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2002/03/05
【衆院予算委】上田議員、「支援委員会」の不明朗な事業を追及


 民主党の上田清司議員は、5日午後の衆議院予算委員会での外務省問題の集中審議で、4日に公表された外務省調査報告書に関連し、政府の北方四島支援事業が当初想定された食料・医療などの支援から診療所・発電所などの恒久的施設建設支援に転換した経緯を質した。

 上田議員は、まず1993年からの「支援委員会」を通じた支援事業について、案件の選定は受益国の要望に従い検討することとなっているにもかかわらず、明示的文書で行われた要望は過去1件しかないことを指摘。実際の予算の使途は、イスラエルでの国際会議や鈴木宗男議員が顧問として参加した国後・択捉電力事情調査の旅費にあてられるなど、目的外使用がしばしば行われているのではないかと追及した。外務省の斎藤欧州局長は「その時点では支援事業の目的に照らし有益であると判断したが、今後は本来の趣旨に基づき支出されるよう一層注意したい」と答弁した。

 続いて上田議員は、95年5月の河野外相(当時)と鈴木議員との国会質疑を紹介。「プレハブ診療所を作れ」と迫る鈴木議員に、外相らが「人道的観点は分かるが、建物の建設は北方四島の不法占有という現状を固定化し、わが国の基本的な立場を損なう」と再三拒否。しかし、それから2か月とたたないうちに支援委員会がプレハブ診療所の建設を決め、入札の公告が行われた事実を取り上げ、「支援委員会で誰がどのような検討を行ったのか」と語気鋭く追及した。この質問に外務省側が即答を拒んだため、審議が一時中断した。

 一連の質疑を総括して上田議員は、「この95年5月の国会質疑を境に、支援事業が仮設診療所から教室、ディーゼル発電所と広がり、予算額も膨らんでいった。鈴木議員の関与は北方四島返還についてのわが国の基本的な考え方をねじ曲げる、まさに国益に反する行為だ」「支援委員会のロシア側委員は何年も空席のまま、誰が決済しているか分からないようなデタラメな組織だ。ただちに廃止すべき」と厳しく指弾した。これを受けて塩川財務相は「(14年度の支援事業予算の)執行について、外務省とよく協議して決定しなければならない」とし、また小泉首相は「いままでの指摘も踏まえ、よく調査し、支援のあり方も検討しなければならない」と答弁した。

 この日、上田議員は、先日更迭された野上前外務次官の現在の処遇についても、「更迭されたといいながら、いまだに個室や車付きの処遇を受けているのではないか」と質した。川口外相は、野上前次官は指定職の幹部であるため現在でもそうした処遇を与えている、と認めた。
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