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2008/10/31
【衆院財金委】古本議員、農林中金への公的資金注入を改めて問題視




 古本伸一郎議員は31日午前、衆議院財務金融委員会の参考人質疑で金融機能強化法改正案に関して公的資金が農林中央金庫へも注入されることに問題を投げかけた。

 はじめに、農林中央金庫の上野理事長に対し、メガバンクは増資し自ら資金調達するなど経営努力をしていることに言及した上で、資本注入の枠組みに入らない方がいいのではないかと指摘した。これに対して上野理事長は、予防的注入の必要性は感じないとしながらも、金融機関にセーフティネットを張るという意味で同法案を理解する立場だとして、その対象にならないことのデメリットを理解してほしいなどと述べ、辞退する考えはないとした。

 古本議員はまた、農林中金が全国の漁家、農家から集めた運用資金・約60兆円のうち融資額は10兆円程度に留まり、一方で約36兆円もの額を有価証券や国際運用などの投資に回していることを確認。佐伯全国中小企業団体中央会会長が懸念するように、毛細血管の細部にお金が回らないと意味がないと述べ、100円の収益を上げるにはいくら貸せば収益があがるかとの問いを示し、預貸率利ざやについて上野理事長、横内龍三社団法人第二地方銀行協会会長(北洋銀行頭取)それぞれに質問した。それに対する答弁からは農林中金が貸し出しによる収益を上げるための経営努力をしない限り、本来の役割である漁家、農家への融資を十分に出来ない実態が浮き彫りになった。

 佐伯会長は資金の円滑な融資を望んでいると重ねて主張。中小企業への貸し渋りがないようにと求めた。

 古本議員は、このフレームに入りたいと望むならば、貸し出しによる収益を上げるための経営努力が大前提であると要請。先日の委員会で松野頼久議員が指摘した通り、82兆円の資本がありながら、1兆3000億円しか生産者に融資されていない実態について、改めて生産者にどう回ったか資料を公表すべきと主張した。

 さらに、平成12年の上野理事長就任以来、海外への投資が多いことについても、理事長の経営判断かと追及。上野理事長は、日本が低金利時代という背景があり、貸し出しが難しい状況であったと説明、運用の仕方は利益の収益還元を図るため、組織全体で判断したものだと答えた。

 最後に古本議員は、メガバンク、地銀合わせてトップの就任時期は2〜5年であると指摘したうえで、なぜ農林中金だけが10年間もの長きに渡って同じ理事長が在職するのか、さらには戦後60年間、農水省事務次官が10年ごとに理事長の座を継いでいることを問題視。余人をもって代えがたい農水省事務次官との連動性があるのかと質し、他の金融機関と同じスキームに入るには突出していると批判した。

 さらに、理事長の退職金について、5名の前理事が退任した際の退職給与が総額4億7600万、5人で割ると5000万円だとその実態を明示、自身の退職金についての見通しを質問すると上野理事長は、特殊法人時代については関知しないとしながらも、民間法人としてのガバナンスの中で理事長に選任されてきたとし、JA、農林中金という組織が選んだものだとその正当性を強弁、退職金については答弁を拒否した。
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