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2007/12/10
【参院決算委】国民の大きな声に、具体的な政策を持って対策を求める 加藤議員




 10日午前に開かれた参議院決算委員会で、加藤敏幸議員は平成18年度決算の全般質疑に立った。

 はじめに加藤議員は、格差問題について、社会的・経済的格差の問題が深刻化、中央と地方との格差も広がっている状況や低所得者層の増加に伴う生活保護の急増、不安定雇用の増大など、医療の問題や経済の問題が悲惨な状態になっていることを指摘。加藤議員は福田首相が掲げる「格差是正」「共生」の理念に対して具体的な施策があるのか、またどのように実現していくのかと質した。

 福田総理は、「高齢化社会を迎えるとともに、日本を取り巻く環境が変化している中でわが国の社会構造も変わってきている。改革を行なってきたこと全てが悪かったわけではないが、格差が大きくなることに対しては政治家が考えていかなければならない」と総論的な抽象論に留まる答弁であった。

 加藤議員は首相のこの答弁に対し、「厳しい状況の中、国民の多くの立場の人が声をあげている時に、具体的な政策を持って対策をしていくべきだ」と、現実を直視していない福田首相に早急に国民のための政策を行なうべきだと主張した。

 続いて加藤議員は、現在医師不足による中核病院の閉鎖や診療科などの削減など地方医療が危機に直面していることを挙げ、その主な原因は一連の規制緩和や構造改革に基づく政策であると指摘した。更に加藤議員は地域医療の崩壊を防ぐためには思い切った政策の転換が必要であると主張し、舛添厚労相に見解を求めた。

 舛添厚労相は、「格差問題の最大の問題の一つが医療格差である。また多くの不満を訴えられること(の背景)には医師不足があることは認識している」と、医療問題が深刻化していることを認めた。また、「医師不足による労働過多や訴訟リスクに伴い医師の労働環境も悪くなっている現状を考慮すると、診療報酬などで改善していく事も検討しなければならない。最終的には中長期的に日本の医療体制を作っていくのかを考えていく」との答弁を引きだした。

 さらに加藤議員は、医療を受ける側の経済状況の観点から、子どもを生み育てられるかどうかおぼつかない年収200万円の家庭の実情、国民健康保険が払えないためにまともな医療を受けられないなど格差問題がもたらした現実などをもっとしっかり把握するために1966年から打ち切られた貧困調査のような行政調査を再開し、的確な政策を打ち出すべきであると訴えた。

 次に加藤議員は、6月20日「改正建築基準法」施行に伴い、住宅着工戸数が大幅に落ちこんだ状況を報告し、そのことが景気全体を押し下げる要因となっていると指摘。大田経済・財政担当相に経済への影響について説明を求めた。

 大田経済・財政担当相は「全体のGDP全体の0.3%の押し下げに寄与している。今後も注視して行く必要がある」と説明した。

 また、冬柴国交相にも法施行の経緯について説明を求め、冬柴国交相は姉歯事件の耐震構造偽装から建築手続きの厳格化、審査期間の大幅な伸びなどによるものと説明。加藤議員は両大臣の説明を受けて、「大変な事件があったことから手続きの厳格化や審査期間の延長を行なうのは大切ではあるが、技術基準をもっと早く定義しなければいけない。そうでなければ全ての着工が止まったり、遅れたりする事になり、ある意味、官庁発の不況原因になってしまいかねない。今後このような事例は早急にきめの細かい対応を求める」とした。

 最後に加藤議員は、ものづくり教育のあり方について、技能オリンピックの成功により、技術・技能、「ものづくり」への機運が高まったことを一過性のものとはせず、今後の職業能力の開発、技能者・技術者の育成の観点からも「ものづくり」政策の充実を図る必要性を強く訴えた。
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