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2000/02/22
省資源及び廃棄物管理法案(仮称)政策大綱(案)
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第一 総則
一 目的
この法律は、省資源及び廃棄物の管理に関する施策の原則を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び消費者の責務を明らかにするとともに、廃棄物の排出の抑制及びその適正な分別、保管、収集、運搬、再資源化、処分等について定めることにより、資源の保全並びに資源の利用の地域間及び世代間の公平を図りつつ、省資源及び廃棄物の適正な管理を総合的かつ計画的に促進し、もって環境への負荷の少ない持続可能な社会を構築するとともに環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とするものとすること。
二 定義
この法律において「廃棄物」とは、占有者が廃棄し、廃棄しようとし、又は廃棄しなければならないすべての動産をいうものとすること。
この法律において「家庭系廃棄物」とは、消費者から排出される廃棄物をいうものとすること。
この法律において「事業系廃棄物」とは、事業者から排出される廃棄物をいうものとすること。
この法律において「特定有害廃棄物等」とは、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第二条第一項に規定する特定有害廃棄物等をいうものとすること。
三 責務
国の責務
イ 国は、省資源及び廃棄物の管理に必要な技術の開発、情報の提供、資金の確保その他必要な施策を実施する責務を有するものとすること。
ロ 国は、自ら廃棄物の発生及び排出の抑制を図るとともに、自ら再生資源を用いた製品の使用に努めるものとすること。
地方公共団体の責務
イ 地方公共団体は、地域の実情に即し、国の施策に準じて、省資源及び廃棄物の管理に必要な施策を実施するものとすること。
ロ 地方公共団体は、自ら廃棄物の発生及び排出の抑制を図るとともに、自ら再生資源を用いた製品の使用に努めるものとすること。
事業者の責務
事業者は、省資源及び廃棄物の適正な管理に資するため、製品の設計、材料及び製法の選定等の必要な配慮をするとともに、製品の回収等廃棄物の発生及び排出を抑制する流通を確保するよう努めるものとすること。
消費者の責務
消費者は、環境への負荷の少ない製品の選択、その長期にわたる使用及び分別回収その他の資源循環を図る取組に協力するとともに、廃棄物の発生及び排出を抑制し、環境への負荷の少ない生活様式を実践するよう努めるものとすること。
第二 省資源及び廃棄物の管理に関する施策の原則
一 省資源及び廃棄物の管理に関する施策の優先順位は、次に掲げるところによるものとすること。
発生及び排出の抑制
再使用(廃棄物を改変しないでその全部又は一部をそのまま使用することをいう。以下同じ。)
リサイクル(廃棄物を原材料等として利用できる状態に改変すること及び原材料等として使用することをいう。以下同じ。)
適正処理
二 一の優先順位の適用に当たっては、極力、一の1から3までを優先するものとすること。
三 適正処理については、可能な限り熱としての有効利用を図るものとし、最終処分は、一の1から3までが技術的に不可能な場合に限り行うことができるものとすること。
四 製品の製造から廃棄に至るまでのすべての過程において、可能な限り、資源を節約するとともに、環境への負荷を低減し、エネルギー消費効率及び資源の利用効率を向上させるよう配慮されなければならないものとすること。
五 製造者は、その製造した製品で不用となったものを引き取るようにするものとすること。
六 省資源及び廃棄物の管理に当たっては、生物の多様性の確保、地球環境の保全等に配慮するものとすること。
七 生物的に分解可能な廃棄物については、環境への負荷の少ないリサイクル及び処理の方法を用いるものとすること。
八 有害性、爆発性等の性質を有する物質を含有する廃棄物については、次に掲げるところにより、その処理を行うものとすること。
代替物質による使用の削減及び発生抑制
使用過程における回収及びリサイクル並びに無害化及び安定化
無害化及び安定化が不可能なものの適切な無害化処理技術が開発されるまでの暫定処理としての保管及び管理
九 特定有害廃棄物等については、特に、その発生抑制及び使用削減を図るものとすること。
十 省資源及び廃棄物の管理に当たっては、廃棄物処理施設の民営化の推進等による新規産業の創出に配慮するものとすること。
第三 省資源及び廃棄物の管理
一 家庭系廃棄物
市町村は、その区域内における家庭系廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分しなければならないものとすること。
二 事業系廃棄物
事業系廃棄物の処理等
イ 原則
事業者は、極力、廃棄物の排出抑制に努め、やむを得ず排出する廃棄物については、再使用及びリサイクルに努めるものとすること。
環境大臣は、第四の五の集計の結果を勘案し、我が国全体及び業種別の事業系廃棄物の再使用及びリサイクルの率の目標並びに当該目標の達成年度の目標を定め、これを公表するものとすること。
ロ 再使用及びリサイクルのできない廃棄物については、排出した事業者は、自ら適正に処理にしなければならないものとすること。
ハ 事業系廃棄物の野焼きによる処理は禁止するものとすること。
ニ 旧事業系一般廃棄物については、当分の間、市町村は、その処理を行うことができるものとすること。この場合において、市町村は、適正な対価を徴収することができるものとすること。
運搬又は処理の委託
イ 事業者は、その事業系廃棄物の運搬又は処理を他人に委託する場合には、政令で定める基準に従い、その運搬については三の1の廃棄物収集運搬業者に、その処理については四の1のリサイクル関連施設又は四の2の廃棄物処理施設を設置する者にそれぞれ委託しなければならないものとすること。この場合において、委託した事業者は、委託後の不法投棄等の不適正処理に関し免責されないものとすること。
ロ 不適正処理を行った者及び当該処理を委託した事業者の公表制度を設けるものとすること。
事業系廃棄物管理票
事業系廃棄物管理票に係る制度(マニフェスト制度)を設けるものとすること。当該制度において、最終処分までの確認が委託した事業者に義務づけられるものとすること。事業系廃棄物管理票に係る制度の電子化を推進するものとすること。
事業系廃棄物適正処理推進センターを設け、事業系廃棄物の不法投棄に関する原状回復対策の実施に係る業務を行わせるものとすること。
三 廃棄物収集運搬業
家庭系廃棄物又は事業系廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長(二以上の市町村の区域において当該業を行おうとする者にあっては、都道府県知事)の許可を得なければならないものとすること。ただし、事業者が自らその排出した事業系廃棄物を運搬する場合は、その区域を管轄する市町村長に届け出なければならないものとすること。
市町村長又は都道府県知事は、1の許可の申請が、その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること等の要件に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならないものとすること。
1の許可を受けた者は、政令で定める廃棄物の収集及び運搬に関する基準に従い、廃棄物の収集又は運搬を行わなければならないものとすること。基準に違反した者には、刑罰を科すものとすること。
消費者が自ら排出した家庭系廃棄物を運搬しようとするときは、3の基準に従わなければならないものとすること。
四 廃棄物処理施設等
リサイクル関連施設
リサイクル関連施設(リサイクル施設、保管施設、減容施設、前処理施設その他のリサイクルに係る処理を行う施設として政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者(特定有害廃棄物等を取り扱うリサイクル関連施設を設置しようとする者を除く。)は、当該リサイクル関連施設を設置しようとする地を管轄する市町村長に届け出なければならないものとすること。
廃棄物処理施設等
イ 廃棄物処理施設(焼却施設、最終処分場その他の廃棄物の処理を行う施設として政令で定めるものをいう。以下同じ。)及び特定有害廃棄物等を取り扱うリサイクル関連施設を設置しようとする者は、当該廃棄物処理施設又はリサイクル関連施設を設置しようとする地を管轄する市町村長の許可を受けなければならないものとすること。
ロ 市町村長は、イの許可の申請が、その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること等の要件に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならないものとすること。
ハ 周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査等所要の規定を設けるものとすること。
リサイクル関連施設及び廃棄物処理施設に係る環境上の施設基準を設けるものとすること。施設基準に違反した者には、刑罰を科すものとすること。
最終処分場に係る維持管理積立金の制度を設けるものとすること。
従量制の焼却税、埋立税等を導入し、廃棄物処理施設への廃棄物の持込量の削減を図るものとすること。その税収の一部を事業系廃棄物適正処理推進センターの原状回復対策の実施に充てる制度を設けるものとすること。
五 指定製品に係る省資源及び廃棄物の管理
特定製品の引取り、再使用及びリサイクル
廃棄物の減量及び再生資源の有効な利用の確保を図る上で特に必要な製品については、製造者は、別に法律で定めるところにより、当該製品(販売前に廃棄される製品を含む。)の引取り、再使用又はリサイクルを行わなければならないものとすること。
再生資源の利用の促進
イ 製品に関する措置(第一種指定製品)
一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された後その全部又は一部を再生資源として利用することを促進することが当該再生資源の有効な利用を図る上で特に必要なものとして政令で定める製品については、当該製品に係る再生資源の利用を促進するため、当該製品の製造、加工、修理又は販売の事業を行う者の判断の基準となるべき事項を定め、事業者に対する指導及び助言、勧告及び公表等の措置を設けるものとすること。
ロ 表示に関する措置(第二種指定製品)
一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された後その全部又は一部を再生資源として利用することを目的としてその材質等を識別するための表示、分別回収をするための表示及び環境へ負荷を与える物質の含有に係る表示をすることが当該再生資源の有効な利用を図る上で特に必要なものとして政令で定める製品については、当該製品に係る再生資源の利用を促進するため、当該製品ごとに、材質又は成分等の表示すべき事項につき表示の標準となるべき事項を定め、事業者に対する主務大臣の勧告及び命令等の措置を設けるものとすること。
ハ 回収に関する措置(第三種指定製品)
現状において廃棄物としての排出量が多いにもかかわらずリサイクルが進んでいないもの、有害物質を含有し、又はその処理の過程において有害物質を発生させるおそれがあるもの、その再資源化が難しいもの又は環境への負荷が大きいもの等回収率の引き上げが特に必要なものとして政令で定める製品については、回収責任を負う者の指定及び目標とする回収率の設定を行うものとすること。この場合において、特に必要があると認める場合には預託払戻制度(デポジット制度)又は強制力を有する回収制度の導入等必要な措置を設けるものとすること。
第三種指定製品の回収を行う事業者は、三の廃棄物収集運搬業の許可を要しないものとすること。
ニ 第一種指定製品、第二種指定製品及び第三種指定製品を定める政令は、随時、見直しを行い、新たに指定すべき製品は、速やかに指定するものとすること。
消費者は、再生資源の有効な利用に資するため、製品の適切な回収に協力しなければならないものとすること。
市町村は、分別排出されない廃棄物への従量制に基づく処理手数料の設定等分別回収を促進するための環境の整備に努めるものとすること。
政府は、国民から意見を聴き、毎年、再生資源の利用に係る法制上の措置に関する五年を目途とする長期の見通しをたて、これを公表しなければならないものとすること。
六 再生資源に係る取引市場の整備等
政府は、再生資源の利用を推進するため、再生資源の標準化の推進、取引市場の整備等必要な措置を講ずるものとすること。
政府は、再生資源の利用を推進するため、別に法律で定めるところにより、国等の公的部門における再生資源を用いた製品の調達を推進するものとすること。
事業者の再生資源の利用に関する目標の設定及びその達成状況の公表に関する制度を設けるものとすること。
再生資源に係る取引については、古物営業法の古物営業の許可は必要ないものとすること。
第四 市町村廃棄物処理減量計画等
一 市町村は、当該市町村の住民の意見を聴き、当該市町村の区域内の廃棄物の処理及び減量に関する計画(以下「市町村廃棄物処理減量計画」という。)を策定するものとすること。
二 事業者は、事業所ごとに、毎年度、前年度の廃棄物発生量及びリサイクルの実績並びに次年度の廃棄物発生量の予測及びリサイクルに係る計画を当該事業所の所在地の属する市町村に届け出なければならないものとすること。
三 市町村は、二により届出を受けた事項を集計し、都道府県及び国に報告するとともに、その結果を公表するものとすること。
四 市町村は、三の集計により予測される廃棄物発生量と市町村廃棄物処理減量計画が適合しないときは必要な指導及び助言等の措置を講ずるものとすること。
五 国及び都道府県は、三の報告に係る事項について集計し、その結果を公表するものとすること。
第五 その他
一 国は、この法律の基本的な理念及び方針に基づき、必要な法整備を進めるものとすること。
二 国は、製品等の原料採取から廃棄に至る全段階での環境への負荷の評価(ライフサイクルアセスメント)に関する指標を整備するものとすること。
三 所要の罰則を設けるものとすること。
第六 施行期日等
一 この法律は、平成十五年一月一日から施行するものとすること。ただし、第二の三の最終処分の制限については、平成二十二年一月一日から施行するものとすること。
二 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び再生資源の利用の促進に関する法律は、これを廃止するものとすること。
三 その他所要の規定を設けるものとすること。
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