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2007/12/11
鳥獣被害防止特別措置法案の衆議院可決にあたって(談話)
『次の内閣』ネクスト農林水産大臣 筒井信隆
『次の内閣』ネクスト環境大臣 岡崎トミ子

 鳥獣被害防止特別措置法案が衆議院農林水産委員会で可決されました。民主党は、農作物の被害への対応が緊急の課題であるという観点から、この法案の委員長提案に賛成しました。参議院での審議を残していますが、成立の際には、法律が有効かつ適切に機能し、少しでも農家の皆さんの被害が軽減することを願っています。

 本来、農作物被害は、この特別措置法を待たずして、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣法)の抜本改正によって対応することが筋でした。民主党は、この数年の鳥獣法改正の度に、被害防止を最重要課題のひとつとして(1)生息環境の再生を含む鳥獣の総合的な管理、(2)人材の育成・配置、(3)実態把握の推進などを訴えてきました。近年の農作物被害は、山林や里山が荒廃して野生動物が人里に進出していることが背景にあり、実効性ある被害防止のためには、捕獲・駆除だけではなく、「生息地の維持・再生」、「被害防止」、「適切な個体数管理(捕獲・駆除)」の3つを一体として実施することが不可欠だからです。

 与党が提出した鳥獣被害防止特別措置法案の原案は生息地の維持・再生などの視点が欠落し、捕獲・駆除のみに頼る向きが窺われ、被害防止の実効性、生態系保全の両方の面から不安がありました。そこで民主党は独自の修正案を用意しつつ、与党に修正を求め、次の項目をはじめとした一部の修正を実現しました。

(1)附則で鳥獣保護法を改正し、国に鳥獣の生息状況などの調査と調査結果の活用を義務づけることとした。

(2)国と地方が被害防止施策を講じるにあたって「生物の多様性の確保」に留意することを義務づけることとした。

(3)被害防止計画と鳥獣 保護事業計画の整合性を必要とした。

(4)環境大臣が農水大臣に意見を言えるようにした。

(5)人間と野生動物の棲み分けを保つため、農林漁業の振興及び農産漁村の活性化を盛り込んだ。

(6)国に被害原因の究明を義務づけた。さらに、決議で、国や自治体に人材の育成を求めました。

 この間、農作物被害の実態、鳥獣の実情、生態系保全の必要性について様々な情報・ご意見をいただいた多くの個人・団体の皆さんにお礼を申し上げます。

 今後は、この法律の運用状況を厳しく監視していくとともに、真に実効性ある被害防止と生態系保全を進めるため、党の政策として次の通常国会に鳥獣保護法の改正案の提出・成立をめざします。

以 上
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