ニュース
ニュース
2006/05/09
小沢代表、米軍再編問題等で本質的議論欠く小泉政権を厳しく批判


小沢一郎代表は9日午後、党本部で定例の記者会見を開催し、米軍再編に伴う日本側負担の問題などについてコメントし、ビジョンや本質的な議論を欠く小泉政権の姿勢に厳しい批判を加えた。

 冒頭、小沢代表は、連休が明けて国会が後半から終盤になりつつあることに触れ、共謀罪、教育基本法、国民投票の手続き法、医療の問題などを挙げながら、「私どもにとって理解しかねる政府提案の法律が出される、或いは出されようとしている」との認識をまず示した。

 その上で小沢代表は、こうした問題とは別に、米軍再編に伴っての日本側の負担が3兆円にものぼると言われていることに言及。この問題は「日米関係の大事な問題をはらんでいる」とし、「日本並びに米国のそれぞれの閣僚が、てんでんばらばら、勝手な言い方をしている」ことも例に挙げて、「負担を強いられる日本の国民のサイドから見ると、日本がこの安全保障の問題について、どのような役割を果たそうとしているのか、日米間の役割の分担はどうあるべきと思っているのか」といった議論が全くないと指摘した。そして、「(議論が)ないが故に、国民に説明できないままに、ただ単に国民の血税によって負担だけが強いられているという現状は、私は大変な問題だと思っている」と述べ、政府の姿勢に厳しい批判を加えた。

 小沢代表は更に、「日米同盟が最も大事だという考えについては、人後に落ちない」として、その重要性を改めて強調した上で、小泉政権の下での日米関係の現状については、「到底、同盟国とは言えないような関係ではないか」と厳しく指摘。「日本自身の主体的な安全保障政策はもちろんだが、グローバルなポリシー世界戦略が全くないまま」に、「米軍再編という問題にあたふたと対応しているという状況」は、「本当に日本にとって悲しむべき実態だ」と語った。加えて小沢代表は、「終盤国会でも強く政府の姿勢を追及し、国会での論戦を挑んで貰いたいと思っている」として、菅直人代表代行や鳩山由紀夫幹事長とも、そうした姿勢を確認したところであることも明らかにした。

 また、教育基本法の、特に愛国心をめぐる与党内の議論について記者団に問われた小沢代表は、日本の国や国民がどうあるべきなのかといった、理念や理想像の裏付けが何らないまま、「言葉だけで愛国心や愛するということを字面に並べても、本当の意味で国を愛するという気持ちが起こるものではない」とし、「それぞれの個人個人の心の問題だ」との認識をまず示した。そして、「本当に家族や隣人や地域や祖国を、それぞれの国民が自らの判断と自らの気持ちで愛するようになるのが自然のあり方であって、そのためにはどうしたらいいか、社会はどうあるべきか、政治はどうあるべきかということを考えなくてはならない」などと、自らの考えを分かりやすく語った。

 更に小沢代表は、文部科学省と教育委員会とで「誰も責任をとらない仕組みになっている」との教育行政の本質的な問題点から、改革の本質論に言及し、「改革は一部のことをやってもダメだ」として、中央集権的な霞が関支配の体制を壊さないと真の改革とはならないとの考えを改めて明確に指摘。本質・基本を変えずに小手先の変化だけで済ませる自民党・小泉政権の姿勢に改めて厳しい批判を加えた。
記事を印刷する