ニュース
ニュース
2002/02/25
【衆院予算委】筒井議員、ロシア水産物密輸への鈴木氏の関与を追及


 25日、衆議院予算委員会において、民主党の筒井信隆議員がロシアからの大規模な水産物密輸問題について初めて明らかにし、政府のずさんな貿易管理体制を厳しく追及した。

 筒井議員はまず、99年のロシアからの水産物輸入統計について質した。水産庁はロシアからの輸入額は日本側統計では約11兆円、ロシア側統計は7100万ドルと回答。筒井議員は「7倍もの違いは何か、密輸ではないか」と質した。木下水産庁長官は「不正の輸出であることが多い」と認めた。筒井議員は「(不正輸出の問題について)いつロシア政府に照会したのか」とさらに追及。「97年6月に照会。9月にポートクリアランス(積み出し証明書)は発行していない、と回答を得た」と木下長官は回答した。

 筒井議員は「ロシア中央政府が発行していないと言っている。偽造ではないのか。違法を今まで黙認していたのか」と厳しく追及した。外務省欧州局長は「私どもも理解できないので、照会している」と答弁。武部農水相は「ポートクリアランスは政府発行ではない。地方機関が発行したものかどうか確認できない。プーチン大統領からも(密輸・密漁取り締まりで)協力を求められている」と答弁。筒井議員がさらに追及すると、武部農水相は「ロシアに正式な回答を求める。日露協議をできるだけ早く行い、解決する」と答弁した。

 続いて筒井議員が「地方機関、税関がどういう位置にあるのか」を質したところ、外務省欧州局長は「税関は機関としては、中央政府にもとにあるが、ポートクリアランスの発行権限がどこにあるのか不明。権限の委譲もある」と答弁。筒井議員は納得せず、「なぜ、中央政府が出していないと、文書で回答しているものを偽造と断定できないのか」と迫った。欧州局長は「1月にロシアと協議した。明確な回答を求めている」と質問には答えず。

 さらに、いつ疑問を持ったのかを質したところ、木下長官は「97年6月に報道があり、ロシアに照会した」と答弁。筒井議員が「自分たちでは疑問に思わなかったのか」と追及。木下長官は質問に答えられず、「(ポートクリアランスは)提示を受け、確認し、返還している」と回答。

 これに対して筒井議員は、コピーの有無、発行元の正式機関名を質したが、木下長官は「記録はない。詳細は分からない。機関名はユジノサハリンスク税関」などと答弁。塩川財務相に税関の関係を質したところ、財務相は「調べる」と回答した。津島予算委員長は、税関、外務省、水産庁にそれぞれ調べさせて責任ある回答をさせるとしたが、筒井議員は、通告質問であるにもかかわらず答弁内容がひどすぎるとして、残りの質問を保留した。

 16時すぎから行われた保留分の質問で筒井議員は、あいまいな答弁を繰り返す政府側を「本件は国家的密輸であり、日本政府は取締を避けているとしか言いようがない」厳しく批判。筒井議員はさらに「この密輸によって利益は北海道の輸入業者に入り、その30社ほどから鈴木宗男議員に政治献金が渡っている」との新たな疑惑を指摘し、政府側に対し輸入業者名を明らかにするよう強く迫った。田村関税局長の「輸入申告書で業者名は分かると思う」との答弁を受け、筒井議員はその資料提出を予算委員長に求め、後刻理事会で協議することとなった。
記事を印刷する