2008/10/01
【衆院本会議】小沢代表、民主党中心政権の基本方針を表明 代表質問で
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小沢一郎代表は1日午後の衆院本会議で、麻生首相の所信表明に対する代表質問に立ち、民主党中心の政権の基本方針、政策の優先順位、工程表、財源について明らかにした(質問原稿は下記URL参照)。
冒頭、小沢代表は「1年足らずの間に2人続けて政権を投げ出した自民党の総裁が、総選挙を経ないで3度(みたび)、ここにこうして総理の座に座っておられるのは、信じがたい光景」だと述べ、直ちに野党に政権を渡すのが、憲政の常道だとして、首相に見解を質した。
首相は、「総理が2代にわたり突然辞任したことは改めてお詫びするが、自民党が政権担当能力を失ったこととは別。自民党には政権担当能力があると信じている」と強弁した。
次に小沢代表は、「日本はすでに中国、ロシア、米国に次いで、主要国では下から四番目の『格差大国』になっていることを実感」しているとして、「『格差大国』を生み出した自公政権に終止符を打ち、私たちの掲げる『国民の生活が第一。』の理念に基づいて、政治・行政の仕組みそのものをつくり替える」必要性を強調した。
その上で、小沢代表は、「政治・行政と国民生活の新しい仕組みをつくることで、『格差がなく公正で、ともに生きていける社会』を築く」ことが民主党中心の政権目標であるとした。
また、そうした社会の実現のために(1)官僚の天下りと税金のムダ遣いをなくし税金を国民の手に取り戻す(2)年金通帳の交付による「消えない年金」「消されない年金」への制度改正、後期高齢者医療制度の廃止、医師の5割増(3)子ども手当て2万6000円などの子育て支援、公立高校の授業料の無料化(4)パートや契約社員を正規社員と均等待遇にすると同時に、2か月以下の派遣労働の禁止(5)戸別所得補償制度の創設などによって農林漁業の不安をなくし、食の安全を確保、中小企業への法人税率原則半減―― の「新しい生活をつくる5つの約束」を発表した。
さらに、「一般会計と特別会計とを合わせた国の総予算212兆円を全面的に組み替え、また、過去の税金などの蓄積であるいわゆる「埋蔵金」も活用して、国民生活を立て直すための財源を捻出。国からのひも付き補助金は廃止して、地方に自主財源として一括交付するとともに、特別会計、独立行政法人などは原則廃止する。また当面は、特別会計の積立金や政府資産の売却なども活用。それらにより、平成21年度には8・4兆円、22年度と23年度はそれぞれ14兆円、4年後の24年度には総予算の1割に当たる20・5兆円の新財源を生み出す。また、このように税金の使い方を変えることを担保するために、多数の与党議員が政府に入り、政治が役所をコントロールできる制度に改める」と財源を明らかにした。
次に、「新しい政権の初の予算編成となる、第一段階の平成21年度には、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、2・6兆円の減税を実施。また、高速道路の無料化、子ども手当ての創設、医療改革などは、21年度に一部実施したうえ、第二段階の22〜23年度に完全実施。このような思い切った政策の実行こそ、緊急経済対策としても最も有効。農業の戸別所得補償は21年度に法律を制定し、23年度から一部実施、第三段階の24年度に完全実施する予定。 さらに、消費税の税収全額を年金財源として最低保障年金を確立する年金改革は、3年かけて新制度の詳細設計、法案化、法律制定を行い、24年度に完全に実施。
このように、三段階に分けて着実に政権公約を実現し、私たちの政権が次に国民の審判を仰ぐ期限である4年後までに、日本の新しい仕組みづくりを完了させる」と工程表、政策実行の優先順位を明確にした。
その上で、首相に所見を求めたが、首相は「論戦は今後に譲る」と逃げた。
さらに外交・安全保障政策の基本について、(1)対等な日米同盟の維持・発展、(2)アジア・太平洋諸国の本当の友好・信頼関係の構築、(3)安全保障は日米同盟を基軸としつつも最終的には国連の平和活動によって担保される――の3原則を明示した。
また、「今こそ、国民の意思に基づき、国民の手によって、国民のための予算に、全面的に組み替える。そのようにして、税金の使い方を変えることが、国民生活を変え、日本を変える要諦である。その意味において、近く行われるであろう総選挙の最大の争点は、ムダ遣いを続ける今の税金の使い方を許すのか、それとも、民主党を中心とする政権に代え、税金の使い方を根本的に変えるのか、という選択」であるとして、各党の主張を明確にして総選挙を行うべきと迫った。
首相は、「解散は私が決める」と答え、解散時期については明言を避けた。
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