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2001/11/13
民法の一部を改正する法律(案)
民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。


 第七百三十一条を次のように改める。


第七百三十一条 十八歳に達しない者は、婚姻をすることができない。


 第七百三十三条第一項中「取消」を「取消し」に、「六箇月」を「起算して百日」に改め、同条第二項中「取消の前から懐胎していた場合には」を「取消しの日以後に出産したときは」に改める。


 第七百四十六条中「取消」を「取消し」に、「六箇月」を「起算して百日」に改める。


 第七百五十条中「夫又は妻の氏」を「夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏」に改める。


 第七百九十条第一項中「、父母の氏」の下に「(子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏)又はその出生の際に父母の協議で定める父若しくは母の氏」を加え、同項ただし書を削り、同項の次に次の三項を加える。


 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないとき(次項及び第四項の場合を除く。)は、家庭裁判所は、父又は母の請求により、協議に代わる審判をすることができる。

 子が称する氏を父母の協議で定める場合において、父母の一方が、死亡し、又はその意思を表示することができないときは、子は、他の一方が定める父又は母の氏を称する。

 子が称する氏を父母の協議で定める場合において、父母の双方が、死亡し、又はその意思を表示することができないときは、家庭裁判所は、子の親族その他の利害関係人の請求により、父又は母の氏を子が称する氏として定める。


第七百九十一条第二項中「父母の氏」の下に「又はその父若しくは母の氏」を加え、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同条第四項中「前三項」を「前各項」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。


 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合には、子は、父母の婚姻中に限り、第一項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、その父又は母の氏を称することができる。ただし、父母の婚姻後に子がその氏を改めたときは、この限りでない。


 第八百十条を次のように改める。


第八百十条 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦がともに養子をする場合において、養子となる者が十五歳以上であるときは、縁組の際に養親となる者と養子となる者の協議で定める養親のいずれかの氏、養子となる者が十五歳未満であるときは、縁組の際に養親となる者の協議で定める養親のいずれかの氏)を称する。
 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とする場合において、養子は、前項の規定にかかわらず、養子となる者が十五歳以上であるときは、縁組の際に養親となる者、その配偶者及び養子となる者の協議で定める養親又はその配偶者の氏(養親となる者の配偶者がその意思を表示することができないときは、養親となる者と養子となる者の協議で定める養親又はその配偶者の氏)、養子となる者が十五歳未満であるときは、縁組の際に養親となる者とその配偶者の協議で定める養親又はその配偶者の氏(養親となる者の配偶者がその意思を表示することができないときは、養親となる者が定める養親又はその配偶者の氏)を称する。
 養子が婚姻によつて氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、前二項の規定を適用しない。


 第九百条中「左の」を「次の」に改め、同条第四号ただし書中「但し、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし」を「ただし」に改める。


附 則


(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


(経過措置の原則)
第二条
この法律による改正後の民法(次条において「新法」という。)の規定は、附則第五条の規定による場合を除き、この法律の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前の民法(同条において「旧法」という。)の規定により生じた効力を妨げない。


(婚姻適齢に関する経過措置)
第三条
この法律の施行の際十六歳に達している女は、新法第七百三十一条の規定にかかわらず、婚姻をすることができる。


(夫婦の氏に関する経過措置)
第四条
この法律の施行前に婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、配偶者との合意に基づき、この法律の施行の日から二年以内に別に法律で定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏に復することができる。


(相続の効力に関する経過措置)
第五条
この法律の施行前に開始した相続に関しては、なお、旧法の規定を適用する。



理 由


 最近における国民の価値観の多様化及び女性の地位の向上、これらを反映した世論の動向等にかんがみ、婚姻制度に関しては、個人の尊重と男女の対等な関係の構築の観点から選択的夫婦別氏制の導入並びに婚姻適齢及び再婚禁止期間の見直しを行い、相続制度に関しては、嫡出でない子の権利の保護の観点から嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同一とする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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