ニュース
ニュース
1999/12/06
だれでも いつでも どこへでも ともに
交通バリアフリーの街づくりシンポin京都
 このシンポジウムは、民主党国民運動委員会が主催し、民主党の交通バリアフリー法案骨子の発表と、パブリックコメント募集の事前イベントとして、12月6日に京都で開催しました。多くの市民のご参加をいただき、各地域での取り組み報告や民主党案に関する意見交換を行いました。各パネリストのご了解をいただき、参考資料として掲載いたします。

 なお各パネリストや参加された方々は、民主党案の内容について責任を有されているわけではなく、また賛否についてもご自由な立場であることを念のため付記いたします。


主催者挨拶

鳩山由紀夫(民主党代表)

 今日初めて車イスに乗って、京都の街を移動した。電動車イスの運転は意外と難しく、視線が低いので電車のスピードにも怖さを感じた。車イスでリフトバスやノンステップバス、地下鉄に乗ってみて、この国の政策は転換しなければならないと感じた。建設業者のための公共事業ではなく、生活者のための、特に障害者や高齢者が自由に外へ出て移動できる街づくりが必要だと実感した。

 先日、阪急伊丹駅を拝見して、私たちが普段気がつかないところに、本当の配慮がされていると感じた。これは事業者のご努力はもとより、当事者の意見を本当にきちんと聞いて作った結果だと確信した。こういう仕事がきちんとできる環境整備を進めることこそ、議会や首長の仕事ではないだろうか。

 民主党は今回「障害者・高齢者の移動の自由を確保するための法律案」骨子を発表した。この法律で、移動の自由を権利として保障することを目指したい。また大事なポイントは、市民が法案作りに参加してしっかりと意見を述べていただくこと。このシンポジウムではパネリストだけでなく参加された皆様方から自由にご意見をお出しいただきたい。

 民主党はこのシンポジウムを皮切りに、12月中旬から1か月間、私たちの提案に対するパブリック・コメントを募集する。さまざまなご意見やご提案をいただき、それを吸収して最終的な法案に盛り込み、次の通常国会に提案し成立をめざしたい。


第1部 交通バリアフリーの実現に向けて

パネリストから

尾上浩二さん(駅にエレベーターを!福祉の街づくり条例を!大阪府民の会事務局長)

 1991年に大阪府民の会を結成し、全国に先駆けて「福祉の街づくり条例」を大阪や兵庫で制定させる運動に関わってきた。1992年当時は、兵庫・大阪ぐらいしかなかったが、いまでは43都道府県で福祉の街づくり条例が制定されている。条例があって当たり前、ないほうがおかしい時代になってきた。福祉の街づくりは、1973年に東の町田市、西の京都市で街づくりの整備要綱ができ、1990年代に街づくり条例が燎原の火のように広がった。市民参加と自治体中心で進んできたのが福祉の街づくり条例でありバリアフリー運動だ。

 市民参加というと聞こえがよいが、机をたたき合ったり、時にはかなり激しいやりとりをしてきた。当事者が参画して初めて街づくりの意味があることがこの 20年の歴史で証明されてきた。例えば、この会場の車いすトイレは非常にいいデザイン。街づくり条例がないところでは14万円ぐらいする斜めの鏡をつける。私たちは運動の中で「あんな鏡はいらん」と言ってきた。斜めになって自分の像が上から降り落ちてくるような感じだ。ここは手洗いの高さからすぐに垂直に鏡がある。このほうが安くて、私たちにとっても非常に使いやすい。市のお金は十分投資しなければいけないが、当事者が使いづらい設備なのに勝手に一人歩きして「いやあ、福祉の街づくりは金がかかりまんねん」と言われる。当事者は自分の目で、何が必要で何が必要でないのか見きわめていく。私たちはそうした当事者参加で街をつくってきたと思う。

 鳩山代表が言われた「目線の高さ」は、すごくいいポイント。電動車イスの隣で車がすっと横切るのがちょうど目の高さ。その恐怖感はすごい。そういう怖さなどをどう街づくりに反映していくのか、私たちはそうした声を積み上げてきた、そういう20年だった。

 交通バリアフリー法で、意味を持つべき中心は、やはり当事者の参画だ。昨年から鉄道駅舎のエレベーター・エスカレーター設置の助成が始まった。今春、ある新聞社から「大阪と兵庫はかなりエレベーターがついている。ところが大阪・兵庫以外はほとんどエスカレーターの設置助成が上がっている。何が違うのか」と問われた。大阪や兵庫の街づくり条例をつくるときに「エスカレーターは大量輸送のための設備。バリアフリーには関係ない」と言ってきた。車いすは斜めになるし、片杖のおじいさんも非常に怖い。それを私たちは口をすっぱくして言ったきた。そのために大阪や兵庫の街づくり条例ではエレベーターが基本になっている。

 国の動きでは、運輸省のエレベーター整備指針が93年にでき、新駅にはだいぶエレベーターがついてきた。阪急や大阪市の地下鉄など熱心なところは既存駅にもどんどんつけているが、新駅にしかつけない全国的な鉄道会社もある。

 問題は、既存駅にどういうふうに実効性を持たせて駅の改善を進めていくかだ。大阪府では改善計画の提出を義務づけている。運輸省も2010年には全駅バリアフリーと言っている。例えば前期5年・後期5年、第1次5カ年・第2次5カ年計画で、既存駅も含めてエレベーターの設置計画や改善計画を確実に出させる実効性を持てるかどうかがこの法案の1つのポイントではないか。

 やはり大事なポイントは、当事者の参加だ。単にエレベーターや設備がつけばよいのではない。阪急伊丹駅の場合、私たちの仲間も検討委員の中に入り、アンケートをとり、いろんな提案をした。もともと1基しか予定していなかったエレベーターを2基にし、設置位置も、端っこからかなり真ん中に持ってきた。

 今までは事業者が最後の最後に図面を持ってきて「これでどうですか」と聞く。こんなところにつけてもらったら困ると言っても、もう遅い。伊丹の場合は最初から当事者が参加した。ここに意味がある。運輸省をはじめ基準をつくるときは当事者の意見も聞くが、個々の駅をつくる時にはなかなか当事者の意見を聞いてもらえない。協議会組織の場合でも、駅前商店街や駅ビルの人は入るが、障害当事者は入れないことになりがちだ。むしろ個々の具体的な駅づくりにどうやって当事者が入っていけるか、そこに交通バリアフリー法が「仏つくって魂入れず」になるかならないのかの分水嶺がある。伊丹方式が全国に広がるような交通バリアフリー法にしていただきたい。


岡本 晋さん(京都市都市企画部長)

 京都市では、福祉の街づくりのための建築物の環境整備要綱を昭和51年に制定した。町田市に次いで全国で2番目に制定し、取り組みが始まった。最初は建築物だけだったが、平成7年に道路・公園・駐車場・公共交通機関を対象にして「京都市人にやさしいまちづくり要綱」を制定し、現在取り組んでいる。 例えば道路について、歩道・立体横断施設・案内標識・視覚障害者誘導用ブロックなどの設置の仕方について基準を定め、それに従った設備をつくっていただく。建築物では新築とか大きな修繕をするときに事前協議をして、その後の建築確認で担保する。きちんとしたものができた場合には、その建物に標識をつけて、人にやさしい建築物だということを明示する。

 交通については、要綱を変更した平成7年から、京都市内の鉄道駅舎エレベーター設置の補助金交付要綱をつくり、京都府と折半して費用の半分を出し、事業者が半分出す制度をつくった。事業者2分の1という負担もなかなか重く、府と市の4分の1負担も、交付税の対象にならない単独経費になっている。平成7年から出発し、現在3カ所設置された。

 平成10年10月には国の新しい制度として「交通施設バリアフリー化整備費補助制度」ができ、エレベーターだけではなくエスカレーターやスロープも対象になった。事業者が3分の1、国が新たに3分の1を負担して、残り3分の1を京都府と京都市で負担する。1年目が過ぎたところだが、今後もこれが継続され、できればもっと事業者が着手しやすいように、国の負担を増やす、あるいは自治体の負担について国が何らかの形で援助する制度ができればよいと希望している。

 京都のような大都市やすでに一定の人口があるところでは、新駅ができることはめったになく、既存駅をどうするかが問題になる。そこにエレベーターを設置するには、事業者によほどご理解をいただく必要がある。なかなか乗客が増えないなかで、新たな設備投資の負担をする、これは本当にしんどいことだ。大きい理想を持って、事業者も一緒に施設整備に取り組んでもらえるよう、制度の内容を良くする方法で、お力添えをいただきたい。


寺島 清さん(阪急伊丹駅アメニティターミナル整備検討委員会事務局、交通エコロジーモビリティ財団理事)

 交通エコモ財団のモビリティ部門、「人にやさしい交通」の担当者として、阪急伊丹駅の整備検討委員会の事務局を務めてきた。小通エコモ財団では、アメニティターミナル推進事業として、伊丹駅のほかに神戸港中突堤旅客船ターミナルに取り組み、また運輸省と一緒に「駅のやさしさ指標」の検討も進めている。ノンステップバス普及促進セミナーや交通ボランティア育成講座なども行っている。

 阪急伊丹駅は、現時点では日本で最先端のユニバーサル・デザインを実現した駅だと思う。そのユニバーサル・デザインを支えたのはその整備手法にある。大きな公共施設の建設で、アメニティのために当初から意図して利用者を含む広範なメンバーによる委員会方式をとったのはおそらく初めてではないか。

 大震災で倒壊した阪急伊丹駅を、市の復興シンボルとして、とことん人にやさしいバリアフリーな駅にできないかという市民の熱い要望を受けて、運輸省のあっせんで事業主体の阪急電鉄と伊丹市が決断されて始まった。

 具体的には、当財団に学識経験者、高齢者や障害者を含む利用者の代表、行政、事業主体の伊丹市と阪急電鉄をメンバーとする「阪急伊丹駅アメニティターミナル整備検討委員会」を設けて調査検討を行った。

 まず、駅ビル・駅前広場を中心とする周辺の状況を把握して、これに利用者の要望を取り入れたアメニティターミナルの基本方針を決めた。これに基づいてビルの設計原案に対する検討がなされ、大きな動線の修正が提案された。これは大変大きな話だが、これを阪急が受け入れて新駅のビルの原型になった。エレベーターの位置変更や動線を大きく修正する話だったにもかかわらず、外部の意見に耳を傾けられた阪急電鉄の英断によるものだ。委員会の提言も利用者の意見を踏まえてユニバーサル・デザインとして説得性のある提言だったこと、また時間的にも基本設計の前の段階だったことが、受け入れられた大きな要素だと思う。

 個別のアメニティ施設の整備については多くの委員が参加して先進事例を視察したり、委員会として非常に熱心に勉強された。単にほかにあるからとか、ガイドラインに載っているからというだけで設置はしないで、非常によく吟味されたアメニティ施設の計画案の提言になっている。

 もう1つの大きな特色として、評価委員会の仕組みがある。日本の現状ではこれが将来有意義になるのではないか。バリアフリーについては健常者の予想外の事例が多く、なかなか理想的なものができないが、障害者のチェックによることで非常に使える内容のものにできたと評価している。


高見俊冶さん(阪急電鉄株式会社取締役鉄道事業本部長)

 伊丹駅の事例を事業者の立場から紹介したい。伊丹駅は1995年1月17日の阪神・淡路大震災によって高架駅が全壊した。復興に当たっては運輸省、交通エコロジーモビリティ財団よりアメニティターミナル整備事業のモデル駅として選定いただき、高齢者・障害者を含めたすべての人にやさしい駅づくりを委員会方式で計画することになった。

 伊丹駅は1日の乗降が約2万7000人で、当社84駅中で37番目だ。震災前はタミータウンという60店ほどのテナントがショッピングセンターを構成されていた。これらの方々との共存を図りながら駅の復興をすることが1つの重要なテーマとなっている。

 平成7年7月に指定を受けて、8年3月には基本的方針を確定していただいた。平成9年7月に工事に着工、10年12月に完成した。工事中にもいろいろと整備検討委員会からご意見・ご要望が出て、設計変更もした。

 駅の構造上3階にホームがあり、ホーム上で何かがあったときに車いすでも渡れて待避ができる設備を付加した。1階から3階のホームにまっすぐにエレベーターで行け、階段には2段手すりも設置した。乗り場案内も比較的見やすいものになっている。シンプルな動線が大事だということで、ビルの真ん中をストンと3階まで上がる構造になっている。エレベーターは21人乗りと15人乗りの2つがある。伊丹市の駅前広場も、行政と共同した結果、非常に一体感のあるものができた。駅前広場では、バスターミナル、タクシー乗り場もそれぞれ段差を非常に低くしてある。特徴として、バス・タクシーの利用者が雨に濡れずにどこからでも駅に寄りつける構造にされている。地下は1100台の駐輪場があり、上り口にはムービング・ウォークのようなものがついていて、自転車を楽に上げられる。

 設備では、点字ブロックの足場の中に磁気センサーを設けて、杖の先から電波が出るとそこから音声の案内が出る。例えば「ここにエレベーターがあります」というような音声が出るものを要所要所に配置してある。またボタンを押すと駅の施設を案内する設備や、授乳室もある。電車の発着は文字と音声で伝えるようになっている。

 これに要した費用は、鉄道施設が約30億円で、交通エコロジーモビリティ財団から3.5億円の助成をいただいた。伊丹市施工の駅前広場については4億円の助成が出ていると聞いている。それによってほかの駅ではちょっと見られないような施設が完成した。

 当社のバリアフリー化の状況は、総駅数84駅でエレベーターは30駅、エスカレーターは35駅についている。指針のガイド駅数55駅にすると55%、 64%の数字が出ている。一応バリアフリー化のできている駅、車いすが斜路等で通過できる駅は73%、それからチェアメイトといわれる階段を車いすで上り下りできる搬送装置で対応している部分も勘定すると、約81%の駅で利用いただけることになる。


細川律夫(衆議院議員)

 民主党の交通バリアフリー法案、正確には「高齢者・障害者等の移動の自由を確保するための法律案」の目的は、高齢者や障害者などの移動に制約をもつ方々の移動の自由、移動の権利を確保し、もって公共の福祉に資することにある。

 基本理念として、移動制約者が自立すること、いろいろな方に介助されている、あるいは助けられて移動することから、自分自身で自立して移動していくこと。もう1つは、移動制約者があらゆるところの活動に参加できるようにすること。つまり「自立と参加」を理念にしている。

 法案では、政府と地方自治体が基準や計画を定めることになっている。政府は、市民の参加をえながら指針と基準をつくり、それを公表する。対象施設は鉄道、バス、タクシー、船舶、航空機、また駅舎、ターミナル、これと連結する通路等の施設、さらに道路そのものを入れている。道路については特に、段差やでこぼこがあるので、きちんとする国のほうできちんとさせることが必要と考えた。

 国の定める指針や基準に基づいて、事業者には改善計画を策定させる。乗り継ぎの場合はいろいろな事業者が関係するので、協議会を設置し、その協議会の結果を尊重する。事業者が改善計画をやらない場合には、勧告をし、その勧告に従わない場合にはその旨を公表する。事業者が計画を立ててそれを履行しない場合には、罰則をもって履行させるよう強い規定にしている。

 地方公共団体についても、独自の指針をつくることができるように定めた。


堀 利和(参議院議員)

 民主党は交通バリアフリー法案に先だって、夏に「障害者政策の中間まとめ」を公表した。そのなかで、(1)点から面への街づくり、(2)交通アクセス、(3)情報、(4)教育、(5)資格免許の障壁となる欠格条項、(6)政治参加という6つのバリアをすべて100%バリアフリーにしようと提案した。その具体的な一歩として交通バリアフリーの提案をしている。鳩山代表はぜひ日本版ADA法(Americans with Disabilities Act、障害を持つアメリカ人に関する法律)を作りたいと言っており、その第一歩にしていきたい。

 いまはまだ「人にやさしい」が、障害者、高齢者という限られた少数者に見えるが、この先10年、20年たてばまさに高齢社会になる。すべての人にとってバリアフリーの交通機関を作ることは一夜にしてはできないので、この法案が示す内容を、基準にして、今から作っていくという強い決意で法案を準備した。

 またバリアフリーに関して民主党は当面3つの活動を進めたい。1つはいま提案している交通バリアフリー、2つめは欠格条項の廃止、そして政治参加のバリアフリーだ。

 欠格条項については、いま63の法制度に欠格条項があり、障害ゆえに免許が取れない、職業につけない状況がある。政府も2002年までに改善しようと取り組んでいるが、民主党はこれを完全にバリアフリーにするために、障害者や市民の方々と一緒に欠格条項撤廃の具体策を検討している。来年の通常国会から1つ1つ具体的に廃止する作業を進めていく。

 もう1つは、政治参加のバリアフリーだ。法的にはすべての人に参政権・投票権があるが、具体的な投票行動になるとハード面で段差があったり、視覚障害者だと選挙や政策の情報が得られないなど、実際には健常者と同じように投票権を行使することができない。これを何とか改善したい。トータルなバリアフリーをめざした活動を進めたい。


ディスカッション

参加者A

 阪急伊丹駅は我々のメンバーも入って委員会ができたが、JR大久保駅の場合、当事者参加がなかった。そのためエレベーターは一応ついているが、エレベーターが地元で利用している障害者の車いすのサイズと合わないので、結局その駅を利用できないとことが起きている。神戸港中突堤ターミナルも、当事者参加は単に意見聴取で終わっている。その結果、視覚障害者の使いにくい部分や、動線が一方動線で使いにくい面などが多々ある。

 民主党案で協議会を地元でつくるというが、問題は中身で、やはり最初につくる段階から地元の利用者が協議会に入るという一文を入れておくべき。この法律に魂が入るか入らないかの瀬戸際がそこにある。ただ単に協議会に障害者が入るのではなく、エレベーター設置など細かいところについて、障害当事者の意見が入っていくべきだと思う。阪急伊丹駅は、不十分さはまだまだ今後出てくるとは思うが、阪急が当事者参加という面では日本で一番先進的に行われていると思う。

 民主党は、運輸省や他の党からも法案が出てくると思うが、その中で当事者参加をメインに据えてもらいたい。


細川 移動制約者の皆さん方の意見、利用者の意見を聞くことは必ずやらなければいけないと思う。1月末には成案をつくりたいので、今言われたご意見を十分取り入れる形で法案をさらに煮詰めていきたい。


参加者B

 法律案骨子では、「運輸大臣は」とか「建設大臣は」との表現があるが、省庁再編との関連はどうなるのか。いままで運動のなかでも、省庁間の縄張り争いの縦系列のなかで、バリアフリーがうまくいかなかった例もある。省庁合併のなかで、これまでの取り組みがどのように生かされていくのか、無視されるのか。また法律のなかで省庁横断的な表現がどうなるのか、非常に気になる。

 もう1つは警察との関係で、例えば電動車いすの時速6キロが歩行者扱いになっているが、障害の内容によっては、自動車免許を取れないような人も含めて、時速6キロ以上出しても十分安全な人もたくさんいる。この辺の扱いについて、歩道を歩くについていろいろな制約がある。その辺のことも含めた移動に関する制約についてまったく触れられていないのではないか。


堀 確かに「運輸大臣は」「建設大臣は」となっている。これは来年の通常国会をめざしてということなので、その段階ではまだ国土交通省ではなく、運輸省・建設省なのでこのような書き方をした。ただ2001年からは合併し国土交通省となるので、所管大臣が1人になるし、内容も縄張り争いがないように、むしろこれこそ政治のリーダーシップで一体感を持った内容で進めていきたい。


尾上 電動車いすの道交法上の規定の問題だが、行政からいえば今まで障害者問題や障害者施策とは、厚生省や文部省がやる問題。あとの省庁は運賃やNHKの受信料金を割り引いておけばいいといういう問題で、警察からすれば、事故さえ起こしてくれなければいい。そのなかで障害者や高齢者の移動の権利をどうしていくのか。あるいは先ほど欠格条項の問題があったが、公営住宅法の単身入居のなかに重度の障害者は公営住宅に申し込めないという差別的な条項がいまだに残っている。そういう法律がまだ300ぐらいある。こういう法律を残しておいて交通のバリアフリーだけということにはならないだろう。健常者から外れる人、その人たちは社会の片隅へという法体系がいまも日本の隅々にある。それを根本から変えていく、その取っかかりが今回のアクセス法になるのかどうか。あるいはこの作業と並行して300もある法律を根本から廃止できるのかどうかという問題ではないか。


寺島 伊丹の場合、結果的に非常にいい成果が得られたが、あくまで障害者も事業者も任意参加という形で同じ土俵につき、最後までその土俵から出ないでうまく話がまとまった。 去年フランスのナントとストラスブールに行った際、単にターミナルだけでなく、街づくり全体を抜本的に環境の街に変えるシステムを見ることができた。フランスは、元々、中央主権国家で、地方分権を進めているところだが、行政主導の基本は守りつつ、住民の意見が反映する仕組みを取り込んで来ている。1つは、情報の公開、2つ目は、コンセルタシオンという住民の意見を吸い上げる協議会、

 3つ目は、専門家による審査会で、専門家が自分の意見として、専門的知識に基づいて自分の意見を言う、といった制度が出来ている。

 伊丹の場合は、事業者の協力もあり、結果として、整備検討委員会一つで、これらの全ての機能を果たしたが、将来、日本でこのような制度化を考える場合に参考になるのではないか。


高見 伊丹の場合は整備検討委員会を作り、そのメンバーに利用者代表という形で、老人クラブ連合会、身体障害者福祉連合会、その他障害者団体、ボランティアグループ、一般市民という形でご参画いただき、そのなかで私どももたくさんの勉強をさせていただいた。やはりその立場の方でないと、どうしてそういう設備が必要なのか、どうしてその場所に必要なのかは理解しにくいケースもたくさんあった。そのために視力を弱めるめがねをかけたり手足に重いものを巻いて、障害者や高齢者の模擬体験を、私どもの管理職や車両部員や鉄道営業部員が実際に体験して、その立場になってどういう施設を考えたらいいのかに取り組んできた。やはり地域の方々とのそういう接触は非常に大事なことではないか。


参加者D

 リフトつきバスに乗るときに非常に怖い思いをすることがある。リフトつきキャラバンは、リフトを上げる前に、車いすが動かないようワイヤーで固定するので安心できるが、リフトつきバスは、運転手さんがリフト操作を前の運転席でやる。必ず職員さんに後から安全確認をしてもらうが、やはり不安だ。 車いす用の席はタイヤを固定するものがあり安全だが、電動車いすで前の入口から乗ってそこに着くまでの間もバスは動いているし、通路も狭いので不安だ。地下鉄の場合は車いす用スペースが入り口の近くにあり、通路も広く曲がらなくても行ける。安全面についても考えることが必要だ。


岡本 リフトつきバスでの安全確保についてだされたご意見については、きちんと担当部局に伝えて安全確保につとめたい。



第2部 バリアフリーをもっと広げよう

パネリストから


村田孝雄さん(ぬくもりの会代表、「車イスで回れる京都観光ガイド」編集者)

 これまで街の中をはいずり回ってバリアフリー運動をやってきた。その基本的な活動は3つ。第1は、障害者や高齢者の移動が自由にできるように、街のバリアをなくしていこうという活動。第2番目が情報提供だ。

 街中すべてがバリアフリーになればよいが、いまはどこが出来ていて、どこが出来てないかがわからない。しっかりした情報がなければ点と点で終わり、線でつながらない。ゆくゆくは面にしたいが、現状では少なくとも点と点を結びつけて、障害者や高齢者が移動しやすいようにすることだと運動を始めた。

 第3が観光ガイドだ。全国から京都に来られる人は非常に多く、地元の人もどこどこのお寺に行きたいという切実な思いがある。しかし「お寺は行けへん。坂が多いし、段差がある」との先入観があり行きにくい。それを救済するために、きちんとしたガイド情報を作った。京都は神社仏閣が観光の中心なので、これを徹底的に調べた。観光寺院が約200あって、このうち車いす1人、あるいは介助者1人で行けるところは実に70幾つもある。実際に点検しそれを調べ上げて、情報として発信しなかったことに問題があったわけだ。

 私は今非常に焦っている。ハートビル法をつくった際に建設省が出した推計では、2020年になると、水平移動、平坦なところで移動しにくい人が1006万人強になる。まして垂直移動、階段などが上がりにくい人が1600万人になる。約半分の家族が身内に、障害者や体の不自由な方、移動不自由な方を抱えることになる。街をつくるときは、新設はよいが、既存のものはなかなか手がつかない。20年くらいすぐたつ。我々は生活の範囲が限られているが、その時どういう状態になっているのか。もっとあわてなければいけないと思う。

 民主党の法案が出来ているが、今までも形こそ変われ同じようなものが出てきていた。それがきちんと守られてこなかったから、今日に至っているわけだ。民主党案は罰則規定もつくそうだが、管理者に対してしっかりと啓蒙し指導して納得するまで徹底的にやって、この法律の実がなるようにお願いしたい。


吉田嘉久さん(NPO法人京都運転ボランティア友の会事務局長)

 私たちは1981年、国際障害者年を記念して、障害のある方、ない方が共同で設立したボランティア団体だ。4月にNPO法人の認証を得たが、母体はあくまでもボランティア団体。活動の理念は、障害者・高齢者がともに明るく楽しく生活できる社会をめざすことで、今日のテーマであるバリアフリーを理念に設立された。目的はもっぱら車いすの移送サービスとそれにかかわる介助だ。こういう活動をしているのが市内に7団体あり、今日はその代表としてお話をしたい。

 阪神大震災のときの市民活動がもととなって特定非営利法人活動促進法(NPO法)ができ、今年4月から認証が始まった。2001年11月には具体的な税制面での措置を講じることが新聞などで報道されている。民主党は福祉移送サービスに関する法案を準備中と聞いているが、その前提としてNPO法の税制面をちゃんと当初の目的通りにやっていただくことも必要だ。

 さて現在、我々ボランティアの活動による移送サービスが、道路運送事業法80条に抵触するということで問題になっている。検討されている法案の中では、現在の通り1種免許取得者で運行できるようにしていただかないと、全国で400〜500あると言われている団体は、全部運行ができなくなる。

 業界団体はリフトバスを運行する場合は2種免許取得者を運転手とするようにと言われるが、我々が対象にしているのはあくまでも高齢者や障害者、いわゆる生活弱者だ。自治体がやっているのは最低必要条件の移送サービスで、我々が運行している対象は、その次に来る障害者・高齢者で、行きたい場所にいつでも行けるようにとリフトつきバスを運行している。健常者の乗車はほとんどなく、介助として乗られる健常者はいるが、あくまでも車いすの障害者・高齢者が中心だ。

 移送の安全面から業界団体は2種免許の取得を要望されているようだが、当初の考え方の趣旨を守って進めていただきたいと思う。


ディスカッション

参加者E

 福祉移送の抱える課題のもう1つは「白タク行為」問題だ。うちも4台動かしているが、不特定多数のお客さんを民間団体が乗せると白タク行為じゃないかということで会員制度をとっている。2種免許云々という安全性の問題もそうだが、京都では現在それぞれのタクシー会社が福祉タクシーに相当力を入れており、市内2社で合計30台のリフト福祉タクシーを運行している。そういうなかで、昔は考えられなかったことだが、障害者のお客さんを取り合う競合性が出てくる状況になってきている。また介護保険サービスとの関係で、業者指定の思惑も絡みながらの紆余曲折があるように見える。

 弱体な我々のような団体が長年やってきた努力が、知らない間に、法律なり何なりの動きのなかで、あっという間につぶされてしまうような状況が起きるのじゃないかという危惧を持っている。


参加者F

 私はたびたび民間のリフトバスを使っている。今は予約制ということで、だれでも、いつでも乗れるというわけではない。前もって予約しないことには乗せてもらえないし、2台しか電動は乗れない。でも、タクシーを使ったり車も利用して、いろいろと街に出たり、自分の健康のためにプールとか演劇を見に連れていってもらったりしている。「この年で行くのか」と言われながらも、家に閉じこもっていた者が、出られるという勇気も出たし、やはりこの時間にどこでも出られることがすごくうれしい。

 アメリカのロサンゼルスではタクシーが次々と出て乗れるということあり、京都でも次々と乗れるタクシーとか、行ったらすぐに乗れる交通バリアフリーになってほしい。


玉置一弥(衆議院議員)

 民主党の交通アクセスプロジェクトでは、「自由に外に出たい」ということを中心に政策を検討してきた。鉄道事業者、公営交通、タクシー、ボランティアの移送サービス、それぞれの分野があるが、法案検討のきっかけは、市民団体から提起された福祉移送サービスの問題だった。これをきっかけに検討をするなかで、アメリカの自立生活運動のリーダー、現在は連邦運輸省予算担当次長を務めるマイケル・ウィンター氏とも出会い、交通バリアフリー全体をいかに具体化するかという本格的な作業が始まった。

 来年4月から介護保険が始まるが、通院やリハビリに通う移動費用は保険の対象にならない。移動にかかわる負担はいろいろあり、家族の付き添いや、交通事業者が介助することもある。手伝いを受けることが非常に心の負担になるとの声もうかがった。

 2025年になると高齢者が世の中の4分の1になる。高齢者でも足腰が丈夫な方はおられるが、大部分、移動制約者に入っていく。みんなが「もう家から出るのはいや」になるような世の中では、将来真っ暗だ。外に出かけられることが生きがいにつながるということで、交通バリアフリー法を作ろうと考えた。

 話題になった福祉移送サービスの問題で、今タクシー事業は年々お客さんが減って大変な状態、そこにボランティア活動が伸びてきたことに、業界の皆さん方が大変な危機感を持っておられることは事実だ。

 そういう状況のなか、ボランティアといえども現在の法律のままでさらに踏み込んでいくことはよくないだろうと、将来に対してどれだけの需要予測をするかも含めて検討を進めてきた。障害者の方は現在300万人弱だが、高齢者の中で足腰が悪くなっていく方がふえてくるだろうということを目安にして、 700〜800万人が将来の移動制約者として皆さんが相手にするゾーンだと想定した。ところが、今実際にやられているのは、せいぜい10万〜20万人。ふえた部分をボランティアでカバーできるかという問題もあり、やはりタクシー業界との棲み分けが課題になる。民主党としては福祉移送サービスのあり方について成文化した法案骨子があるが、将来の棲み分けなどの話がつくまでは出さないということにしている。論点は多く、2種免許や予約制の問題、タクシーは24 時間だがボランティア団体はどこまで対応できるか、そして最後は値段の話。

 場合によっては、福祉タクシーという部門にもっと法律的な助成をして強化していくことも考え、棲み分けることで福祉に乗り出すダクシー事業者も出てくると考えられる。様々なご意見を踏まえて、それらを受けとめた形で法律を作ろうと考えている。


参加者G

 私たちが待ちに待った法律が準備されているということですごくうれしい。ただ、気がかりなのは、知的にハンディを持っている方のことが入っていない点。自分でうまく切符が買えないとか、乗っても降りる駅がわからない方のためには、まだまだ整備が不十分だ。今私たちが一生懸命取り組んでいるのは、そういう方へのガイドヘルパーや付き添い。それはどこに入れたらいいんやろと考えている。せっかくいい法律をつくるのであれば、心のバリアも含めて交通バリアフリーの中に入れるべき。法律案の骨格の定義のところにはっきり「主として身体的理由により移動に関し制約を受ける者をいう」と書いてあるのが残念だ。


堀 民主党の「障害者政策中間まとめ」では、障害者の移動を3つの体系で考えている。1つは、今提案している公共交通で、広域的な鉄道・バス・飛行機・船などでの移動。2つ目は、地域内の移動で、STS(Special Transport System)をドア・ツウ・ドアで考えている。3つ目は、視覚障害者も含めて知的障害者の方々のガイドヘルパーだ。

 人的側面でのガイドヘルパーの充実が必要で、いまは福祉法の関係になるが、今後は地域内、あるいは府と県などにまたがる広域ネットワークのガイドヘルパー体制をつくりたいと考えている。


参加者H

 福祉移送に関する法案を準備されていることをだいぶ前に聞き、うれしく思った。20年近い歴史を持ってこうした活動をしてきた団体が全国にたくさんある。その団体が「非合法」「白タクだ」と後ろ指を指される状況を放置してきたのは、ある程度立法府にも責任があるのではないか。やっと生活者に追いついてきたということで非常に歓迎すべきことだと思う。2種免許の問題でいえば活動実態とそぐわない部分もある。NPO法の教訓として、市民立法型を志向していくことは非常に重要で、民主党がハンディキャブ連絡会などとずいぶんやりとりされてつくってこられたことは、我々としても大変評価している。

 タクシーとの競合問題について個人的な考え方では、選択肢が広がればそれでいいと思っている。タクシーに乗りたい方はタクシーに乗る、ボランタリーな活動で運行しているのに乗りたいと思う方はそれに乗る。選択肢が多様になることが本来あるべき姿だろう。そのなかには公共交通機関も入るだろう。

 今まで市民活動は単なる要求で終わってきた。それを議会などと共同しながら政策提言レベルまで高めて、点を面にしていく作業を一緒にやっていかなければいけない。京都も含めた地方での意見を聞く場をどんどん持っていただく。同時に、この動きを超党派の動きにしていくような形もぜひ模索していただければと思っている。


参加者I

 規制緩和のなかで、公営交通機関は住民の福祉の増進が目的という観点から、リフトつきバスやノンステップバス、また「環境にやさしいバス」ということで、天ぷら油で走るバスや電気バスにも力を入れており、労働組合も政策提言をしてきている。

 しかし京都市自体の来年度予算は、800億マイナスの予算編成で、起債も相当抱えている。烏丸線の建設当時、国から補助が出なかったので全駅エレベーター設置にいたらなかったが、補助がおりるようになって大規模改修工事で全駅設置を行った。バリアフリーの施設改善の面で、事業主負担や自治体負担、特に自治体財政が厳しいなかでこれが本当にできるのか、不安に思っている。地方分権とはいうが財源が伴っていない。交通に関しては運輸省直轄の部分がかなり強く、バス路線1つ決めるのにも国の指導がかなり入る。民主党には、財源を地方におろすこと、交通に関する権限を自治体におろすことを要請したい。


まとめの発言

吉田 京都府下に今260万人の住民がおり、その中で寝たきりの方が5万4600人、在宅の障害者が9万1000人、施設の入居者が500 人、合計で14万6100人が車いすで外出される。京都市内に走っている福祉タクシーは30台、これは多いほうだ。全国でことしの3月末現在で1424 台、それ以外は我々のようなNPOないしは社協、保健所、公共団体のリフトバス。それ以外はそう見当たらない。京都の14万6000人の方々の移送サービスも我々の力だけでは足りないし、現在あるタクシー業者だけでも足らない。これをもっともっと増やせるようにしていっていただきたい。


村田 バリアフリーというのは車いすの人が1人で移動できるというのが基本的な考え方だ。介助者がついて移動できるというのは第2段階で、自由に気がねなく外に出るというのがバリアフリーの原点だ。

 障害者たちが外に出るのに一番障害になるのがトイレ。公共施設にもトイレはふえているが、土、日は休みとか時間的な制限がある。それを救済するのが交通機関のトイレで、休みなく稼働しているから、みんな頼りにする。外出のバリアを解消するよう、できるだけ駅舎にトイレを設置してもらいたい。

 それから車いすで乗れない鉄道車両、車いすの幅より入り口が狭い車両がまだある。アメリカでは連結したら必ず1台はついている。幅があう特急が全然走ってなかったり、1日に1台しかない。これも大きな課題だ。


尾上 伊丹方式が全国に広がるような法律にしてほしい。協議会組織の中に当事者の参加をぜひ入れていただきたい。

 鳩山代表は日本版ADAと言われている。ADAは移動の権利を担保するための法だから、基本理念に移動の権利が明記されるべきではないかと思う。

 90年代は駅にエレベーターがついたり、リフトつきバスやノンステップパスやトラムが走ったり、各国の先進事例の実験が始まった時代だ。全体としての交通体系のなかで、それらをどう選択肢として選んでいけるのか。2010年なり15年までにはこうあってほしいというデザインの上で、今こういう法律をつくるという形で出してほしい。障害当事者が20年、30年かけて出してきたいろいろなアイデアを、この法律の中に盛り込んでいきたいし、受けとめていただきたい。


堀 民主党案はまだ骨子であり、皆さんのご意見でよりよいものにしたい。当事者、利用者の意見を入れることと、計画性を持ってやることが大事だと思う。公共交通、鉄道などの道筋、そしてドア・ツウ・ドアの道筋、そしてガイドヘルパーの道筋、この3つの体系で身体の移動の権利を確保したい。


細川 バリアフリーの実現には予算が必要。民主党案では、国は必要な財政的措置をとるとした。国会では補正予算の審議がされているが、むだな公共事業に国のお金を使うのではなくて、バリアフリーにどんどん使うことを民主党は強く主張している。国の予算の使い方の改革も含めてがんばりたい。


玉置 私たちは、みずからが自由に出かけられることを目標にこの法案をつくった。鉄道、バス、ドア・ツウ・ドアサービスのボランティアによる福祉移送やタクシー、いろんな分野があるが、選択を広げて自分がこの時間帯ならばどれ、緊急の場合はどれと、選択できるようにすることが重要だと思う。

 これまでの国の補助金には計画性がなかった。平成10年度当初予算は1億円、補正予算で87億、11年度当初予算が5億円では、バラバラで次に補助対象になるかどうかもわからず、前向きの計画は組めない。鉄道事業者も補助がなければ厳しいので、補助率を高めることと、毎年少なくとも最低いくら出るという形に改革したい。先ほど指摘のあった車両構造などについても補助できるような形を検討してみたい。

 福祉移送については、これからの需要増加を見ても当然タクシー業界といろいろな話し合いをして、最終的なとりまとめができると思っている。事業者や労働組合の方々とも、お互いがそこに進出をするという気持ちの中でまとめていきたい。

 これから1か月のパブリックコメントで、もう一度皆さんのご意見をお寄せいただき、法案をまとめ上げる作業を通じて、本当に皆さんのお役にたてるようなものにしていきたいと思う。
記事を印刷する