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2008/11/05
ペシャワール会の中村哲医師が野党4党との懇談会で日本の支援のあり方を指摘
「アフガンへのかかわりは日本の岐路を決定する。民生支援の徹底を」 |
民主党をはじめ野党4党は、5日夕、都内で、アフガニスタンで人道復興支援に取り組んでいるペシャワール会現地代表の中村哲医師との懇談会を開いた。これは、各党の国会対策委員長が呼びかけたもの。
冒頭、山岡賢次国会対策委員長が、「机上の空論ではなく、現地の中村さんの話を聞かずに、(新テロ対策特別措置法改正案の)採決も議論もできない」として、野党で共同した行動をとるために開催したと挨拶した。その後、各党代表がそれぞれ挨拶した。
民主党を代表して菅直人代表代行が挨拶し、「本日の参院での中村さんの参考人質疑はインパクトを与えた。中村さんの話はこれからの突破口になったのではないか」と指摘。今後の補給支援法案の審議の有り方や日本のとるべき道を考える上で示唆に富む内容であったという見解を示した。
講演で中村医師は、まず、アフガニスタンを大干ばつが襲っていると報告。かつては豊かな農業国で、自給自足ができていたが、今や、数百万人の人々がまともに食事ができない状況に陥っていると述べ、アフガン問題の根本は「飢え」「皆が食えないこと」で、「治安が先とか、復興支援が先とかという話ではない」と語った。
また、空爆によって女性や子どもが殺されており、復讐を誓う憎しみの連鎖が自爆テロを生んでいること、駐留する軍隊の兵士数は、7年前の1万2000人から現在の7万人に増えているが、治安は逆に悪化していることを指摘。カルザイ大統領自身が米国に、これ以上市民を殺さないでくれと抗議しているとして「決して戦争ではテロを根絶できない」と訴えた。
さらに、日本はアフガンで好印象をもたれていたが、最近は「敵の味方は敵」という感情になりつつあると報告。こうした状況で自衛隊・軍が民生支援することは「百害あって一利なし」だとして、日本の将来を「敵」に決定することになる活動の展開に強い疑問を呈した。
中村医師は、人の命を尊重し、相手の立場に立って喜ばれることをなすという、民間による民生支援だけでいいと強調。アフガンの人たちは、家族が一緒に暮らせること、故郷で安全に暮らせること、3度3度の食事がとれることを望んでいると報告した。
また、講演の後の質疑では「何をしてはいけないか。殺してはいけない、戦争に関わってはいけない」と、民間による民間支援の徹底を重ねて求めた。
鳩山由紀夫幹事長は「政治家としてしっかりと受け止めさせてもらいたい。われわれとしても命を懸けて平和の構築に努力していく」と決意を表明した。
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