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2009/01/19
【参院予算委】峰崎議員、第2次補正予算案からの定額給付金の削除求める




 参議院予算委員会で19日午後、民主党・新緑風会・日本の峰崎直樹議員が質問に立ち、戦時中に麻生首相の親族が経営していた旧「麻生鉱業」による外国人捕虜などの徴用問題や定額給付金を取り上げ、麻生首相はじめ関係大臣に質した。

 冒頭、峰崎議員は旧麻生鉱業の問題について、諸外国を訪問する機会が多い首相として、親族企業が「お父様、おじい様の時代にどんなことをしていたか理解した方がいい」と述べ、事実を承知した時期を質問した。首相は、旧麻生鉱業に外国人捕虜がいたとする米紙報道に対する反論を、外務省がホームページから削除したことを9日の衆院予算委員会で明らかにした。首相が外相当時の2006年に掲載を了承したが、先月になって捕虜労役の事実が判明したためとしていた。

 峰崎議員の質問に対して首相は、米紙に記事が掲載された06年11月15日に初めて事実を知ったとの認識を示した。この答弁と衆議院での質疑を踏まえて峰崎議員は、久留米工業大学常勤講師であったウィリアム・アンダーウッド氏と麻生首相の議員会館事務所の村松秘書とが交わしたFAXを提示し、1946年1月24日に日本政府捕虜情報局に捕虜の労働を麻生鉱業自身が報告した歴史的資料等が存在することを指摘。1975年に出版された『麻生100年史』には朝鮮人労働者や中国人俘虜が労働者にあたられたことが記されていると説明。このやり取りに関する報告はあったかとの問いに麻生首相は、「文書をもってきちんと答弁しているという事実はない」と、その事実は従来からは承知していなかったと語った。

 続いて峰崎議員は定額給付金について取り上げ、「定額給付金の評価は大変よろしくない」としてメディア各社の世論調査結果等を提示したうえで、首相に認識を質した。麻生首相は「今の経済状況を考えたとき2点において有効になる可能性が高い」などとしたうえで、第一は生活者に対する支援、もうひとつは一般消費が対GDPを支えているので、その部分が落ち込む可能性を防ぐために効果があるものと考えるとした。

 これを受けて峰崎議員は、第2次補正予算案が衆議院を通過した直後に財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が定額給付金を撤回すべきだとの考えで大筋一致したとされる点を取り上げ、中川財務大臣に提言内容を改めて確認。そのうえで、認識を質したのに対して首相は「いろんな意見が出されたのはうかがっている」などと述べて議場の失笑を買い、峰崎議員は財政問題について有識者が諮問して出した、『やめた方がいい』との意見に対して第三者的な答弁を行った麻生首相の姿勢を問題視した。同時に、財政制度等審議会の指摘は民主党はじめ野党の指摘と一致するものと思われると峰崎議員は指摘した。

 そうした認識を踏まえて峰崎議員は、修正案提出者に対して「なぜ修正案を出されたのか」として、それぞれの認識を質した。

 発議者を代表して答弁に立った政調会長代理で参議院政審会長の福山哲郎議員は、現下の金融財政状況に対して大変な危機意識をもち、雇用情勢についてもきびしいという認識のもとで、昨年から第2次補正予算案の提出を求めてきたが政府・与党からは残念ながら提出はなかったとまず指摘した。

 そのうえで、福山議員は定額給付金について、生活支援なのか景気対策なのか根本的に不明瞭であると述べ、麻生首相はじめ閣僚も受け取るかどうかもバラバラである点も問題視。また、一年限りの1万2000円の給付で本当に低額所得者の暮らしがよくなるのか、職を失った方々に劇的な変化があるのか、景気は良くなるのか疑問だと断じた。

 福山議員はまた、民主党はじめ野党3党が昨年12月13日に緊急雇用対策関連4法案を提出して以降、雇用情勢も悪化の一途をたどっていると指摘した。

 さらに福山議員は、学校の耐震化、医療・介護の職員の増員や雇用条件の改善、環境エネルギー対策、雇用対策等々に充てることなど、いろんな議論ができるのではないかと述べ、定額給付金を削除する修正案を提出したと表明。「この2兆円の使い方については与野党で胸襟を開いて議論すべき」と問題提起した。

 峰崎議員は、政策とはいえないうえ、効果も不明だとする財政制度等審議会の指摘を改めて提示するとともに、このような法案が次々に出てきたら国家財政は成り立たなくなるとの指摘もある点を取り上げ、真に国民のためになる、定額給付金以外に予算をふりむけるべきとして、改めて第2次補正予算案からの削除を求めた。
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