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2008/06/05
【参院厚労委】制度の根本を否定、撤廃求める 後期高齢者医療制度 参考人質疑




 参議院厚生労働委員会で5日午前、参考人質疑が行われ、民主党から小林正夫議員が質疑に立った。

 小林議員は、原中勝征参考人(茨城県医師会会長)、笹森清参考人(後期高齢者医療制度を撤廃する会呼掛け人)にこの医療制度の根本を質した。

 原中参考人は、「自分たちが世の中から追い出され、早く死ねと言われていると感じている。家の中で肩身の狭い思いをしている」とこの制度を批判した。

 笹森参考人は、「リスクのある人を集めた制度は持つはずがない。非常に寂しい、悲しい思いをしている。この制度がなくなるまで、皆が支えあう社会になるまで、毎月国会に来て訴える」と制度の廃止に向け行動する決意を述べた。

 次に、小林議員は、与党からも非難や廃止を求める声が出ていることについてどう思うかを質した。原中参考人は、「部会政治が問題ではないか。部会で決めたことで党議拘束をかける。中身が分からないまま国民生活に関することを議論も知らずに賛成してしまう」ことが原因だとして、政府・与党の政策決定過程のあり方を批判した。

 笹森参考人は、「国民生活を中心にすえた議論があるのか。役人の役人による役人のための政治」と現在の官僚政治を批判し、政治主導の政治に変えていくことを求めた。

 また、75歳で区切ることについて小林議員は意見を求めた。原中参考人は、「保険は何歳で同じ環境であるべき」と75歳以上で保険も違い、主治医を一人に限定し、受けられる医療も制限されるこの制度は多くの病を抱えがちなお年寄りの実態を無視したものと批判、制度の廃止を求めた。

 笹森参考人は、「リスクを解消できない、お年寄りは早く死ねという制度。長寿が叶えられる社会になったのに、その人生を暗くしてはならない」と訴えた。

 小林議員の質疑の前に、原中参考人は、「医療費抑制のみが目的。文化国家のやることか」と制度の根幹を否定した。笹森参考人も、「社会保障の基本理念が忘れられている。国家による詐欺行為。国民を欺くデータを基にした制度。この制度で老人医療費を減らすことはできない」と意見を開陳した。

 なお、この質疑に先立ち、与党は岩本司委員長に対する不信任動議を提出、否決されると席を立ち、自民・公明両党は審議拒否した。
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