ニュース
ニュース
2008/11/11
【参院外防委】懲戒免職を見送った政府の対応を追及 犬塚議員




 犬塚直史議員は11日午前、田母神・前航空幕僚長の参考人招致が行われた参議院外交防衛委員会で質問に立ち、田母神・前航空幕僚長をめぐる政府の対応を追及。文民統制確保の観点から田母神氏を懲戒免職にせず定年退職とした防衛省の対応を問題視し、懲戒処分が見送られた経緯の説明を求めた。 

 犬塚議員ははじめに、行政府は立法府が審議を尽くした結果出された意思決定のもとに粛々と行動するのが基本であると主張。今回の田母神参考人の言動は三権分立という国家運営の原則に対する重大な挑戦とは考えないかと浜田防衛大臣の見解を質した。

 浜田防衛相は、発言の問題性は認めたうえで、迅速な対応が必要だったとして定年退職とした処分については正当性を強弁した。

 何故懲戒処分の手続きを行わなかったのか、その経緯の説明を求めた犬塚議員に対して、田母神参考人は、問題が発覚した10月31日に辞表の提出もしくは懲戒手続きをした場合には審理の辞退を求められ、辞表の提出および審理辞退を拒否したと説明。浜田防衛相は、審理が長期化すると審議中に定年を迎えて中途半端に終わる可能性があるとして、定年退職として取扱うことにしたと答えた。

 犬塚議員は、6000万円の退職金にも言及し、国の形が壊れるほどの大問題であるにも係らず「時間がかかるから」という理由で懲戒処分を見送った政府の軽い判断を厳しく非難。処分をうやむやにすることで、日本の政治への信頼を失い大きなリスクを負うことになるとは考えないか、と質した。浜田防衛相は、「私はそうは思わない」として、幕僚長を更迭した時点で厳しい判断を下したことになり、懲戒処分するよりも本人に自覚を求めたと説明。審議において(田母神参考人が)政府と異なる見解を主張することで自衛隊の志気が落ちる事態は避けたかったと釈明した。

 一方、田母神参考人は、立法府に対する挑戦ではないかという指摘に対して「村山談話を批判したことはない」と反論。自衛官にも言論の自由は認めていられるはずであり、村山談話によって個人の自由な見解を圧殺してはならいとも話し、逆に「自由に議論をする民主主義の国家か」と疑問を投げかける一幕もあった。

 犬塚議員は、立法府が行うべき議論に関して、行政が自説を述べることに大きな危機感を表し、最後に田母神参考人が徹底的論戦する構えを見せたとたん懲戒処分の手続きを見送った政府の対応を改めて批判し、質問を終えた。
記事を印刷する