2008/06/02
小沢代表インタビュー 英フィナンシャル・タイムズ「『破壊者』は銃口を自民党に向けている」
英フィナンシャル・タイムズ (Financial Times)紙6月2日付 2面 |
[仮訳]
「『破壊者』は銃口を自民党に向けている」
野党の指導者である小沢氏は、彼を育てた政党を打倒する決意だ
記者:デイビッド:ピリング、ライオネル・バーバー(東京)
小沢一郎氏は、政治権力を一度も握ったことがないが、この20年間で最も影響力を有する日本の政治家である。
日本の「一党支配による民主主義」において、総理大臣の座をほぼ保証されていた与党・自民党で、かつて総理・総裁を確実視されていた候補(小沢氏)は、派閥間の対立を経て1993年に自民党を離党した。以来、小沢氏は自らを育てた政党を打倒することに集中してきた。
健康に問題があるといううわさが常にささやかれているにもかかわらず、66歳の小沢氏は、かつてないほど目標に近づいている。
「議会政治において、政権が交代する可能性がある中で、緊張感を持って政治を行う。そして、それは国民が選択する」。1996年(ママ)の結党以来、二大政党制に向けて取り組んできた民主党のつつましい本部で行われた稀なインタビューで、小沢氏はそう述べた。
9カ月間を除き、半世紀以上政治権力を握っている自民党と中国共産党とを比べて、「一度手に入れた権力というものは、なかなか手放せない」と語った。
創造のための政治的破壊を繰り返してきたため、策略政治家、小沢氏は、時に「破壊者」と言われるが、彼はこの政治プロセスを早めることを望んでいる。昨年、戦略的に優れた選挙戦で、自民党の市場主義型の政策に対する国民の怒りを巧みにとらえて、参議院で民主党の大勝利をもたらした。
参議院は衆議院より力が弱いものの、参議院選挙での勝利以来、民主党の拒否権を用いて福田康夫首相の法案を滞らせて、(内閣を)麻痺させている。
彼は、米国のテロ対策活動を支援するためのインド洋への海上自衛艦派遣に反対し、外国との関係で自民党を困らせた。
国内的には、日銀総裁の空白や、260億ドルの減収につながるガソリン税の(暫定税率)廃止を一時的に強行した。
1990年代の短期間、野に下った時期を除き、自民党は、相次ぐ連立及び日和見的な党首交代のおかげで生き延びることができた。「日本の政治・行政の仕組みそのものが、今日の状況に対応できなくなっている。誰が自民党総裁になっても、今の状況は変わらない」と、小沢氏は言う。
しかし、頑強な与党から政治権力を奪うのは簡単なことではない。東京のテンプル大学のアジア研究教授、ジェフ・キングストン氏は、総選挙での勝利について、昨年9月(ママ)の象徴的な意味での参議院選挙での勝利とは別ものだと言う。有権者は自民党に不満を抱いていても、「様々なイデオロギーの寄せ集め」である野党に衆議院で多数を与える準備ができているかどうか分からない、と述べる。
小沢氏は、その見方を断固否定し、民主党は派閥政治の自民党よりイデオロギー的に圧倒的にまとまっている、と力説する。しかし、昨年12月(ママ)、自民党との大連立構想の破談後、短期間辞任した(ママ)危機の折、小沢氏でさえも総選挙での勝利は難しいと認めた。
選択肢が狭まる中、旧態然とした政治を続ける自民党の終わりは、もはや確実であると、小沢氏は言う。
「自民党という政党は、日本的なコンセンサスの政治であり、自民党のバックは官僚である。我々はそれではいけないと言ってきた。日本はもうそれではやっていけない。だから、いろいろな問題が起きているのではないか」。
小沢氏は、彼の政党(民主党)が官僚とのグレーな関係から距離を置き、一般の国民に近い、(これまでとは)異なる議会制民主主義を国民に提示していると言う。一方で、彼自身が、政治の変革を成し遂げない可能性を認める。「それは夢かもしれない。年をとりすぎましたからね。」
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