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2000/10/18
NPO税制・支援措置
2000年10月10日 民主党NPO委員会
2000年10月18日 民主党税制調査会 (はじめに)

 価値観が多様化し複雑化した現在の社会において、公益的機能を担う民間非営利・公益セクターの役割の重要性は今後ますます増大してくる。そこで、特定非営利活動法人(NPO法人)については、市民のニーズに合致し、新しく多様できめ細かな社会的サービスを供給する主体として、また、市民による自由な社会貢献活動として、その育成を支援する必要がある。各国とも、非営利セクターに対しては、法人格付与と税制支援策を採っているが、わが国では、法人格の付与が先行し、税制支援策が未だ確立していない。多様な価値観を認め合う市民社会を実現するためにも、速やかにNPO法人に対する税制支援策を導入すべきである。民主党は、特定公益増進法人制度とは別に、今後の発展が期待されているNPO法人の活動を、税制面からも適切に支援すべきであるとの観点から、客観的な基準により多くのNPO法人が税制支援策を受けることができる制度として、この提案をとりまとめた。

(税制支援措置)
1.税制支援を認めるNPO法人の要件

1. 法人格を取得してからの年数
* 特定非営利活動法人格を取得して1年が経過している団体とする(ただし、1年未満の法人についても、仮認定の制度を検討する)

2. 活動要件(支出・収入要件等)
* 支出要件
   → 特定非営利活動に対する支出が、支出全体の75%以上であること 
* 収入要件
   → 市民からの会費・寄付金、財団や基金からの助成、政府・自治体・国連機関等からの補助金の合計が全体の収入(ただし、不特定多数を対象とした特定非営利活動による事業収入を除く)の3分の1以上を占めること
   ※ ただし、特定の個人・法人による寄付については、カウントの上限を設ける
* 活動要件
(1) 法人がその法人の役員等(社員、その親族を含む)に対して、金銭の貸付、資産の譲渡、財産の運用、事業の運営等について特別の利益を与えないこと
(2) 資金源、資金募集プログラム、事業内容、有料サービスの料金体系、サービス提供要件等が、団体の目的や不特定多数性(主たるサービスが一般に開かれていること)に適合すること
(3) 他の団体の実質的な支配下にある場合には、その支配関係が目的に沿ったものであること(他の団体の隠れ蓑的団体ではないこと)
* 情報公開
(1) 役職員の給与(それぞれ上位5名)の公開
(2) 資金源、資金募集プログラム、事業内容、有料サービスの料金体系、サービス提供要件等の公開

3. 民法34条法人についても、上記の条件が満たされる場合には、NPO法人と同様の税制上の特例措置を認める


2.税制支援の適正を審査する機関

1. 国税
* 独立した第三者機関を設置する
(1) 認定は、認定の過程を明らかにし、NPOに対して説明責任を課す
(2) 不認定に対する再審査手続を保障する
(3) 認定後の事後チェックを行う
(4) 3年ごと(ただし、初回は2年とする)に認定を見直す
(5) 認定時の調査には、課税当局等の協力を求める
2. 地方税
* 国税に準じ、支援措置を講ずることができることとし、各地方自治体の裁量(条例)に委ねる(チェックの体制を含めて)
   ※ 「第三者機関を設置できる」とする方法も考えられる


3.税制支援制度の内容

1. 課税対象・税率
* 課税対象
 → 法人税法上の収益事業につき課税する(ただし、それがNPO法人の本来業務であり、その事業を利用した場合の対価が実費の範囲を超えない場合、その他相当と認められる場合には、第三者機関の認定により、非課税とする制度を設ける)
* 税率(現行30%、ただし800万円まで22%) 
→ 公益法人並(22%)とする

2. 寄付金控除
* 控除の枠組み
 → 特定寄付金の枠内とする
* 個人の控除枠
(1) 所得控除と税額控除の選択を認める
  a.所得控除
   所得の25%までとする
  b.税額控除
   所得税額の25%または12万円のいずれか低い額とする
   税額控除は、寄付金の50%とする
  c.全体の寄付金枠の制限〜総所得金額の25%まで
   「1万円を除いた額」という制限は廃止する
(2) 年末調整の対象とする
o 法人の控除枠
→ 一般の損金算入限度額とは別枠で、寄付金の損金への算入を認め、その枠は特定公益増進法人と同じ枠とする

3. みなし寄付金控除
* 法人税法上収益事業での所得については、その所得を非収益事業に支出した場合は、所得の50 %までの支出額をみなし寄付金として収益事業の損金に算入できることとする

4. 利子・配当等の源泉所得税
* 本来事業により生じたものについては非課税とする

5. 地方税(個人住民税・法人住民税・法人事業税・固定資産税等)
   → 地方自治体に委ねる

6. 検討課題
* ボランティア活動費用についての控除
* 相続税
* NPOに不動産を寄付した場合のみなし譲渡所得税

※ 上記の特定非営利活動法人に対する優遇措置に限定せず、公益寄付金税制の抜本改正により、税金の使途を国民自らが選択できる税制によるNPO支援税制を構成すべきとの具体的提案があり、今後検討を進める。


(その他の支援措置)

1. NPO法人の行う介護事業についての課税のあり方は、社会福祉法人に準ずる
2. 通信(インターネット、郵便)
* 通信料金の割引、インターネットプロバイダ設立の支援等を検討する
* 第三種郵便とは別に、NPOが利用しやすい郵便割引制度を創設する
3. NPO法人の評価・情報提供機関(日本版NCIB)の設立
4. 法人の立ち上げ資金の融資など


以 上
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