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2008/02/19
私が任命権者ならば日銀総裁は官僚支配打破の観点から選ぶ 会見で代表




 小沢一郎代表は19日午後、党本部で会見を行い、海上自衛隊イージス艦と漁船との衝突事故、日銀総裁人事等について見解を示した。

 冒頭、イージス艦と漁船との衝突事故をどう受け止め、石破防衛大臣への連絡が事故発生から1時間半後で首相への報告はさらに遅れた点をどう見るかとの記者団の問いに、「遺憾という言葉以上に、こういうことが起こることはあってはならない」と述べた。

 そのうえで、「緊急時の即応体制が通信面をはじめとしてあらゆる面でできていない。阪神大震災はその典型で、体制が整っていなかったために被害を大きくした」と分析し、緊急時の即応体制整備の重要性を指摘した。

 また、石破防衛大臣の責任をどう見るかとの問いには、所管の大臣として、事故の発生原因等を解明していく必要があるとしたうえで、「いずれにしても漁師のお2人が見つかっていない状況のなか、全力で捜索し、身柄を安全に確保できるようにしてほしい」と要請した。

 日銀総裁人事に関連してはまず、福井総裁の金融政策をどう見るか問われたのに対しては、「日本ではひとりのトップリーダーがすべてに関して意見を出し、それに基づいてやっていくという仕組みではない。現在の金融政策も福井総裁ひとりが決めたのではなく、みんなのコンセンサスのなかでやってきたもの」と分析。日銀は独立性をもった機関とされてはいるが、福井総裁の金融政策も日本社会特有の「みんなの合意のなかで行ったもの」との見方を示し、その認識に基づき、「福井総裁自体がどうこうという話ではないし、そのことで後継者にどう影響するということでもない」とした。

 続けて小沢代表は「ただ」と前置きして、国全体の財政金融政策がこのままでいいのかという議論は当然あるべきだと指摘。「全体のなかで国の政策をどうやっていくかというなかでとらえていかなければならない」と述べるとともに、そうとらえる以上は国会運営に関してそれなりのビジョンがなければならないとの見解を明示。「いずれにしてもわれわれは任命権者ではないので、私どもの意見はできる限りは反映してもらいたい」と政府与党に求めた。

 日銀総裁選びに関する見解の根底として小沢代表は、「私は基本的に日本社会があまりにもコンセンサス社会に偏りすぎている、もう少し自立した日本人であらねばならない。そして、自己主張をもっている日本人でなければいけないと主張し続けている」とも述べ、従来から自らが唱えるこの基本的な見解は、政治や行政の分野で共通する考え方であるとした。特に日本の場合、国債、地方債の発行が巨額にのぼっている現状を見るに、当然ながら金融政策に影響してくる問題でもあると指摘。そういう意味で、自分の職分に関連するいろいろな問題について広く視野を広げ、自己主張をもって問題に当たる、日銀でもその他の省庁でも、そうした感覚が大事だとした。

 さらに、日銀総裁人事については、マスコミはじめ世間とはまったく違う観点から考えているとも自らを分析。財務省出身者はダメだといった類の話も所詮は官僚支配の、奥の院の、大奥のできごとみたいなものとして、「私が任命権者として考えるとすれば、われわれの主張どおり、官僚支配のしくみを破らなければならないという視点から考える」と、観点の違いを浮き彫りにした。「政権をとっているわけでもないし、現実に任命権限があるわけでもないので限られているが、国民主導の政治というのが根本の主張なので、官僚支配はいけない」とさらに続けて訴え、国民の代表たる政治家として、国民主導の政治行政を行うという観点に立って官僚支配打破に繋がる選択を行うべきとの考えを示した。

 「財金の分立とかいっても(現実には)似たようなもので、それでは意味がない」とも述べ、今の日本の社会の仕組みともいえる官僚支配の体質を打破しなければならないと表明。「権限をもっていないので思うようにはいかないが、どういう考えをもっているかという観点でいえば、そういうことだ」と繰り返し述べた。

 同時に、野党4党の提案を与党側が全面的に受け入れる形で実現する、同意人事特別案件に係る所信聴取の仕組みについては、「新たに就任する人が国会の場で自分の経験を述べることはいいことだと思う」とした。

 そのうえで「そうした場で、話を聞いたうえで、最終的に判断する」とも語り、同意人事特別案件に係る所信聴取の仕組みに乗っ取って党としての考えをまとめていくと表明。同時に、所信を聴取して同意人事に「ノー」となれば拒否するだけの人数は参議院にあるとも強調。「必然的にわれわれの思いも結果として反映することもできるのではないかと思う」と語り、任命権はないが拒否権はあるとして政府与党の動きを牽制した。

 25日に開かれる韓国の李明博次期大統領の大統領就任式に先立ち、小沢代表が20日から22日まで訪韓し、李次期大統領と会談する件については、「特別に何を話そうというのは考えていない」としながらも、大事なことは自ずとお互いに話題になるだろうと思っていると指摘。理屈の前に日韓関係は民族的にも文化的にも地政学的にも密接不可分の関係であり、両者は一番共通性をもった国家だと思っていると分析。「従ってこの両国が本当に信頼関係のもとで協力することは非常に大きな力になるし、大事なことだと思う」と語った。
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