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2008/02/04
【参院予算委】医療費増加で医療体制再構築を 櫻井議員




 櫻井充議員は4日午前、参院予算委員会の社会保障に関する集中審議で、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して質問に立ち、福田首相をはじめとする関係各者に医療問題を中心に見解を質した。

 櫻井議員は冒頭、先月31日の同委員会質疑において冬柴国土交通大臣が、生活道路整備の必要性を主張する中で示した、「道路の整備なくしては本来救急医療で助かる人が助からない」とする趣旨の発言を取り上げ、その論理の矛盾を指摘。TV中継されるなか、道路さえ造れば命が助かるといった間違った認識を与えるような答弁をしたことを問題視した。また、冬柴国交相が「救急車とバスがすれ違えない真に必要な福祉道路」として例に挙げた写真が平成4年当時のものであることについて、道路整備を16年間放置していた国土交通省の政策を批判した。

 続いて医療費に関して、「医療費の圧縮が医療の崩壊を招いているのではないか」と述べ、医療に携わる者の処遇・待遇面での改善など医療体制の再構築が不可欠であるとの見解を明示。「再構築への政策転換を邪魔しているのが経済財政諮問会議である」として、首相に対して諮問会議のメンバー変更、会議そのものの廃止を求めると、あいまいな答弁ののち、「問題あれば総理の責任である」と福田首相は明言した。

 次に、櫻井議員は日本国内ではまだ広く知られていない鳥インフルエンザについて、死亡率の高さなどその脅威を説明。発生した場合の想定患者数をはじめ、医師、看護師はもとより、ベッド、注射針の確保など、日本政府の認識の甘さを指摘し、「まず封じこめることが大切」との考えを述べた。そのうえで具体策として、医療技術スタッフを海外に派遣するなどの体制を築くことを提言。情報収集など国内対策だけでなく、国際貢献にも繋がるとして取り組みを求めた。

 櫻井議員はさらに、OECD加盟国の医療費の対GDP比データにおいて、現在日本は医療崩壊が顕著だったイギリスよりも下位にあることを指摘。医療費抑制を見直すような政策転換を迫った。これに対して福田首相は、高齢化社会で高齢者に負担が増える中、適正な医療水準をどう維持するか、議論していくとの考えを強調。櫻井議員は、「医療費に関してはある負担と供給の関係の議論が道路に関してはない」と、道路特別財源に固執する政府・与党の姿勢を改めて指弾した。

 中国製冷凍ギョーザによる健康被害に関しては、被害国・日本としての対応について、外務省の措置に関して時系列で資料を示すよう要請。それに関連し、食品のみならず中国産の安い歯科技工物が雑貨扱いで輸入されているため安全性のチェックが全くされず、問題となっている例を紹介した。その背景として、日本の歯科医療を支える技工士の労働条件の悪さを指摘。技工士学校が廃校になったり、卒業しても技工士にならない学生が増えるなどして、現在25%を占める50歳代が引退すると歯科医療界が根底から揺らぐ実態に危機感を示し、医療費の大幅な増額を求めた。

 これに対して福田首相は「十分な議論のうえ検討していく」と答弁。櫻井議員は、検討を表明するばかりで具体的な政策が何ら示されない首相の姿勢を問題視し、株価下落の要因についても米国のサブプライムローン問題ではなく、日本の内需の弱さであるとの認識を述べた。最後に補正予算案、本予算案が「国内の消費が伸びるような政策になっていない」こと、さらには福田首相をはじめとする閣僚たちの説明不足、都合のいいデータしか示さない対応を批判。「国民の政治不信を植え付ける原因になっている」として、「総選挙でしっかり民意を問うべき」と述べて解散総選挙を求め、質問を終えた。
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