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2008/03/24
医療制度の抜本的な総合改革が必要だ−08年度の診療報酬改定の中医協答申について(コメント)
民主党『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣
山田 正彦

 先に中央社会保険医療協議会から答申された診療報酬改定が4月から実施されようとしている。今回、緊急課題への対応として、病院勤務医支援を目的に1500億円規模の診療報酬引き上げが行われるが、焼け石に水であり、改革と呼ぶにはほど遠い。

 病院勤務医の疲弊や、医療崩壊は深く広く進行している。今回の対策の1500億円という規模は、33兆円規模の国民医療費の0.5%以下にすぎず、現状打開には不十分である。加えて毎年2200億円にのぼる社会保障費の削減が過剰な医療費圧縮を生み、他の先進国に類を見ない医療崩壊を招く一因となっている。民主党はかねてから、医療崩壊を食い止めるには、診療報酬の上げ下げで医療政策を誘導すべきではなく、大胆な一般財源の投入が不可欠であると主張してきた。こうした一般財源の投入により、制度面でも、勤務医の労働条件の向上・女性医師の就業維持と職場復帰支援・医師養成定員増員・無過失補償制度の整備などが必要である。民主党は現在、医療崩壊の現状を打開するべく、総合対策を打ち出す準備を行っている。

 今回の改訂では、医療費削減策として、外来管理加算などの算定に、5分以上などの時間の目安が導入された。こうした時間の目安を設けることによって、丁寧な診療が行われ、診療の質が高まるとの見解を厚生労働省はとっている。しかし、医療の現場実態や医師の専門的判断、裁量を無視するような施策は、一つの医療機関で受診できる外来患者数を抑制しかねない。民主党は、この5分ルールの導入により、医療崩壊や医師不足がさらに深刻化するのではないかと危惧している。さらに専門医不足に対応し、地域医療を支援するためにも、病理診断のみならず放射線の遠隔診断評価なども検討されるべきだ。

 4月から導入される後期高齢者医療制度への対応として、後期高齢者を対象とした新たな診療報酬も定められた。しかし、その内容はまさに高齢者いじめである。例えば、後期高齢者診療料は、その報酬の範囲内で検査や処置を行うことを前提とするもので、定められた報酬が極めて低く、後期高齢者は、従来と同等の検査や処置を受けられなくなる恐れがある。民主党は、高齢者いじめに断固として反対する立場から、後期高齢者医療制度廃止法案を4野党共同で提出したところであり、このような後期高齢者医療制度の廃止を実現する決意である。

以上
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