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2003/05/03
憲法記念日にあたって(談話)
民主党代表 菅 直人

 私たちは、本日の憲法記念日にあたって、日本国憲法の理念と精神を改めて深く噛みしめるとともに、新しい時代において、更なる憲法論議を進めていくことの重要性を再確認するものである。

 二つの世紀に跨り半世紀以上も続いた現行憲法は、いまや日本国民の間に深く定着し、国民生活の社会的・政治的・精神的な共通の基盤となっている。私たちは、戦後日本の平和と安全、繁栄と民主主義を創り出してきた日本国民の計り知れないエネルギーもまた、この憲法を一つの土台として生まれてきたと受けとめている。

 現行憲法の根本規範たる「国民主権」「基本的人権の尊重」及び「平和主義」の3つの精神は、21世紀の日本のみならず、世界にも広げていくべき普遍的原理として今後も大切にしていかなければならない。

ところで近年、政府の中に確かな憲法論議を欠いたままに既成事実を積み重ねようとする動きが目立ち、国民にある種の不安を抱かせている。場当たり的な憲法解釈によって問題を避けるのではなく、憲法は国の基本的枠組みであることをしっかり踏まえて、十分な国民的議論を起こしていく必要がある。 
 
この点、民主党はいま、「論憲」の立場を明確にして、新しい時代によりふさわしい憲法のあり方について大いなる論議を行うべく、真摯な議論を展開している。首相のリーダーシップをより強く発揮させるにはどうしたらよいのか。国民主権の豊富化のために改善すべき点はないか。プライバシーの保護や「知る権利」などいわゆる新しい権利の保障を明記すべきではないか。国際秩序がいまだ不安定な今日、わが国としても安全保障や国際協力の面で明確な方向を示すことが求められているのではないか等々について、多くの論議を重ね、提言をとりまとめている。
 
幸い、近年になって、憲法について自由に議論することをよしとする新しい風が生まれつつある。その自由闊達な憲法論議を経て、私たちの憲法が日本国民と世界の人々の幸福につながるものとなることを心から念願し、本日の憲法記念日をお祝いしたい。
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