民主党は、社民、国民新と野党3党共同で15日午前、緊急雇用対策関連4法案を参議院に提出し、直嶋正行政調会長はじめ、福山哲郎政調会長代理、小林正夫・党非正規雇用対策プロジェクトチーム事務局長、津田弥太郎、松野信夫、吉川沙織各議員ら法案発議者が揃って会見を行った。
会見では直嶋政調会長が内容を説明し、小林議員から全国で深刻化する雇用情勢の悪化を踏まえ、スピードと実効性とセーフティネットの拡大を早急に実現していかなければならないとの意向が示され、法案成立への決意が表明された。法案内容は以下の通り。
(1)採用内定取消しを規制する「労働契約法改正案」…客観的に合理的な理由に基づき、社会通念上相当であると認められる場合でなければ内定取消しが無効であることを明確にするもので、悪質な内定取消しについては会社名の公表を政府に求める。
(2)非正規労働者も雇用調整助成金の対象にする「派遣労働者等解雇防止緊急措置法案」…契約期間中の解雇や派遣切りをできる限り防止するため、事業主に対して助成される雇用調整助成金について、要件の緩和や支給日数の延長などを緊急に実施し、2カ月以上勤務している非正規労働者の休業等も助成対象とする。また、労働日すべてについて支給されるものとする。
(3)派遣労働者等の就労支援のための住まいと生活の支援する「住まいと仕事の確保法案」…雇い止めや解雇により住居を失った派遣労働者や、雇用保険の受給資格がなく生活に困窮する失業者等に対する支援のため、職業訓練や職業紹介とセットで、住宅を貸与し、生活支援金を給付する。貸与する住宅は、雇用促進住宅や公営住宅、民間アパートやワンルームマンションなどを借り上げにより確保する。生活支援金は最高月額10万円とし、一定の要件があれば返済を免除する。急を要する施策であり、公布の1カ月施行、年内の実施を目指す。雇用保険の二事業のうち雇用安定事業のメニューとして実施する(雇用保険法改正案)。派遣労働者に寮などを賃貸している派遣会社等に対して、雇い止め後、即時退去を求めないよう配慮を求め、一定期間提供した事業主には家賃を助成する(雇用保険法改正案)。
(4)雇用保険制度の拡充によりセーフティネットと雇用を確保する「雇用保険法改正案」…現行では一年未満の雇止め規定があると被保険者にならない場合があることから、雇止めの有無にかかわらず、被保険者とする。基本手当の受給資格要件の被保険者期間を現行の12月から6月にする。雇止めにより失業した場合は非自発的失業者と認定する。基本手当の日額を増額し、一定の非自発的失業者に対する給付日数を延長する。短期の雇用に就く派遣労働者についても、短期雇用特例被保険者とする。特例一時金の給付期間を現行40日分から60日分に延長する。国の雇用政策の責任を明確化するためにも、雇用保険の国庫負担を堅持し、保険料率の引き下げは行わない。こうした施策の実施により、非正規労働者を広く雇用保険でカバーし、セーフティネットの対象範囲を拡大する。
(5)期間の定めのある労働契約の締結、更新、終了のルールを明らかにする「有期労働契約遵守法案」…契約期間中の解雇は基本的に無効であることは労働契約法第17条に明示されているにもかかわらず、安易に派遣労働者や期間従業員に対する契約期間中の解雇が安易になされている事態を踏まえ、有期労働契約の締結事由や差別的取扱いの禁止、有期労働契約における解雇の取扱い、契約期間途中の退職、雇止めの制限等を定める。
※(3)と(4)はひとつの法案として提出した。
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