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2008/05/23
高病原性鳥インフルエンザ対策の強化について(談話)
民主党『次の内閣』ネクスト農林水産大臣 筒井信隆
民主党『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣 山田正彦
民主党『次の内閣』ネクスト環境大臣  岡崎トミ子

 政府は、昨年11月に韓国においてH7N8型(弱毒)の高病原性鳥インフルエンザが発生し、さらに本年4月上旬にH5N1型(強毒)の高病原性鳥インフルエンザが確認されたことを受け、日本国内の監視体制や防疫体制の強化を図ってきたとされている。

 しかしながら、本年4月に十和田湖周辺(秋田県側)及び野付半島(北海道)で回収されたオオハクチョウが、H5N1型の高病原性鳥インフルエンザに感染していることが確認された。

 こうした野鳥での発生を受け、秋田県・青森県・北海道でのガンカモ類のウイルス保有状況の調査、養鶏農場での消石灰の散布等を行うとしているが、十分ではない。また、高病原性鳥インフルエンザの検査の確認・公表が遅れる、青森県側の十和田湖周辺で4月18日に回収されたオオハクチョウの死骸について検査が行えない等の不手際も指摘されている。
 こうした事態を踏まえ、政府は、高病原性鳥インフルエンザは新型インフルエンザに変異するリスクが高い状況にあり、「現にそこにある危機」として再認識の上、次の対策を講ずるべきであり、その早急な実行を強く求める。

1.野鳥の監視体制強化及び調査手法の共通化等
 平成19年10月から平成20年3月にかけて環境省が実施した「平成19年度 野鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルス保有状況調査」の結果、捕獲した野鳥から採取した567検体及び近畿地方以西の22府県(沖縄県を除く)で採取したカモ類の糞の7409検体のいずれからも、高病原性鳥インフルエンザウイルスは確認できなかった、とされている。
 しかしながら、「野鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルス保有状況調査」とは別に、平成20年4月に十和田湖周辺で死亡・衰弱したオオハクチョウが回収され、野鳥における高病原性鳥インフルエンザの発生が確認された。

@これまでの「野鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルスの保有状況調査」については、調査対象地域、調査対象の野鳥、検体の数、調査手法について抜本的に改めること。(例えば、検体数の増加、検体を採取する野鳥の留置等)
また、野鳥が死亡・衰弱しているのを確認した場合、それが例え1羽であっても、必ず高病原性鳥インフルエンザの検査を行う等、野鳥の監視体制を強化すること。

A各都道府県で簡易検査の結果が陰性の場合の対応が異なるので、調査の手法及び対応のあり方について共通化すること。

B十和田湖周辺及び北海道で確認された高病原性鳥インフルエンザウイルスが、韓国で分離されたウイルスと近縁であることが判明したことを踏まえ、感染ルートの早急な解明に向けて努力すること。

2.情報の共有化
 高病原性鳥インフルエンザは、新型インフルエンザに変異するリスクが高い状況にあることにかんがみ、早期に発見し迅速に対処する観点から、野鳥の異常死等の発見も含め高病原性鳥インフルエンザ感染が疑われる情報については、環境省、農林水産省、厚生労働省の間の連携は当然のこととして、国と都道府県等地方自治体の間で、迅速に共有する体制を構築すること。


3.養鶏農場で高病原性鳥インフルエンザが発生した場合の経営再建支援策の強化等
 鳥インフルエンザに関する情報が迅速かつ的確に養鶏業者から国・地方自治体等関係機関に伝達されるよう、家畜防疫互助事業に対する国の助成額の増額等、飼養鶏に高病原性鳥インフルエンザが発生した場合の経営再建支援策を強化すること。
 なお、鳥インフルエンザワクチンの使用については、緊急ワクチン接種が機動的かつ効果的に実施できるよう、具体的なワクチン使用の条件及び使用する際の疫学的条件等を早急に明確化すること。

4.新型インフルエンザ対策としてのプレパンデミックワクチンの活用
 プレパンデミックワクチンの抗体は10年以上継続することが期待される。現在、国内にはプレパンデミックワクチンが、原液の状態で2,000万人分備蓄されているが、製品化には1ヵ月半以上かかるとされている。
 万が一、新型インフルエンザが発生するリスク、そして既に発生した場合の被害の重大性にかんがみ、プレパンデミックワクチンを医療従事者や社会機能維持者等の必要かつ希望する者に接種することについて、検討の上、1年以内に対応すること。

以 上
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