ニュース
ニュース
2000/02/02
もう一つの予算委員会で真摯にやりとり「公共事業を最大の争点に」鳩山代表
 民主党は3日国会近くのホテルで、「もう一つの予算委員会」を開いた。テーマは 「2000年度予算・公共事業のあり方・財政再建」。約500人が参加し、真摯な やりとりがおこなわれた。

 自自公は衆院予算委員会を一方的に開会し、単独で審議を続けた。自自公政権は同 日、参院でも年金改正法案の単独審議に踏み切った。 「もう一つの予算委員会」で は峰崎直樹予算委員長(NC税制副大臣=以下NC略)が進行を担当。

 はじめに横路孝弘予算・決算大臣担当大臣が政府予算案について所信を表明し、次 に前原誠司社会資本整備大臣、佐藤謙一郎環境・農水大臣が担当テーマについて発 言。コメンテーターや会場との質疑がおこなわれ、菅官房長官が議論をしめくくった


◆鬼は自分に潜む弱さ――鳩山代表

 最後に羽田幹事長が「IT(情報技術)革命の時代には、民主党のように若く生き 生きと議論ができる内閣が必要。この国を救うため、民主党政権を打ち立てよう!」 と呼びかけ、鳩山代表も「今日は節分で鬼を退治する日だが、鬼は自自公ではない。 自分たち1人ひとりに潜む弱さこそ鬼ではないか。次期総選挙では公共事業を最大の 争点とする。既得権益にとらわれず、国民のために闘えるのは民主党だけだ」と強い 決意を表明した。


◎ 各大臣の発言骨子〜「もう一つの予算委員会」

 横路予算・決算大臣の所信「政府案はバラまき・利権温存の公共事業中心で、景気 対策にならず、財政赤字と国民の不安を増すだけ。これからは、(1)土木事業中心か ら福祉・介護部門への政府支出転換(2)地方分権、官庁の権限削減を柱とする行政改 革の推進(3)税制の総合課税化(4)温暖化と少子化への対策を基盤にした産業構造転換 の推進をおこなうべき。」

 前原社会資本整備大臣の所信「これまで官僚が仕切っていた公共事業を国会がコン トロールするため、計画の今日的な妥当性を検証する『時のアセスメント』を法制化 する。住民投票も議会制民主主義を充実させる制度として法制化したい。公共事業そ のものは、5年間で2割、10年間で3割削減する。」

 佐藤環境・農水大臣の所信「農水省には環境庁の約40倍の3兆円の予算があり、 これを使い切るために農道空港などの無駄な設備を作って貴重な森や海を破壊してい る。まず3兆円という枠を壊して必要な公共事業の基準を定め、不必要な事業を削減 するべき。」

◆コメンテーターとの質疑 

問い/糸瀬茂県立宮城大学教授
「公共事業偏重の景気対策を改めると建設部門などで数百万人の失業者が出ると予想 される。どう対応するのか。民主党の不良債権対策と、IT革命への考えを聞きたい」

答弁/
横路大臣「雇用の伸びが期待される情報・個人サービスなどへの事業転換を援助し、 職業転換教育を充実させる」

岡田大臣「情報開示を徹底させて銀行の責任でやらせるのが基本。ペイオフは必ず実 施すべき。金融機関からの借り手保護もすべてではなく選別して行うべきだ」

小沢鋭仁情報・通信大臣「ベンチャー企業が資金調達を容易にできる制度を整備し、 インターネットなど個人が利用する情報通信については『より早く,より安く、より 安全に』を原則とする」

問い/
五十嵐敬喜法政大学教授「日本の自然環境は公共事業で最悪となった。中海干拓、吉 野川可動堰化などの白紙撤回に向け、総選挙では公共事業を争点化すべき。新神戸空 港、愛知万博に関する見解は?」

答え 前原大臣「13の具体的事業を予備調査し、問題点を整理していく。個人的に は新神戸空港も白紙に戻す考えだ。党としても今後、地方議会で住民投票を推進して いきたい」

佐藤大臣「万博は世界からも批判されており、論議し直すべきだ」

菅官房長官の所信
「日本の予算はあらかじめ省庁別の枠組みが決まっており、ほとん ど変化がない。先進国でこんな編成をしているのは日本だけで、いつまでたっても良 くならない。民主党は2001年度から、世界では常識のやり方――大枠を決めたう えで各省庁の優先順位を割り当てるという方法で、独自の予算を組む」
記事を印刷する