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2008/05/12
【女性議員ネットワーク会議】「生産から消費まで 食の安全を考える」研修会開催




 民主党「女性議員ネットワーク会議」2日目となる12日午前、食生活ジャーナリストの佐藤達夫氏を講師に迎え、「生産から消費まで 食の安全を考える」をテーマに、党本部で研修会が開催された。

 佐藤氏はまず、昨年相次いで食品表示偽装が発覚し、今年に入ってからは中国製冷凍餃子中毒事件が発生するなど、食の安全を揺るがせた問題について、「そんなに危険に思う必要はない」との見解を明示。中国製冷凍餃子中毒事件に関しては、農薬の混入という犯罪と食品安全の問題をきちんと分けて考える必要があると主張し、論点がすり替わることで「中国産の加工食品はすべて安全ではない」などとする危険な議論の拡大に繋がったとの見方を示して、非科学的な誤った論調に苦言を呈した。

 次に、食の安全に関する調査において「不安に感じる」との回答が多かった添加物、残留農薬の問題に言及。食品添加物=悪者という論調に異議を唱え、加工食品なしでの食生活は不可能とも思われる現在の日本においては、安全性、利便性、危険性を比較したうえでつきあっていくべきであると進言した。これに関連して、「世界ガン研究基金・アメリカガン研究財団の報告」に基づき、ガン予防の10カ条を紹介。ガン予防の観点からはガン発生と農薬、食品添加物との因果関係は科学的に検証されていないとの見方を示した。

 また、農薬の安全性と食料自給率については、残留農薬違反農産物の出現率は日本も中国も大差はないとの見方を提示。安全性を過剰に求めすぎると価格の上昇を招き、購入できない人も出てくることを懸念、物価上昇の中では食品を安く提供することが優先すべきであると主張した。その一方で佐藤氏は、「消費者は農業者に対しての援助を真剣に考えなければいけない」と表明。民主党が農業者戸別所得補償法案で主張するのと同様に、農業者の生活が安定する農産物の値段設定を行うべきであり、若者が就きたいと思う農業にすべく第一次産業への支援策を講じるよう参加議員たちに求めた。

 続いて、大河原雅子参議院議員が民主党の取り組みとして「食の安全・安心対策関連法案」を説明。自民党長期政権により壊された食の安全、農業を守る必要性を強調した。経済格差が広がる中、「食べ物が安いことに疑問をもたないことにこの国の歪みがあると思う」との見解を述べ、食料自給率上昇に向けた農業支援策「農業者戸別所得補償制度」を改めて紹介。9日に衆議院で否決されたが、食の安全・安心の確立、また環境面での役割も重視し、第一次産業支援に努める方針を語った。
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