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2002/01/10
<衆国土交通委>海上警備体制の整備を〜不審船事件で3議員が質問
 衆議院国土交通委員会で10日、東シナ海での不審船事件に関する閉会中審査が行われ、民主党の古賀一成、前原誠司、川内博史の各衆議院議員が質問に立った。

 古賀議員は、早急な事実解明を迫る観点から質問。まず、現在水深100メートルの海中に沈んでいる不審船の引き揚げについて、技術的には民間のサルベージ会社に依頼すれば可能であることを、海上保安庁および防衛庁に確認した。次に、当該の海域が中国の排他的経済水域内であることから、日本から中国に対して引き揚げに向けた外交的働きかけを行っているかを質した。

 政府参考人の外務省・林審議官は、「情報交換は行っている」と曖昧に答えるにとどまったが、古賀議員はさらに、政府の引き揚げに関する方針は誰がどのように決めるのかについても質問。これについては、海上保安庁の縄野長官が、「事実解明の責務を負う者として、責任を持って検討し、政府対応を決定する」と答えた。これを受けて古賀議員は、「毅然たる態度で不審船を引き揚げ、事実関係を断固として解明してほしい」と強く要求した。

 続いて前原議員は、排他的経済水域における外国船舶の取り締まりの法的根拠をめぐって質問。今回の不審船への対応が漁業法違反を根拠として行われたことを指摘し、「漁船ではなく普通の船舶が不審な活動を行っている場合、それを取り締まる法律はあるのか」と質した。縄野海保長官は、「排他的経済水域においては、沿岸国の主権が及ぶ範囲が漁業等に限られている」として、取り締まりの根拠は漁業法であるとした。

 前原議員は、沿岸国の防衛や安全を脅かすような通航を各国の国内法によって取り締まることは、国連海洋法条約によって加盟国に認められていると指摘した上で、今回のように漁業法による「別件逮捕」に頼るのでなく、適正な法整備を進めるべきだ、と詰め寄った。これに対して扇国交相は、「法的不備があれば、改正していきたい」と述べた。

 最後に質問に立った川内議員は、不審船に対する対応が非常に遅れた原因について追及。とりわけ、海上自衛隊のP3C哨戒機は当初、不審船を一般の外国漁船と認識して他の漁船と同様に撮影していたこと、またその写真を電送する際に、海上幕僚監部だけでなく多くの部隊に同時に送ったため時間がかかったこと、などを明らかにした。
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