ニュース
ニュース
2006/05/22
【参院本会議】櫻井議員、金融取引への法規制について鋭く追及


22日午後、参院本会議において政府提出の証券取引法等改正案(金融取引法案)に対する質疑が行われ、櫻井充参院議員(『次の内閣』ネクスト金融担当大臣)が質問に立ち、規制緩和の問題点や金融取引への法規制などについて、政府を鋭く追及した。

 櫻井議員は原稿を携えずに登壇し、まず首相の言葉では改革がどんどん進んでこの国は良くなったということだが自分はそう思わないと語り、小泉政権下でも悪化の一途を辿る財政状況を指摘した。そして掛け声とは裏腹に、歴代首相の中でこの国の財政を最も悪化させているのは小泉首相だと迫った。これに対して首相は、国債発行額を30兆円未満とする改革を前倒しで達成したことを強調し、財政再建に努めていると答弁した。この点について櫻井議員は、小泉政権下での新たな200兆円の借金についてどう認識しているのかと再質問したが、首相は同様の答弁を繰り返すのみであった。

 櫻井議員は、首相のキーワードである規制緩和によっては、優良企業が生き残るのではなくライブドアのように法の抜け穴を利用した企業が生き残ることになるとし、「野原で喧嘩をさせているようなもの」と評した。そして、相撲を例にとって、きちんとしたルールや監視体制の整備の必要性を訴えるとともに、首相流の規制緩和によって活性化した分野を問い質した。首相は、主要銀行の不良債権処理、郵政民営化、民間中心の景気回復をあげつつも、フリーターやニートの問題、都市と地方の格差には注意が必要だと述べ、問題があることを自ら認めた。

 櫻井議員は、公認会計士の不祥事防止対策として会計士の地位を高めるために、企業に違反行為があった場合には証券等監視委員会への通告義務を課すことを提案したが、与謝野金融担当大臣は監査の性格を大きく変えることになるとして、消極的な答弁を行った。また櫻井議員は、問題となっている投資事業組合の多くが海外で設立されており改正法でも規制の対象とならないのではないかと質問したが、金融担当大臣はそれらについても国内での販売などは業者として規制の対象となると答弁した。櫻井議員は、金融庁から独立したイギリスのFSA(金融サービス機構)のような組織が必要だという民主党の主張を述べたが、金融担当大臣はその詳細がわからないので意見が言えないと答弁した。

 櫻井議員は、省庁間の縦割り行政の問題点の例として、本法案において不招請勧誘(要請されないのに取引を勧誘すること)が問題事例の多い商品先物取引については認められたままになっていることを衝いた。これに対して、首相は必要があれば省庁の枠を超えて対応すると答弁し、金融担当大臣は商品先物取引は現物取引を密接に関係するとともに金融庁の体制もなお不十分であるためだと答弁した。商品先物取引の所管大臣として二階経済産業大臣および中川農林水産大臣はともに、投資だけでなくヘッジ機能を持ち、現物の生産・流通政策と一体不可分であること、すでに面接勧誘を禁止していることなどをあげて、消極的な答弁に終始した。

 櫻井議員は、政策決定が国会に責任を負うことのない特定の民間選出の委員によってなされている経済財政諮問会議方式は無責任であるとともに特定の利益につながるのではないか、さらに格差を正面から是認するのは首相としての見識に欠けるのではないかと追及した。政策決定方式について首相は、特定の利害はないと断定しつつ、政策決定の最終的責任は内閣にあると答弁した。格差について首相は、あらゆるところに格差があるのは当然だとした上で、それを固定化しないようにすべきであり、影の部分には手当すると答弁した。桜井議員の再質問に対しても、同様の答弁を繰り返した。
記事を印刷する