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2009/01/22
東京23区共同の「自立支援システム」施設を視察 党緊急雇用対策本部




 党緊急雇用対策本部(本部長:菅直人代表代行)は22日午前、東京都内にある路上生活者緊急一時保護センター千代田寮、自立支援センター渋谷寮を視察。東京都と23区共同で、就労自立による路上生活者の社会復帰を目指す「自立支援システム」に取り組んでおり、一行は第1ステップとしての緊急一時保護とアセスメント(評価)機能をもつ緊急一時保護センター、第2ステップとしての自立支援プログラム機能をもつ自立支援センターをそれぞれ見学、現状を把握することで今後の対策に活かしていくとした。

 一行はまず、緊急一時保護センター千代田寮を訪れ、路上生活者対策事業の概要および施設利用者の状況、ホームレス対策の現状等について説明を受けるとともに、施設内を見学。センターには、路上生活者が福祉事務所に相談し、施設による支援が適当と判断された場合に入所し、最大2カ月の入所生活の中で健康回復を図り、社会復帰に向けた意欲の喚起、能力向上のためのアセスメントを行う。また、各センターとも昨年夏には入所率がピークに達し、現在は希望者、該当者がいても受入れられず、事実上オーバーフロウ状態であるとの説明を受けた。

 続いて、緊急一時保護センターの利用での評価の結果、就労意欲と能力があり、かつ心身の状態が就労に支障のない人が入所する自立支援センターで、センターの概況、支援内容についての説明を聴取。寮長は、最大4カ月のなかで生活、就労、居住等の支援を実施し、それ以降もアフターケアをしながら自立を支援すると語った。しかし、就職しても継続できなかったり、貯蓄を使い込んでしまうケースも多いとして、現在、精神的なケアにも気を配っていると話した。

 一行は説明に熱心に耳を傾けるとともに、それぞれの現場が抱える問題点を積極的に質問。23区が平等に支援を担当するとの観点から、5年ごとに施設の建替え・移動が繰り返されている現状について、建設費の補助を国に求める声がある一方で、地域住民の反対の声も多く施設づくりは困難を伴うことなどの指摘があった。同時に、地域住民の暮らしの場の近くで支援をすることが就労自立を目指す上で大切だとの見方も示され、借り上げ型住宅支援の重要性を強調する声があがった。

 菅代表代行は視察後に記者団に対し、緊急的な対策の実施にあたり現場の実態を把握することが重要との観点で視察したと説明。2つの施設では都23区共同事業と位置づけ、それぞれの現場が頑張っているとの印象をもったと語った。緊急一時保護センターでは路上生活から次の段階に向けての保護、自立支援センターではきちんと相談を受ける体制がそれぞれ整っており、8割近くが就職していると評価。今後の取り組みについては、総合的相談機能をもつことの重要性を指摘し、派遣村からの要請にもあった総合相談窓口のあるシェルター機能の拡大につとめていくとともに、個室的、自立的な住居が人間としての自立、尊厳を守るとのスタッフの意見を受け、アパートなど借り上げ型住宅支援について積極的に取り組む考えを示した。

 さらに、国会審議を通じて行政に強く要請、自治体に対しても働きかけ、財政的に国がサポートしていく体制をつくりたいと語った。

 視察には、小沢鋭仁事務局長、高山智司、郡和子、階猛、三日月大造各衆院議員、蓮舫、谷岡郁子、藤末健三各参院議員、大沢昇都議会議員が参加。対策本部では都議会議員メンバーとも連携して今後の取り組みを強化していく方針を確認した。
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