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1998/06/30
緊急雇用安定化対策
民 主 党

 5月の完全失業率は4.1%で極めて厳しい情勢が続いている。景気の低迷、雇用情勢の悪化を招いた原因は、自民党・橋本内閣の経済情勢判断の誤りの繰り返しと抜本的な経済・雇用対策の先送りにある。橋本内閣の決定した16兆円の「総合経済対策」も、従来型の公共事業中心の景気対策であり抜本的な景気・雇用回復につながるものではなく、むしろ、失業率を更に悪化・常態化させる危険性さえ内包している。民主党は、かねてから主張してきた所得税・法人税の恒久減税等を柱とした景気対策とあわせ、以下の緊急雇用安定化対策を提唱する。


1.自律的経済成長を実現する景気対策
我が党は、以下のプログラムを柱とした『"全治3年“日本経済再建プログラム』(6月29日発表)を実施し、個人消費や民間設備投資の活発化による自律的経済成長の実現と官主導から民主導の経済構造への転換をめざす。

(1)3兆円の所得税恒久減税、法人課税の実効税率40%程度への引き下げ、住宅取得促進税制の拡充等により総額6兆円の減税を実施する。

(2) 土木中心の従来型公共事業でない、生活・福祉・環境・エネルギー・情報通信等の21世紀型社会資本整備を地方主体で実施するため、4兆円の包括的補助金を交付する。

(3) 財政構造改革法の2年間凍結と抜本的見直しを行う。


2.労働力需給ミスマッチ改善対策

産業構造の変化、技術革新等に起因する産業、職種、地域、年齢などの労働力需給のミスマッチを緩和するため、以下の施策を実施する。

(1)雇用の維持・継続化対策

[1]雇用調整助成金制度(事業活動の縮小を余儀なくされて従業員の休業、教育訓練又は出向を実施する事業主に対して、休業手当て、賃金又は出向労働者に係る賃金負担額の一部を助成する制度)は、助成金給付の対象を単一事業所としているため中小企業が教育訓練に活用しがたいなどの問題が指摘されている。そのため、中小企業については、単一事業所だけでなく工業団地や同一地域内の中小企業等が共同でこの制度を利用できるよう拡充する。

[2] 育児・介護休業制度にかかわる所得保障を現行の25%(介護休業手当は11年4月から支給開始)から60%に引き上げ、育児や介護による失業を防止するとともに、仕事と家庭生活の両立を支援する。

(2)中高年齢求職者の再雇用促進策

[1] 特定求職者雇用開発助成金(就職が困難な者を公共職業案内所の紹介により、継続して雇用する労働者として雇用した場合に、賃金の一部を対象労働者の雇入れ後1年間助成する制度)の高年齢者給付についての年齢要件が55才以上から45才以上に引き下げられたが、45才から54才の対象者についても、当面の間賃金助成率を1/6から1/4(中小企業については1/4から1/3)に引き上げる。

[2] シルバー人材センターや新しく設立する第3セクター方式の施設において、中高年求職者や定年退職者の労働力を福祉部門などに活用できるよう、介護マンパワー等福祉分野における人材育成・教育訓練を拡充する。

(3)職業訓練・教育の充実

[1]雇用の拡大が期待される福祉、環境、情報通信関連分野等の公共職業訓練・教育の内容を拡充し、再就職に効果的なカリキュラムの開発・普及を推進する。

[2]本年12月から実施される「教育訓練給付金制度」など個々人が自発的に行う教育訓練助成制度を普及・拡充する。社会人の大学・大学院への再入学に対する費用の一部助成、長期教育訓練休暇制度の創設を実施する。

(4)地域的雇用情勢の改善

[1]雇用が著しく悪化している地域を対象とする地域雇用開発助成金制度の給付対象地の指定は、地域の実状に則し機動的に対応する。


3.雇用創出・新規起業支援対策
新規分野、新産業における雇用創出を実現するため、以下の施策を実施する。

[1] 情報通信・環境・福祉医療関連などを雇用創出効果の大きい産業と位置づけ、新規事業創業期の法人税免除、などを実施する。

2] 新ゴールドプラン、スーパーゴールドプランの実施にともなう介護マンパワーの育成・確保による雇用創出を確実に実施する。


※以上の緊急雇用対策に加え、我が党は政策調査会のもとに「雇用・新産業育成プロジェクト」を設置し、産業構造の変化に対応した雇用政策・新産業育成政策を年内を目途に策定する。

以上
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