ニュース
ニュース
2008/02/29
【衆院予算委】笠議員 衝突事故めぐる防衛省の情報公開のあり方を問題視




 イージス艦と漁船との衝突事故に関する集中審議が行われた衆議院予算委員会で29日、笠浩史議員が質問に立ち、今回の事故対応の不備を改めて質し、政府による危機管理体制整備の必要性に言及した。

 笠議員はまず、「まだ見つかっていない吉清さん親子のしっかりとした捜索をお願いしたい」と表明。そのうえで、漁船を確認したのが2分前とされていたのが実は12分前だったなど、情報が錯綜する現状に国民は不信感を抱いていると指摘。その混乱ぶりをどう見るか福田首相の見解を質した。首相は「危機管理の基本である情報連絡をしっかりとしなければならない。情報管理体制を含めていろいろと考えなければならない、そうでないと統制していけるかどうか」などと、一般論を述べるに留まった。

 首相のそうした姿勢を受けて笠議員は、防衛省、海上自衛隊、海上保安庁などの間に入って指導・監督を行っていく必要性を提議、「当事者意識を総理がもってやらなければならない」として、官邸主導で事件に対処していく体制が不可欠だとした。

 こうした指摘に対して町村官房長官が「必要な調整はやってきたつもり」などと発言したのに対し、笠議員は「必要な調整をした結果、このような事態を招いているならば、政府全体の問題だ」と重ねて指摘した。

 笠議員は、「漁船の発見は2分前」としていたのが一転して「12分前」と発表されるに至った問題についてさらに、情報収集と公開のあり方をめぐって議論した。さまざまな状況精査の結果、「12分前」であることが判明し、石破防衛大臣には午前8時半には報告が届いていたにもかかわらず、夕方5時まで発表されなかった点を指摘。その対応の遅さの理由を質した。

 石破防衛相は「再確認が必要だった」として、海上保安庁などに公開資料をFAXして公開の確認なども行ったことによる遅れだとしたが、岩崎海上保安庁長官は海保はあくまでも事故調査する立場であり、資料公開は防衛省は防衛省の立場で独自に公表したものとの認識を示し、確認作業に時間を要して発表が遅れたとする防衛相の発言根拠が崩れた。

 誤った「2分前」情報をすでに発表していたのであれば新情報の公表は何をおいても優先すべきだとの認識を示して、笠議員は防衛省の情報発信のあり方に疑問を呈するとともに、防衛省に対する国民の信頼が失墜するなか、政府による事故究明の対策本部を早急に立ち上げる必要があると指摘。「まさに一体となって取り組まなければならないとき。連携をする形を整えてほしい」と強い口調で求めた。
記事を印刷する