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2001/11/13
民主党・道路関係四公団の改革方針
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NC会議にて決定
民主党・道路関係四公団の改革方針
1960年前後に道路関係三公団は、我が国の高度経済成長を支えるうえで不可欠な高速道路網を緊急に整備するための事業実施主体として設立された。
資金不足にあえいでいた当時の日本で、財投資金に依存しつつも民間並みの経営感覚で事業を実施する「特殊法人」という事業主体が選択されたことは、それなりの時代的必然性があった。利用料金を積み立てて借入金を返済する「償還主義」は立派に機能すると信じられていた。
それから約15年の高度成長期には、首都高速道路は東京の動脈として、また東名・名神などの主要高速道路は日本の大動脈として、期待以上の役割を果たした。
しかしその後、国土の均衡ある発展とそれを支える高速道路網の整備を進めるにあたり、「儲かる路線」と「儲からない路線」との差の解消が問題となった。その答えとして導入されたのが「料金プール制」の採用である。これをきっかけとして道路公団の経営意識は、個別路線の独立採算制から全国一本の全体採算性となり、「償還主義」は維持されつつも「償還期日」は誰も知らない遥か先の未来にまで延ばされてしまった。さらに昭和62年には、国土開発幹線自動車道建設法の改正により予定路線が3,930km追加されて11,520kmとされ、ますます過大な目標が設定された。
高速道路のインターチェンジから一時間圏内に居住する人口が総人口の94%に達した現在、全体採算性の名のもと無制限に高規格幹線道路網を拡大しつづければ、「償還主義」そのものが破綻してしまうことに多くの国民が気づきはじめている。
国民的資金(財投資金)と民の心でスタートしたはずの特殊法人が、今や経営責任をとらずに果てしなき国民負担を求め続けるモンスターと化しつつある。もちろんこれからも道路整備が必要であることは断るまでもない。しかし事業の実施主体が道路関係四公団である時代は終わりを告げた。
時代的貢献を多としつつも、国民主権・地方主権に基き新たな主体を創造する時が巡ってきた。さらに将来、民主党が主張する連邦分権型国家が実現した暁には、中央の押し付けではなく、地方の需要とコスト意識にもとづいた主体的な判断によって、より望ましい形で高速道路の整備は進むと確信する。
以上の視点から当面の道路関係四公団の改革方針について、以下の通り民主党は提起する。
(1)道路関係四公団の分割・民営化について
* 日本道路公団については、政府全株保有の株式会社として、3年後をメドに分割・民営化する。現在保有する債務(約27兆円)については、分割・民営化された新会社が引き継ぐものとする。なお現在建設中の道路資産については、下記のA・B・Cの分類に従い、新会社へ移管する。
* 分割民営化された新会社については、当面の間、金利安定化措置や税の減免措置を通じ経営基盤の強化を図りつつ、債務の圧縮に努める。収益に対する債務の割合が2〜5倍(現在12倍強)にまで圧縮された段階で、株式の民間売却を順次開始する。なお債務の償還が終了しても、維持管理費のために利用者から適切な通行料金を徴収できるよう、所要の法改正を行う。
* 首都高速道路公団・阪神高速道路公団については、出資者である地方自治体の意向が大きく作用することから、これらの意見を尊重しつつ、原則として上記のスキームと同様に民営化する。
* 本州・四国連絡橋公団については巨額の債務(約4兆円)が発散していく状態にあるため、今後のあり方については、下記の第三者委員会で検討・決定する。
(2)今後の高速道路整備のあり方について
* 整備計画区間の残事業(約2,400km)については、見直しが必要であるということから一時的に凍結する。ただし現在建設中の道路資産に関しては、将来の建設再開にむけた必要最低限の補修工事を継続することを妨げない。
* また上記区間について、下記の第三者委員会にてネットワークとしての役割・採算性・建設コストなどの観点から、個別路線ごとに「A:引き続き新会社に建設を継続させることとする路線」、「B:国・地方公共団体が、必要に応じ公共事業等として実施する路線」、「C:建設を中止することとする路線」の3つのカテゴリーに分類する。
(3) 第三者委員会の設置について
* 国家行政組織法による第3条委員会を時限的に設置する。
* 第三者委員会では、分割の形態(路線別・地域別等)など新会社への移行に関する具体的方策を検討・決定する。また本四公団について、他の三公団との統合・分割の可能性も含め、今後のあり方について検討・決定する。
(4)その他
* 道路交通法の改正による最高制限速度の部分的緩和や、地域高規格道路の活用など、地域における道路交通網のあり方を再検討する。
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