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2007/10/24
【衆院厚労委】菅代行、418名の薬害肝炎症例リストめぐり追及



「薬害エイズのとき、『ない』と役人に言われながら出てきた資料だ」と黄ばんだファイル29冊を示して質問


 衆議院厚生労働委員会で菅直人代表代行が質問に立ち、薬害肝炎患者の個人情報資料が見つかった問題に関し、薬害エイズの教訓が生かされていない厚生労働省の隠蔽体質を追及するとともに、考えうる対応策に早急に着手するよう舛添厚生労働大臣に迫った。

 菅代表代行はまず、「ない」とされた薬害肝炎患者の個人情報資料が見つかった厚労省の地下倉庫への緊急視察を23日に行ったと表明。厚労相の判断で扉が開けられ、倉庫内を確認したことを明らかにした。そのうえで菅代表代行は、厚生省資料にこだわる理由として、自らが厚生労働大臣時代に取り組んだ薬害エイズ問題の際も、見つからないとされてきた資料が執拗な要求で示されたことによって、問題解明への一助になったからだと説明。資料解明の必要性を改めて指摘するとともに、「都合の悪い資料を隠す」厚労省の隠蔽体質を追及する重要性を示した。また、資料発見には「不眠不休での調査」など不要で、厚生省の職員ならばすぐにでも明らかにできることでもあるとも語った。

 そのうえで菅代表代行は、(1)418名の肝炎感染被害者リスト該当者への告知(2)418名の病状、治療状況等の実態調査(3)418名の患者の特定・告知を必要がないと判断した理由と判断責任者の明示(4)被害者を特定し告知を怠り、病状の悪化を招いた責任者の刑事告発の検討(5)418名への謝罪と具体的な救済策――などを求め、19日に厚労相に対して抗議の申し入れを行った(下記関連記事参照)ことを改めて説明。回答を迫ったのに対し舛添厚労相からは1カ月をメドに対応するとの答弁を引き出した。

 また、菅代表代行は418人の症例リストは2002年に厚労省に報告されたものであることを確認したうえで、参議院予算委員会における福山哲郎議員との質疑で舛添厚労相が「03年は報告を受けていない」と答弁した点を質すと、厚労相は「役人からそう報告を受けた」と述べ、参議院での答弁は間違いだとして撤回。こうした質疑からも厚生省の隠蔽体質がさらに強く浮き彫りにされた。菅代表代行はこの事態を踏まえて、感染者情報を厚労省が入手した02年当時の医薬食品局長の参考人招致を要求、同委での集中審議も求めた。

 菅代表代行はさらに418人の症例リストと併せて、相当数実名がわかる資料も厚労省が同時に受け取っていたと指摘。さらに、02年以前の1987年(昭和62年)当時、すでに投与症例リストが報告されていたのではないかと質問。医薬食品局長は「昭和62、63年に提出されたものに入っている」と答弁したが、「そういう資料があるということを聞いていなかった」などとして、報告があったが気付かなかった旨を不遜な態度で発言した。

 菅代表代行はこの時点で厚労省が対策に着手していれば、重篤な肝硬変にまで至る前に被害者を救えた可能性が高いと指摘。こうした事態を招いた製薬会社と国が責任をもって患者の医療費負担を軽減し、病状の進行を止めるよう強く求めた。同時に、今回発見された症例は「氷山の一角にすぎない」と指摘。関係医療機関の徹底調査などを通じて血液製剤フェブリノゲンの投与実態を把握し、該当者への通知・検査の呼びかけを行なうのが厚労省の責務だとして、投与された約28万人全員の追跡調査と告知、費用を国が負担しての検査・治療を早急に行うように強く要請。舛添厚労相から「そういう形で実行したい」との答弁を引き出し、「国による対応」を約束させた。
関連URL
  肝炎対策推進本部、厚労相に血液製剤投与症例放置問題で抗議の申入れ
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=12050
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