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2002/07/16
有明海及び八代海の再生に関する臨時措置法案
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民主党
(目的)
第一条
この法律は、有明海及び八代海を豊かな海として再生するため、臨時の措置として、有明海・八代海再生調査委員会を設置し、有明海及び八代海の海域の環境並びに当該海域における水産資源に関する総合的な調査を行わせるとともに、諫早湾干拓事業の施行を停止し、あわせて当該調査の結果に基づき新たな施策が講ぜられるまでの間における緊急の措置等を定めることにより、有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復を推進することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において「有明海」とは、次に掲げる直線及び陸岸によって囲まれた海面をいう。
一 長崎県瀬詰崎から熊本県天神山に至る直線
二 熊本県染岳から高松山三角点に至る直線
三 熊本県天草上島恵比須鼻から大矢野岳に至る直線
四 熊本県三角灯台から中神島を経て三角岳に至る直線
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この法律において「八代海」とは、次に掲げる直線及び陸岸によって囲まれた海面をいう。
一 熊本県三角岳から中神島を経て三角灯台に至る直線
二 熊本県大矢野岳から天草上島恵比須鼻に至る直線
三 熊本県高松山三角点から染岳に至る直線
四 熊本県天草下島台場ノ鼻から鹿児島県長島大崎に至る直線
五 鹿児島県長島神崎鼻から鵜瀬鼻に至る直線
(委員会の設置)
第三条
環境省に、有明海・八代海再生調査委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第四条
委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第八十七条の二第一項の規定による諫早湾直轄干拓事業(以下「諫早湾干拓事業」という。)と有明海及び八代海の海域の環境との関係に関する調査を行うこと。
二 有明海及び八代海の海域に流入する河川等の水質と当該海域の環境との関係に関する調査を行うこと。
三 有明海及び八代海の海域に流入する河川の流況と当該海域の環境との関係に関する調査を行うこと。
四 潮流、潮等と有明海及び八代海の海域の環境との関係に関する調査を行うこと。
五 干潟と有明海及び八代海の海域の環境との関係に関する調査を行うこと。
六 土砂の採取と有明海及び八代海の海域の環境との関係に関する調査を行うこと。
七 有明海及び八代海における赤潮、貧酸素水塊等の発生機構に関する調査を行うこと。
八 有明海及び八代海の海域の環境と当該海域における水産資源との関係に関する調査を行うこと。
九 前各号に掲げるもののほか、有明海及び八代海の海域の環境並びに当該海域における水産資源に関する調査を行うこと。
十 前各号の調査の結果に基づき、有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復のために講ずべき施策について、環境大臣、農林水産大臣又は関係各大臣に勧告すること。
(組織)
第五条
委員会は、委員七人をもって組織する。
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委員は、非常勤とする。ただし、そのうち二人以内は、常勤とすることができる。
(委員長)
第六条
委員会に、委員長を置き、委員の互選により選任する。
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委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
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委員会は、あらかじめ、委員長に事故があるときにその職務を代理する委員を定めておかなければならない。
(委員の任命)
第七条
委員は、環境の保全及び改善又は漁業に関し十分な知識と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、環境大臣が任命する。
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委員に欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、環境大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
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前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、環境大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
(委員の罷免)
第八条dd> 環境大臣は、委員が心身の故障のため職務の遂行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。
(委員の服務等)
第九条
委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
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委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
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常勤の委員は、在任中、環境大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。
(委員の給与)
第十条
委員の給与は、別に法律で定める。
(会議及び議事録の公開)
第十一条
委員会の会議及び議事録は、公開するものとする。
(資料提出の要求等)
第十二条
委員会は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
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委員会は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
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委員会は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、公聴会を開くことができる。
(報告及び公表)
第十三条
委員会は、第四条第一号から第九号までの調査を終えたときは、環境大臣、農林水産大臣及び関係各大臣に当該調査の結果を報告するとともに、これを公表しなければならない。
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委員会は、前項に定める場合のほか、毎年一回、環境大臣、農林水産大臣及び関係各大臣に第四条第一号から第九号までの調査の状況を報告するとともに、これを公表しなければならない。
(勧告及び公表)
第十四条
委員会は、第四条第一号から第九号までの調査を終えたときは、その結果に基づき、有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復のために講ずべき施策について、環境大臣、農林水産大臣又は関係各大臣に勧告するものとする。
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委員会は、前項に定める場合のほか、必要があると認めるときは、有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復のために講ずべき施策について、環境大臣、農林水産大臣又は関係各大臣に勧告することができる。
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環境大臣、農林水産大臣又は関係各大臣は、前二項の規定による勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。
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委員会は、第一項又は第二項の規定による勧告をしたときは、当該勧告の内容を公表しなければならない。
(政令への委任)
第十五条
第三条から前条までに規定するもののほか、委員会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
(調査の実施による損失の補償)
第十六条
国は、第四条第一号から第九号までの調査の実施により漁業者等が損失を受けた場合における当該損失を補償するための措置を講ずるものとする。
(諫早湾干拓事業の停止等)
第十七条
農林水産大臣は、この法律の施行後速やかに、諫早湾干拓事業の施行を停止しなければならない。
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農林水産大臣は、諫早湾干拓事業について第十四条第一項の規定による勧告を受けたときは、当該勧告に基づき、速やかに、必要な措置を講じなければならない。
(緊急の措置)
第十八条
国及び地方公共団体は、有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復を推進するため、第四条第一号から第九号までの調査の結果に基づき新たな施策が講ぜられるまでの間における緊急の措置として、次に掲げる事業の実施を推進しなければならない。
一 漁場の保全及び整備(水産動植物の生育環境の回復を含む。)に関する事業
二 有明海及び八代海の海域に流入する河川の流域における森林の整備に関する事業
三 排水処理施設の整備に関する事業
四 前三号に掲げるもののほか、有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復のための事業で政令で定めるもの
(知識の普及)
第十九条
国及び地方公共団体は、有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善を図るため、関係住民等に対し、当該海域の環境の保全及び改善に関する知識の普及を図るよう努めなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から施行する。
(この法律の失効)
第二条
この法律は、施行の日から起算して三年を経過した日にその効力を失う。
(環境省設置法の一部改正)
第三条
環境省設置法(平成十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
附則を附則第一項とし、附則に次の一項を加える。
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有明海及び八代海の再生に関する臨時措置法(平成十四年法律第 号)が効力を失う日までの間、同法の定めるところにより環境省に有明海・八代海再生調査委員会を置く。
(特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)
第四条
特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第十四号の次に次の一号を加える。
十四の二 有明海・八代海再生調査委員会の常勤の委員
第一条第二十八号の次に次の一号を加える。
二十八の二 有明海・八代海再生調査委員会の非常勤の委員
「運輸審議会の常勤の委員
別表第一官職名の欄中「運輸審議会の常勤の委員」を
有明海・八代海再生調査委員会の常勤の委員」
に改める。
理 由
有明海及び八代海の海域の環境の保全及び改善並びに当該海域における水産資源の回復を推進し、有明海及び八代海を豊かな海として再生するため、臨時の措置として、有明海・八代海再生調査委員会を設置し、有明海及び八代海の海域の環境並びに当該海域における水産資源に関する総合的な調査を行わせるとともに、諫早湾干拓事業の施行を停止し、あわせて当該調査の結果に基づき新たな施策が講ぜられるまでの間における緊急の措置等を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
本案施行に要する経費
本案施行に要する経費としては、初年度約二十億円の見込みである。
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