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2000/02/07
いわゆる草加事件の最高裁判決について(談話)
民主党司法ネクスト大臣  江田 五月


1. いわゆる草加事件について、少年側に損害賠償義務を認めた東京高裁判決を破棄差戻しする最高裁判決が出された。判決についての論評は差し控えるが、この機会に再び少年法と少年審判のあり方について議論が起こることが予想される。


2. まず、少年審判の事実認定機能に対する懸念について。

(1) 草加事件の司法判断が、事実認定の点で裁判所ごとにさまざまに分かれたことは事実である。しかしこれは、裁判といえども客観的真実を知り得ない人間の営みであるから、避けられないことであって、少年審判に特有の欠陥ではない。

(2) 仮に少年審判に携わる裁判官の事実認定能力が低下しているというなら、裁判官の任用と養成の問題であって、少年法の問題ではない。少年事件の捜査と審判の充実方策を総合的に検討しなければならない。

(3) この事件を理由に少年審判構造の再検討を主張することは、的を得たものとはいえない。


3. 少年審判の事後審査のあり方について。

(1)草加事件は、少年審判の事後審査ではなく、民事裁判によって、少年審判の認定事実が争われたので、少年審判の抗告や再審のあり方に関して議論が起こる。

(2) この点はもちろん検討しなければならないテーマであるが、少年の重罰化の動きに引きずられてはならない。注意を要する。
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