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2002/02/07
【参院本会議】江田議員、空疎なデフレ対策を批判


小泉首相の施政方針演説に対する代表質問が衆議院に続き参議院でも7日、8日の日程で始まった。トップバッターは民主党・新緑風会の江田五月議員。田中前外相更迭問題、小泉内閣の構造改革の頓挫、BSE(牛海綿状脳症)問題などについて、40分間にわたり、小泉首相の姿勢を厳しく問い質した。

 江田議員は、田中前外相の更迭について「国会の混乱を収めるためだと説明しているが、参議院では野党は予算委員会出席の方針を固めていた。もともと田中前外相を更迭したいと機をうかがっていた人々が自ら国会を混乱させ、これを利用したのではないか」と質した。首相は「国会が混乱したのは事実。本来外務省内の問題が国会全体の問題になった。私がそう判断したのだ。見解の相違だ」と補足答弁で述べた。

 江田議員はまた、「小泉首相は就任当時『構造改革なくして景気回復なし』と言っていたが、最近は『改革なくして成長なし』と言い替えている。この看板の書き換えには何か意味があるのか。前の看板は下ろしたのか」と小泉首相の改革姿勢の後退を批判。首相は「言葉は短い方がいい。構造が抜けたから改革しないのか、などと言うのは言葉尻をとらえた議論で遺憾」と開き直った。
 
 デフレ対策については、「あなたの処方箋は『予算の切れ目なき執行』『細心の注意』『日銀と一致協力』『強い決意』などの言葉しか見当たらないが、それだけでデフレが阻止できるのか。この際、与野党共同で『デフレ阻止共同宣言』などを行うべきではないか」と提案したが、首相は「総合的に」「切れ目なく」などの言葉を繰り返すのみだった。

 食の安全問題では「農水省や厚労省に分かれている食の安全行政を統合し、内閣府に包括的な機関を作るべき」と具体的な提案を行ったが、首相は「食の安全と安心のための仕組み作りに真剣に取り組む」などと抽象的な決意を述べるにとどまった。

 首相が施政方針演説の中で昭和天皇の詠んだ和歌を引用したことについて江田議員は「まだ影響力の強く残っている天皇の和歌を、あなたのメッセージの説得力を補強するために使うのは、天皇の政治利用であり、慎むべき」と首相を批判した。首相は、「この歌を読むたびに感動している。私は天皇の政治利用にはあたらないと考える」と説得力を欠く答弁を行った。
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