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2002/12/19
政府の「企業・産業再生に関する基本指針」について(談話)
民主党政策調査会長 枝野 幸男

 産業再生機構は、10月30日に公表された「改革加速のための総合対応策」に急遽盛り込まれたものであると言われているが、それまでに十分な検討を加えられたものとは到底考えられず、思いつきの構想と言わざるを得ない。

 加えて、基本方針では、次のように重大な問題点が明らかになった。第一に、政治と行政が企業の生死を決めること自体が問題である。第二に、買取価格を高く設定することにより、機構が国家的不良債権飛ばし機関になるおそれがある。これは、金融機関に裏口から補助金を投入し、国民負担により銀行を救済するに等しいものであり、断じて認めることができない。第三に、再建の可否を判断する客観的な基準づくりが困難であり、結局は政治圧力によって安易な延命を許す国家的借金棒引き機関になるおそれがあることである。

 公的資金を投入された銀行が安易な債権放棄により問題大企業を延命させる一方で、多くの中小企業が貸しはがしにより倒産に追い込まれているが、産業再生機構はその構図に拍車をかけるおそれがある。仮にそうなれば、後に残されるものは深刻なモラル・ハザードと国民への巨額のツケ回しである。民主党は、通常国会において、これらの問題点を徹底的に追及していく。

 産業・経済再生には、まず金融再生が不可欠である。その上で、企業倒産や失業に備えたセーフティネットをしっかりと張り、円高是正によって産業空洞化を食い止めるとともに、規制改革や税制改革等を通じた新規起業を促すことが必要である。そのためには、民主党の「金融再生ファイナルプラン」「経済再生プラン」を実行すべきである。
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