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2008/05/13
【自治体議員フォーラム】スポーツが変われば日本が変わる 二宮清純氏記念講演




 地方自治体議員フォーラム全国研修会の2日目の13日午前、スポーツジャーナリストの二宮清純氏が「スポーツが変われば地域が変わり、国が変わる」と題して記念講演した。

 講演で二宮氏は、サッカーJリーグを例に挙げ、地域振興、郷土を愛する精神、この町を愛する心の財産づくりがJリーグの真の目的、100年構想だったことを紹介、これは、政治の世界でいえば、中央集権から地方分権であり、スポーツが変われば地域が変わり、国が変わると訴えた。

 講演要旨は以下の通り。

 スポーツの語源はラテン語で高度な遊びを意味する。体育と訳したのは間違い。富国強兵の時代に意図的にそう訳したのではないかと推察する。

 ヨーロッパではスポーツは地域とその住民が中心、日本は企業と学校が中心。今、学校は少子化で部活もなくスポーツはできないし、企業は利益中心となりスポーツを維持できない現状。社会的責任を果たすべきと思う。

 学校や企業が地域を支えるのが正しいあり方。日本でこれを実行したのがJリーグ。スポーツが盛んになると人の移動が生まれ、輸送機関が潤うだけでなく、商店街、飲食店、アパレル産業なども潤う。一つの観光資源だし、地域振興の切り札。最も成功したのは新潟市。一試合に4万人がスタジアムに集まる。経済効果は計り知れない。これをもたらしたのは、川淵三郎キャプテンの情熱。

 日本では博多の山笠がスポーツ、全員参加型のスポーツの典型。地域のみんなで盛り上がる。山に乗る人、寄付を集める人、食事を作る人全員が参加する。

 スポーツクラブ作りから始める。従来はチームであり、ファンだったが、クラブでありサポーター、そしてクラブメンバーに変える。クラブはいわば家庭。我が町のクラブを応援するのがサポーター。家庭から地域、地域から国を立て直すのがJリーグ100年構想の心の部分。

 クラブでは年代を超え3世代が試合に参加する。このなかで親が子を認め、子が親を尊敬する関係ができる。また、お年寄りへの思いやりも生まれる。

 川淵さんからは、机上の空論を地上の正論に変えること、そのためのリーダシップを学んだ。それは、パッション、ミッション、アクション。これは21世紀のリーダーの条件で年齢、性別に関係ない。

 もう一つ、子どもの体力が落ちている。50メートル走、11歳男子で83年が8.67秒、03年が8.84秒。女子も落ちている。これは子どもの遊び場を大人が奪ったことも一因。さらに、足幅も狭くなっており、遠くない将来、立てない子、歩けない子、最悪の場合、子どもへの介護が必要な時代になるとすら言われている。公園などをもっと開放すべきだ。

 スポーツが盛んになれば地域も変わる、国も変わる。みんなが幸せになる。民主党の皆さんとも一緒にやれることがあるのではないか。
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