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2002/01/24
【衆院予算委】菅幹事長、経済政策なき小泉改革を痛烈に批判


 24日、衆議院予算委員会が開かれ、平成13年度第2次補正予算をめぐる実質的な審議がスタート。民主党のトップバッターとして菅直人幹事長が質問に立ち、小泉流構造改革路線の欠陥を徹底的に追及した。

■NGO排除問題で田中外相が鈴木宗男議員の関与を確認

 冒頭、菅幹事長は、アフガニスタン復興支援会議における有力NGO排除問題について質問。自民党の鈴木宗男議院運営委員長が当該団体を排除するよう外務省に“横やり”を入れたと取り沙汰されていることを取り上げ、田中真紀子外相に事実関係を質した。

 田中外相は、「(外務省に働きかけた政治家の中に、鈴木議員の)名前があったことは野上事務次官に確認している」と明言。幹事長は、「重要な国際会議の運営に介入し、気に入らない人間をはずせなどと要求したとは、大変なことだ」と述べ、鈴木議員を委員会に招致して事情を聴取すべきだと提案、理事会で協議することになった。

 続いて幹事長は、あっせん利得処罰法改正問題について質問。加藤紘一・元自民党幹事長の私設秘書による脱税疑惑と関連して、同法制定当時から与党3党が私設秘書を対象に含める必要はないと主張してきたことについて反省すべきだ、と迫った。小泉首相は、「当時は私設秘書の定義が明確でなかった」などと弁解したが、幹事長は「定義の明確化も含めて対応すべきだったのではないか」と一喝し、私設秘書を含める法改正を改めて強く求めた。

■BSE問題発言で武部農水相が幹事長に謝罪

 幹事長は次に、武部農水相がBSE問題で「悪いのは菅だ」と語ったとされる問題について追及した。農水相の発言は、北海道の地方誌に掲載されたもの。BSE問題は、96年4月に厚生省が肉骨粉の輸入を止めず、使用しないよう行政指導を行うにとどめたことから起こったとし、その責任は当時の菅厚相にあるなどとしている。

 事実関係について農水相は、記事は事実誤認で抗議と訂正を申し入れたとし、責任転嫁するつもりはないと菅幹事長に謝った。幹事長は、そもそも畜牛の飼料について管轄するのは農水省であることを指摘し、「自分の省の所管も知らないのか。そういう認識でしかないことが今回の問題につながっているのだ」と厳しく批判した。

 幹事長は、続いて、小泉首相式の構造改革と景気回復の関係について厳しく追及。小泉政権になってから株価は下がり、失業率は上がる一方なのに、なお支持率が高いのは、「構造改革なくして景気回復なし」というスローガンに国民が期待をかけているからだとした上で、「しかし、なぜ改革が進めば景気が回復すると言えるのか」と質した。

■景気回復の展望なき小泉改革を批判

 首相は、規制改革で公的分野に民間が参入するようになれば新しい産業が出てくるなどと述べ、「時間はかかるが、この方向性を国民は支持している」とした。幹事長は、「10年後の方向を出せば消費が拡大するわけではない。民間設備投資も個人消費も下がっている。具体論が何もない」と批判。

 首相は「細かい政策は総理が言うことではない」などと逃げたが、幹事長は「国は国民を解雇することはできない。国が人を減らした分、IT産業が吸収するなどというビジョンはとっくに崩れている。財政に頼らない内需拡大策にもっと精を出すべきではないのか」と迫った。そして、小泉首相をタイタニック号の船長になぞらえ、船員(国民)の期待をうけているとしても、船(日本)が進んでいる方向が氷山なのか、安全な太平洋なのか、見極めなければいけない、と述べた。

 幹事長はさらに、靖国神社参拝問題について「今年の8月15日は参拝するのか」と質問。「状況を見て判断する」などと答えた首相に対して、「何もわかっていない」と指摘し、昨年の参拝でとりわけ中国、韓国との関係が悪化した経緯を振り返りつつ、年末の不審船事件などに鑑みても両国と極東安保について話し合うことが必要な時にそんなメッセージしか送れないのか、と強く批判した。

 そして最後に幹事長は、「小泉内閣にはやはり日本の将来を任せられない。一日も早く国民に目を覚ましてほしい」と呼びかけ、小泉政権を打倒する決意を表明して、質問を締めくくった。
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