参議院外交防衛委員会で22日、民主党・新緑風会・日本提出の「イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案」(イラク特措法廃止法案)が審議入りし、法案提出者を代表して『次の内閣』ネクスト防衛大臣の浅尾慶一郎議員が趣旨説明を行った。
同法案は、イラクで活動中の航空自衛隊を即時撤退させるため、根拠法となっているイラク復興特措法を廃止する内容となっている。
浅尾議員はまず、イラク特措法に基づく自衛隊派遣の法的枠組みについて、湾岸戦争時の国連安保理決議679及び687を引用し、イラクの決議違反を認める決議1441はあったものの、ついに武力行使を直接に認める決議は得られなかったことを明らかにし、「そもそも極めて無理な論理であった」と指摘。また、戦争の大義とされた大量破壊兵器は一切見つかっていない点も取り上げ、「同法の枠組みは土台そのものが崩れている」と主張した。また、いわゆる非戦闘地域の概念が虚構にすぎないとの立場から、民主党が衆議院へイラク特措法廃止法案を3回にわたって提出してきたことを明らかにした。
そのうえで浅尾議員は、米国に追従し、不正確な情報に基づいてイラク攻撃を支持した政府の責任は免れないと指弾。また、米国のブッシュ大統領、英国のブレア前首相でさえ、大量破壊兵器がなかったことやテロ組織アルカイダとのつながりがなかったことに関して、その非を国民に対して率直に認めたにもかかわらず、日本政府が、これまでの活動に一切変更を加えることなく、2年の期間延長を強行したことを極めて問題だとした。
また、派遣されている航空自衛隊の任務について、「人道復興支援ではなく、いわゆる多国籍軍の後方支援と見られるが、政府はこの活動の実態をほとんど明らかにしておらず、国民に対する説明責任を十分に果たしていない」点も指摘。政府が検討すべきは、撤退のための明確な出口戦略を描くことだとして、「イラクの現状を踏まえた我が国にふさわしいイラクの復興支援活動を実施していくことが重要だ」とも問題提起した。
さらに、国民に全く情報開示されなかったイラクでの活動を総括し、シビリアンコントロールに資する観点から、政府に対し、特措法第5条の規定に基づく国会報告を国会の民主的統制に十分資するものとなるよう義務づける必要があると指摘。同法案に対する委員各位に賛同を求め、提案の趣旨説明を締めくくった。
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