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1998/05/07
行政改革基本法案
(目的)
第一条
この法律は、行政改革について、基本理念及び国の責務を明らかにするとともに、行政改革の推進に関する施策の基本となる事項を定め、並びに国会に行政改革調査会を置くものとすることにより、行政改革を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

(行政改革に関する基本理念)
第二条
行政改革は、行政の公正の確保と透明性の向上並びにその簡素化及び効率化を旨とし、住民参加を真に実現するための地方分権の推進、市場原理及び市民の自立的な活動を尊重して行う国の規制の撤廃等による国の役割の限定等により、戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、もってより自由かつ公正で国民が安心して暮らすことのできる社会の形成に資することを基本として行われるものとする。

(国の責務)
第三条
国は、前条の基本理念にのっとり、行政改革を推進する責務を有する。

(地方分権の推進)
第四条
国と地方公共団体との役割分担については、地方分権を推進する観点から国の役割を限定することとし、これを踏まえ、国の行う事務は、次に掲げるものとする。

一 国際社会における国家としての存立にかかわる事務

二 全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な準則に関する事務

三 全国的な規模で又は全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施に関する事務

2 地方公共団体は、地方自治の本旨に基づいて、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うものとする。

3 国は、前二項に定める国と地方公共団体との役割分担の在り方に即して、地方公共団体への権限の委譲を推進するものとする。

4 国は、地方公共団体に対する関与を原則として行わないものとし、これを行う場合にあっても、法律で定める明確な基準に適合し、かつ、その定める手続によらなければならないものとする。

5 国は、地方公共団体の事務の自主的かつ自立的な執行を図るため、国と地方公共団体がそれぞれ事務を行うために要する経費の割合に見合うよう、地方税財源を確保するために必要な税制上その他の措置を講ずるものとする。

(国の規制の撤廃等)
第五条
国は、市場原理にゆだねることができる場合における経済活動に対する規制については、廃止するものとする。

2 前項に規定する規制以外の規制については、その目的に照らして必要最小限のものとするとともに、当該規制の必要性を不断に見直すため、当該規制に関する法律には、原則として有効期限を付するものとする。

(国と民間とが分担すべき役割の見直し)
第六条
国は、国と民間とが分担すべき役割について、民間事業への転換、民間への事務の移譲その他民間の能力及び人材の活用等による国の事務の減量、効率化等を図る観点から見直しを行い、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとする。

(市民活動の促進)
第七条
国は、市民の自立的な活動の一層の促進を図る観点から、営利を目的としない団体一般に対し法人格を付与する制度の創設について総合的に検討を加え、その結果に基づき必要な税制上の措置を含む法制上の措置を講ずるものとする。

(公共事業の見直し)
第八条
国は、次に掲げる方針に従い、公共事業の見直しのために必要な措置を講ずるものとする。

一 公共事業に関し、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画の企画立案並びに全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業の実施に限定し、その他の事業については、地方公共団体にゆだねるものとすること。

二 次に掲げるところにより、公共事業の決定過程の透明化及び評価の適正化を図ること。

イ 社会資本の整備に関する計画等において主要な事業の実施場所等その具体的内容をできる限り明らかにすること及び事業の実施の前後において、それぞれ、できる限り客観的な費用効果分析を行い、その結果を公表すること。

ロ イに掲げる計画等は、国会の承認を受けなければならないものとすること。

(内閣機能の強化)
第九条
内閣総理大臣その他の国務大臣に対する補佐体制の充実を図るため、別に法律で定めるところにより、各省に副大臣三人及び政務補佐官五人以内を、法律で国務大臣をもってその長に充てることと定められている各庁に副長官三人及び政務補佐官五人以内を置くとともに、内閣に、副大臣及び副長官をもって構成し、国政上の重要事項について政府全体を通ずる調整を行う副大臣等会議を置くものとする。

第十条
内閣官房は、基本的に内閣総理大臣により直接選任された者によって運営されるべきものとし、このため、行政組織の内外から人材を機動的に登用することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

2 内閣官房の組織については、内閣総理大臣の判断において、その時々の政策課題に応じ、柔軟かつ弾力的に編成することができる仕組みとするものとする。

(国の行政機関の見直し)
第十一条
国は、国の行政機関(その内部組織を含む。)について、地方分権の推進、国の規制の撤廃等の行政改革の進展の状況を踏まえて必要な見直しを行うものとする。

(行政改革調査会)第十二条
国会に、この法律に定める行政改革の実施に必要な立法について検討を行い、案を示して両議院に勧告する機関として、別に法律で定めるところにより、各議院においてその議員の中からそれぞれ選挙された委員をもって構成する行政改革調査会を置くものとする。

2 行政改革調査会は、この法律の施行後二年以内に、前項の検討を終えたものから順次同項の勧告を行うものとする。

附 則
この法律は、公布の日から施行する。

理 由
行政改革について、基本理念及び国の責務を明らかにするとともに、行政改革の推進に関する施策の基本となる事項を定め、並びに国会に行政改革調査会を置くものとすることにより、国会の主導の下に、行政改革を総合的かつ効果的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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