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2006/05/23
緊急事態法制 政府・与党はきわめて不誠実 松本政調会長ら会見


松本剛明政策調査会長(『次の内閣』ネクスト官房長官)と長島昭久ネクスト防衛庁長官は23日午後、党本部で緊急の記者会見を開催。民主党と与党が何度も法制化について確認している緊急事態基本法について、政府が法制化は必要ないとの回答を寄せてきたことについて、組織防衛を優先する不誠実な態度だなどと厳しく批判を加えた。

 松本政調会長はこの中でまず、緊急事態基本法の制定について、民主党と与党とのこれまでの合意を紹介した。主な内容は以下の通り。

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○ 「緊急事態にかかる基本的な法制については、四党間で真摯に検討し、その結果に基づき、速やかに必要な措置をとる。」(2003年5月13日)
 →岡田克也幹事長と山崎拓(自民)・冬柴鐵三(公明)・二階俊博(保守新)各幹事長(いずれも当時、以下同様)が署名。

○ 「「緊急事態基本法(仮称)の必要性を認識し、基本法を制定する。」「基本法は、次期通常国会会期末までに成立を図る。」(2004年4月9日)
 →前原誠司衆議院議員と、久間章生(自民)・遠藤乙彦(公明)各議員が署名。

○ 「自由民主党・民主党・公明党の各党は、緊急事態基本法(仮称)の制定の必要性に鑑み、ここにその骨子について了解し、次期通常国会で成立を図ることを合意する。」(2004年5月20日)
 →藤井裕久幹事長と、安倍晋三(自民)・冬柴鐵三(公明)各幹事長が署名。

○ 「法案は三党とよく調整しつつ政府から可及的速やかに提出することが妥当であること、(中略)について認識の一致をみた。」(2005年7月28日)
 →前原誠司『次の内閣』ネクスト防衛庁長官と、額賀福志郎安全保障調査会長(自民)・赤松正雄緊急事態基本法検討プロジェクトチーム座長(公明)が署名

○ 「4月中を目途に三党間の調整に務め、その結果を踏まえ、政府をして速やかに法案の作成作業に当たらせ、今国会中に法案の成立を目指す。」(2006年3月14日)
 →渡部恒三国会対策委員長と、細田博之国対委員長(自民)が署名

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 こうした事実を踏まえた上で松本政調会長は、先週の木曜日に政府から、基本法の作成は不要であるとの結論の回答が寄せられ、再度の確認をした上で、今日、内容は変わらないまま正式に回答があったことを明らかにした。

 松本政調会長は、「官僚になぜそういう部分を任せるのか」と批判を加えつつ、7ページにわたる回答の大部分に、「直ちに新たな組織を設置すべきとの状況にはない」、「危機管理体制の運用の強化・改善を図っていく」などの表現が散りばめられ、「基本的には運用面で対応することが可能」として、新たな組織は必要ないとの主張が延々と続いていることを指摘。これまでの民主党と与党の協議の結果を、官僚の組織防衛の論理で崩したことを、「大変、遺憾だ」と強く批判した。

 松本政調会長は更に「与党が承知をしている政府の回答だ、との答えがあった」ことについても言及し、各合意文書を見れば、基本法制定の必要性についての議論は終わっているとして、「役所が組織をいじくりたくないということで、議論をひっくり返す」ことは、絶対に認められないとの認識を改めて示した。

 また松本政調会長は、緊急事態法制の制定が遅れることは、「国民の権利を保障するという意味でも、大変不安定な状況が続くということだ」と指摘。これまで続けてきた自民・公明との三党の協議についても、基本の前提が3年以上前に戻ったのでは、到底既存のままというわけにはいかないなどとして、与党側の不誠実な姿勢を批判した。そして、与党側にも、基本法制定の「必要性は十分ご理解いただいていた」にも関わらず、こうした事態に至っていることを、「(合意文書に署名した)渡部国対委員長にも大変失礼な回答だ」とし、「少しひどいのではないかというのが率直なところだ」などと厳しい口調で語った。

 松本政調会長は更に、こうした緊急事態法制の制定も条件として衆議院で行政改革推進法案の審議に入った経緯も指摘し、自民・公明両党は、「きわめて不誠実な態度だということを申し上げざるを得ない」として、「政府・与党の不誠実な態度を前提に、これからの国会に臨むことになる」などと、厳しい見方を示した。
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