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2000/04/03
農業経営再建特別措置法案要綱
第一 目的

  この法律は、国の施策に沿って農業経営の規模の拡大、農用地の改良等に取り組んできた専ら農業を営む者が、近年における農産物価格の下落その他農業を取り巻く環境の変化によって、農業経営に係る負債の償還が困難な状況となっており、その農業経営の再建が喫緊の課題であり、かつ、専ら農業を営む者の農業経営基盤の強化が食料自給率の向上のために重要であることにかんがみ、特定農業者の農業経営の再建に関する基本的な事項を定めるとともに、特定農業者について、農林漁業金融公庫等による資金の貸付け、土地改良事業に係る負担の軽減、農地等の買入れ及び貸付け等の措置を講ずることにより、その農業経営の再建及び優良農地の保全を図り、もって農業の持続的な発展及び農村の振興に資することを目的とするものとすること。


第二 定義

  この法律において「特定農業者」とは、専ら農業を営む者で、国の施策に沿って農業経営の規模の拡大、農用地の改良等に取り組んできた結果として農業経営に係る負債を償還することが困難な状況として政令で定める状況にあるものをいうものとすること。


第三 国の責務等

 一 国は、特定農業者の農業経営の再建のために必要な措置を講ずる責務を有するものとすること。

 二 地方公共団体は、一の国の措置と相まって、その区域の経済的社会的諸条件に応じて、特定農業者の農業経営の再建のために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。

 三 農業協同組合、農業協同組合連合会及び農林中央金庫は、特定農業者の農業経営の再建が円滑に行われるよう、その農業経営の再建に関し必要な援助を行うよう努めるものとすること。


第四 基本指針

 一 農林水産大臣は、特定農業者の農業経営の再建に関する基本指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとすること。

 二 基本指針においては、次の事項を定めるものとすること。

  1 特定農業者の農業経営の再建に関する基本的な目標
2 特定農業者の農業経営の再建のための措置に関する基本的な事項
  3 その他特定農業者の農業経営の再建に関する重要事項

 三 農林水産大臣は、基本指針を定めようとするときは、国の関係行政機関の長に協議しなければならないものとすること。

 四 農林水産大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。


第五 基本方針

 一 都道府県は、基本指針に即して、当該都道府県における特定農業者の農業経営の再建に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めることができるものとすること。

 二 基本方針においては、次の事項を定めるものとすること。

  1 特定農業者の農業経営の再建に関する目標
  2 特定農業者の農業経営の再建のための措置に関する事項
  3 その他特定農業者の農業経営の再建に関し必要な事項

 三 都道府県は、基本方針を定めようとするときは、農林水産大臣に協議しなければならないものとすること。

 四 都道府県は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。


第六 農業経営再建計画の認定等

 一 特定農業者は、農業経営再建計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、当該農業経営再建計画が適当である旨の認定を受けることができるものとすること。

 二 一の農業経営再建計画には、次の事項を記載しなければならないものとすること。

  1 農業経営の現状
  2 農業経営に係る負債の状況
  3 農業経営の再建に関する目標
  4 3の目標を達成するためとるべき措置
  5 その他農林水産省令で定める事項

 三 一により特定農業者が農業経営再建計画を作成しようとする場合においては、市町村長は、当該特定農業者の求めに応じ、助言その他の援助を行うものとすること。

 四 三により市町村長が助言その他の援助を行おうとするときは、農業委員会、地域農業改良普及センター、農業協同組合及び農業経営に関し専門的知識を有する者の意見を聴かなければならないものとすること。

 五 都道府県知事は、一の認定の申請があった場合において、その農業経営再建計画が基本方針に照らし適切なものであること、その農業経営再建計画の達成される見込みが確実であることその他の基準に適合するものであると認めるときは、その認定をするものとすること。


第七 指導

 一 都道府県知事は、第六の一の認定を受けた特定農業者(以下「認定特定農業者」という。)に対し、当該認定に係る農業経営再建計画(以下「認定計画」という。)の達成につき必要な指導をすることができるものとすること。

 二 一により都道府県知事が指導をしようとするときは、市町村長、農業委員会、地域農業改良普及センター、農業協同組合及び農業経営に関し専門的知識を有する者の意見を聴かなければならないものとすること。


第八 資金の貸付け

 一 農林漁業金融公庫等は、認定特定農業者に対し、認定計画に従って農業経営の再建を図るのに必要な資金の貸付けを行うものとすること。

 二 一による貸付金の利率は年一分以内、その償還期限は二十五年以内、その据置期間は十年以内とするものとすること。

 三 農林漁業金融公庫等は、一の資金の貸付けを行う場合には、貸付けの申込みをした者につき、認定計画を参酌して、貸付金額及び貸付金の利率、償還期限その他の貸付条件を定めなければならないものとすること。


第九 土地改良事業に係る負担の軽減

  国は、認定特定農業者の農業経営の再建のために必要があると認めるときは、認定特定農業者の土地改良事業に係る負担金、分担金、賦課金等の負担について、その負担を軽減するための措置を講ずるものとすること。


第十 農地等の買入れ及び貸付け

 一 国は、認定特定農業者からその所有する農地又は採草放牧地(これらの附帯施設を含む。以下同じ。)を買い入れるべき旨の申出があったときは、当該農地又は採草放牧地を買い入れるものとすること。

 二 一の場合において、国は、一の認定特定農業者から一により買い入れた農地又は採草放牧地を貸し付けるべき旨の申出があったときは、その者に対し、当該農地又は採草放牧地を貸し付けるものとすること。

 三 一の買入れの価額は時価によるものとし、二の貸付けの対価は政令で定めるところにより算出した額とするものとすること。


第十一 その他

 一 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行すること。

 二 この法律は、平成二十三年三月三十一日限り、その効力を失うものとすること。

 三 その他所要の規定を整備すること。
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