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2000/02/23
第1回党首討論開く=鳩山代表が首相と論戦




●首相が追っているのは、景気回復ではなく政権維持のウサギ

 本格的な党首討論(クエスチョン・タイム)が23日、始まった。トップで討論に立った民主党の鳩山由紀夫代表は、古川俊隆・首相秘書官のNTTドコモ未公開株の不正入手疑惑や財政構造改革について、首相に論戦を挑んだ。
 党首討論は今国会から正式に導入され、衆参両院に設置された国家基本政策委員会の合同審査形式で行われた。第1回は参院の第1委員会室で開かれた。

●互いに身の潔白証明し、政治不信を晴らそう

 「いま日本の政治は不信の海の中にある。政治家がさげすみの対象になっているのはなぜか」――鳩山代表はズバリ政治不信から切り込んだ。

 鳩山代表は「総理は予算委員会に出席しないが、国民は総理の声を聞きたがっている。国民に対し正直に謙虚になるべきだ」と指摘。そのうえでドコモ株疑惑について、「故人(である石井康元氏)から、どうやって古川秘書官に株が譲渡されたのか」とただした。これに対し、首相は「何らやましい点はないし、手続きもしっかりしている」「捜査当局が黒白をつけるだろう」など他人事のような答え。このため鳩山代表は、「上場していない企業では、取締役会で株式譲渡承認申請書が了承されなければ、株の譲渡はできない」と指摘。石井氏が所有していた、のちにNTTドコモ株に化ける上毛通信サービス株が古川氏に譲渡された際の株式譲渡承認申請書を提出するよう迫った。しかし、首相は「捜査過程で明らかになる」などと繰り返すばかりで、要求には答えなかった。

 これを受け鳩山代表は「お互いに身の潔白を証明しようと言っている」と決然と述べ、自身に降りかかったでっち上げの5000万円献金問題に自ら言及し、「私も告訴している。しかし、いま問われているのは、政治家としての道義的責任だ。互いに黒白をつけよう」と迫った。

●いまこそ経済構造改革の青写真示すべき

 続いて鳩山代表は財政改革にテーマを移し、現在、国と地方の借金が645兆円に上っていること、小渕氏が首相になった3年間で国債発行残高が109兆円も増えたことを挙げ、「この借金をだれが返すのか」とただしたが、首相は「いずれ経済が活性化すれば必ず返済できる」と無責任な答弁を繰り返した。

 鳩山代表はさらに、前回の総選挙で小渕首相が掲げた公約『巨額の累積赤字を抱えた国家財政を立て直す』『子や孫に借金は残さない』を示し、「公約違反と認めよ」と迫ったが、首相は「総理として努力している」など具体性のない答弁で、公約違反を認めなかった。

 これを受け鳩山代表は、「いまこそ財政構造改革と景気回復の2匹のウサギを追うべきだ。構造改革の青写真がいつまでも示されないから、国民は3つの不安、すなわり、『リストラ・失業』『老後の社会保障』『増税』から逃れられない。総理は景気回復という1匹のウサギを追うと言うが、旧来型の公共投資など方向性が間違ってるから、景気は良くなっていない」と指摘し、一兎論から二兎論へ経済政策を転換するよう求めた。しかし、首相の答弁は「経済は緩やかな回復基調に入っており、私共の政策は着実に進んでいる」と国民の実感とはほど遠く、鳩山代表は「総理が追っているのは景気回復ではなく、政権維持のウサギだ」と厳しく指摘し、討論を終えた。

●「総理は聞きたいことに答えない」鳩山代表

 党首討論を終えた鳩山代表は「一番聞きたいことに、総理は何も答えない。どこまで深刻に財政構造改革の問題を考えているのか。将来の青写真を示す重要性もわかっていないのではないか」と厳しい表情で述べた。首相周辺のドコモ株疑惑について代表は、「株式譲渡申請証明書を出せばいいこと。しかし存在しない可能性の方が高く、あるとすれば私文書偽造の疑いが出てくる。だから正面から答えず、最後まで逃げたのだろう」と指摘。
 さらに財政再建について「子や孫に借金を残さないという小渕首相の公約が、全く反古にされていることが明らかになった」と述べた。
関連URL
  第1回「国家基本政策委員会」合同審査会 議事録
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=8817
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