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2002/01/23
【参院本会議】峰崎議員、二次補正の財源問題を厳しく追及


 衆議院に続き、23日には参議院本会議で二次補正予算に対する代表質問が行われ、民主党ネクストキャビネットの財務大臣である峰崎直樹議員が民主党・新緑風会を代表して質問に立った。

■金融担当大臣・農水大臣の即刻更迭求める

 峰崎議員は、冒頭、小泉内閣の政治姿勢にふれ、ペイオフの4月解禁を目前に控えながら失政を続け金融不安を拡大させている柳沢金融担当大臣やBSE(牛海綿状脳症)問題で無責任な言動を繰り返す武部農水大臣を即刻罷免し、これらの不安解消に務めることを予算審議よりも優先すべきだと主張。また、22日に閉幕したアフガニスタン復興支援国際会議へのNGO代表の出席拒否問題について、自民党の鈴木宗男代議士が外務省に圧力をかけたと言われることなどについて事実関係の説明を求めた。

 これに対して小泉総理は、政府は金融市場の動向を十分注視し、必要であれば現行法による金融危機対応会議を開いて対応策を講じる用意もあり、金融担当大臣とは認識を一にしていると答弁。BSE問題については、一時期政府内で連絡不十分だったことは遺憾だが、現在は安全な肉のみ流通しており、今後感染経路の解明などに全力を尽くすよう指示しているとした。

 また、アフガン国際会議へのNGOの出席拒否問題について田中外務大臣は、自分の承知していないところでなされたことを後で聞いたが、今後は円滑にいくよう事務方を指導すると述べた。

■NTT無利子貸付制度の利用は借金の先送りにすぎない

 二次補正予算について峰崎議員は、まず小泉総理がその財源であるNTT株売り払い収入について「うまいへそくりがあったな」と無邪気に喜んでみせたことに関し、仮にこの財源がなければ二次補正予算は編成しなかったのか、総理の経済情勢の認識を質した。

 また、NTT無利子貸付制度を利用して事業を行う仕組みをとったことについては、たんなる借金の先送りであり、国債発行額30兆円以下という総理の公約とつじつまを合わせるための粉飾にほかならないと厳しく批判した。

 さらに、「改革推進公共投資」特別措置と名付けられた具体的な歳出の内容も、予算書を詳細に読めば、治山治水対策事業、道路整備事業、農業農村整備事業など旧来型公共事業の看板をかけ替えただけの事業が目につき、本当に構造改革に資するような事業と言えるのか、この補正予算の執行によって国・地方の借金の増加に見合うほどの経済効果が得られるのかと塩川財務大臣、竹中経済財政政策担当大臣の見解を求めた。

 総理は、この二次補正予算の財源問題について、国債市場に与える影響なども考慮し、国債30兆円枠を堅持し政府保有資金を活用することとしたことに理解をたまわりたいと、前日来の答弁を繰り返した。また、財務大臣は、歳出の内容について、従来型の公共事業ではないと強弁するにとどまった。経済財政担当大臣は、この二次補正予算の事業規模が4.1兆円と見込まれ、GDP比換算で年率0.9%の押し上げ効果があり、デフレスパイラル回避のために需要面の対策も意味があるとした。

 なお、峰崎議員は総理の答弁に納得せず、政府答弁の後、「へそくり」があったからやるのか、デフレスパイラルだというなら、30兆円枠にこだわらずにやるべきではないのか、と再質問に立った。これに対して総理は「なかったらどうかというが、あったんです。なかったら、その時点で構造改革に支障のないようにあらゆる手をつくしただろう」と答弁するにとどまった。

■小泉総理の社会・経済ビジョン見えぬ財政・税制改革

 次に、2010年代初頭に国の財政のプライマリーバランス(国債費関連を除いた基礎的財政収支)を黒字にするという政府経済財政諮問会議の示した中期展望に関連して財務大臣が悲観的な見通しを述べたことについて、峰崎議員は、経済財政担当大臣にその実現への具体的な手段と数値を示すよう求めるとともに、同大臣がかつて参画した経済戦略会議の同様のシナリオがなぜ実現できなかったのかと質した。

 経済財政担当大臣は、そのためには予算配分の効率化などの財政構造改革と、民間主導の経済成長などによって2010年代初頭まで毎年0.4%程度の改善を進めて行けば黒字化は可能だとする一方、経済戦略会議のシナリオについては、それを実現する手段・体制などが与えられていないかったと弁明した。

 さらに、小泉総理が抜本的改革の検討を進めるとしている税制について、民主党税制調査会会長でもある峰崎議員は、「所得税を払っていない人が多過ぎる」「今の直間比率は異常だ」などの総理や財務大臣の断片的な発言からは、小泉内閣の税制ビジョンの全体像がまったく見えないとして、総理らの念頭にある「あるべき税制」、その前提として今後わが国がめざすべき社会・経済モデルについてのビジョンを示すよう求めた。

 これに対して総理・財務大臣は、今の時点で個別の税目をどう上げ下げするかなどに言及するのは適切ではない、予見・予断を持つのは意図的な情報操作をも生みかねないなど、逃げの答弁に終始した。

■金融不安解消へ「金融ファイナルプラン」実現が必要

 峰崎議員は、最後に金融問題について質問。昨年末から総理が「金融危機」という言葉を頻繁に発する一方、金融担当の柳沢大臣が「大手行の自己資本比率は10%以上あり健全性に問題はない」と平穏を取り繕い続けていることを指摘し、3年前の大手銀行に対する7兆円超の資本注入以来の柳沢大臣ら金融当局の失政と無策の責任を厳しく追及するとともに、金融再生法の復活と民主党が従来から提案している民主党版金融早期健全化法や地域金融円滑化法を実現することなど、金融危機回避のための「金融再生ファイナルプラン」の必要性を強調し、質問をしめくくった。
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