行うことを精力的に働きかけ、各党労働委員会理事からいったんは合意を得た。しかし、社民党内では党内調整がつかず、結果的に修正合意に至らなかった。

  労基法改正の国会審議に際し、中央労働基準審議会で労働・使用者・公益委員の合意が得られないまま改正案が作成され、さらに法案内容について与党の合意のないまま法案が国会に提出されたことが審議を混乱させ、与野党合意形成を構築する際の弊害となったことを指摘せざるを得ない。本法案が継続審議になる場合は、民主党は今までの修正要求を実現するために引き続き努力する。 
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